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第二章
第12話:ルーサン皇国皇太子宮
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「マチルダ嬢、随分と顔色が悪いが、何か心配事でもあるのかい」
サーニン皇太子が婚約者となったマチルダ嬢の事を心から心配する。
ファルド公爵家がルーサン皇国に臣従した事で、ファルド公爵家も皇都に屋敷を構えることになったのだが、公爵家に相応しい屋敷など皇都にはなかった。
歴史あるルーサン皇国には古くから仕える貴族家が沢山ある。
今年臣従したばかりの新参貴族家が皇城近くに屋敷を購入できるはずがないのだ。
だがサーニン皇太子は少しでの長くマチルダ嬢と一緒にいたかった。
ファルド公爵邸に通うくらいではとても満足できない気分だった。
本当なら直ぐにでも結婚式を挙げたかった。
だがフランドル城で結婚の約束ができずに婚約に留まってしまった以上、皇族や有力貴族がマチルダ嬢との結婚を邪魔するのは目に見えていた。
いや、単に妨害するだけにとどまらず、婚約を無効にさせることから始まり、マチルダ嬢の暗殺まで企むかもしれない心配があったのだ。
だからマチルダ嬢を皇太子宮に迎え入れた。
皇族や有力貴族だけでなく、皇帝や皇后の反対を押し切って迎え入れた。
それだけにマチルダ嬢に対する皇城内での風当たりはとても強かった。
サーニン皇太子が常に目配りしなければいけないくらい厳しかった。
皇太子宮内であろうと暗殺の危険が皆無という訳にはいかなかった。
だからこそ常にマチルダ嬢の顔色にさえ気を配っていたのだ。
「いえ、心配事はありません。
婚約をお受けした時から厳しい状況になる事は覚悟していました。
ですからこれくらいの事で心配したり不安になったりはしません。
私が心配なのは父上と母上の事なのです。
私の所為で苦しい立場に成っていると思うと申し訳なくて」
サーニン皇太子はマチルダ嬢の優しさに感心していた。
ファルド公爵アンドレアの事を心配する事はまだ分かる。
特に見るべき能力がなく、ロバート王太子にいいようにされていたとはいえ、ファルド公爵にマチルダ嬢を追い込もうとした形跡はなかった。
だが母親であるモーラは別だ、モーラは明らかに自分に似ているオリアンナを優遇してマチルダ嬢を冷遇していた。
そんな母親の事まで本気で心配しているマチルダ嬢は本当に心優しい。
そんなマチルダ嬢だけに、自分が気配りしなければまた悪党に陥れられる心配があると、サーニン皇太子は気を引き締めていた。
「そうか、マチルダ嬢を不安にさせておくわけにはいかないな。
ファルド公爵の屋敷は俺の息がかかった者達に護らせよう。
だから何も心配しなくていいんだよ。
マチルダ嬢は安心してここで暮らせばいいんだ。
マチルダ嬢とマチルダ嬢の大切なモノを傷つけるような連中は、俺がこの手で叩き潰してこの世から消し去ってやる。
だからそんな顔をしないでくれ、マチルダ嬢」
サーニン皇太子が婚約者となったマチルダ嬢の事を心から心配する。
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今年臣従したばかりの新参貴族家が皇城近くに屋敷を購入できるはずがないのだ。
だがサーニン皇太子は少しでの長くマチルダ嬢と一緒にいたかった。
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だがフランドル城で結婚の約束ができずに婚約に留まってしまった以上、皇族や有力貴族がマチルダ嬢との結婚を邪魔するのは目に見えていた。
いや、単に妨害するだけにとどまらず、婚約を無効にさせることから始まり、マチルダ嬢の暗殺まで企むかもしれない心配があったのだ。
だからマチルダ嬢を皇太子宮に迎え入れた。
皇族や有力貴族だけでなく、皇帝や皇后の反対を押し切って迎え入れた。
それだけにマチルダ嬢に対する皇城内での風当たりはとても強かった。
サーニン皇太子が常に目配りしなければいけないくらい厳しかった。
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だからこそ常にマチルダ嬢の顔色にさえ気を配っていたのだ。
「いえ、心配事はありません。
婚約をお受けした時から厳しい状況になる事は覚悟していました。
ですからこれくらいの事で心配したり不安になったりはしません。
私が心配なのは父上と母上の事なのです。
私の所為で苦しい立場に成っていると思うと申し訳なくて」
サーニン皇太子はマチルダ嬢の優しさに感心していた。
ファルド公爵アンドレアの事を心配する事はまだ分かる。
特に見るべき能力がなく、ロバート王太子にいいようにされていたとはいえ、ファルド公爵にマチルダ嬢を追い込もうとした形跡はなかった。
だが母親であるモーラは別だ、モーラは明らかに自分に似ているオリアンナを優遇してマチルダ嬢を冷遇していた。
そんな母親の事まで本気で心配しているマチルダ嬢は本当に心優しい。
そんなマチルダ嬢だけに、自分が気配りしなければまた悪党に陥れられる心配があると、サーニン皇太子は気を引き締めていた。
「そうか、マチルダ嬢を不安にさせておくわけにはいかないな。
ファルド公爵の屋敷は俺の息がかかった者達に護らせよう。
だから何も心配しなくていいんだよ。
マチルダ嬢は安心してここで暮らせばいいんだ。
マチルダ嬢とマチルダ嬢の大切なモノを傷つけるような連中は、俺がこの手で叩き潰してこの世から消し去ってやる。
だからそんな顔をしないでくれ、マチルダ嬢」
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