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第二章
第28話:事前準備
「モーラ夫人には災難な事でしたね。
皇国の治安が悪くなっている事、皇后として責任を感じています。
担当役人には厳重に注意しておきます」
マチルダ嬢に対する予想外の不意の言葉だった。
そもそも今日の訪問も不意の事だった。
あらかじめ数日前に使者を差し向けて予定を調整するのが貴族の常識だ。
その日急に会いたいと言いだすのはとても不躾な事なのだ。
皇后が皇太子の宮に急に訪れるなど異常事態といえた。
ましてそれがモーラ夫人が殺された翌日となれば、皇国社交界で大きな噂にならないはずがない。
当然これには政治的な駆け引きがあった。
今回モーラ夫人が山賊に殺された街道を警備する貴族は、サーザ皇帝に従順ではない某侯爵を領袖とする派閥に属していた。
襲撃場所の街道周辺を治めている領主貴族も同じ派閥に属していた。
全くの偶然ではあったが、モーラ夫人が山賊を装った暗殺ギルドの刺客に殺された事を、皇后は最大限利用しようとしていたのだ。
「皇太子、皇帝陛下が明日この宮でお茶をしたいと申されています。
準備しておいてください」
自分の失敗を利用しようとする母親に複雑な心境だった皇太子も、父親である皇帝がこの策謀に加わっている事を知って腹をくくった。
皇室の力を高めたいのは皇太子も同じだった。
某侯爵は派閥に人を集めるためにあくどく金を集めていた。
そのせいで多くの皇国民が苦しんでいた。
ここは親子で力を合わせるべきだと思い定めた。
何よりもマチルダ嬢を早く父親の皇帝に会わせたかった。
「承りました。
マチルダと一緒に万難を排してお待ちしております」
皇太子は宮の安全を考えていた。
皇帝の側近に協力を依頼すれば、皇太子宮の防御力は飛躍的に高まる。
だが簡単に依頼するわけにはいかない。
マチルダが多くの派閥から狙われているのは確実だった。
各派閥の刺客が皇帝の側近の中にいる可能性も考慮しておかなければいけない。
「私は今日と同じように本当に信頼できる者しか連れてきません。
皇帝陛下も同じようにされるでしょう。
ですが皇帝陛下側近は皇帝陛下の事を一番の考えています。
皇太子の事には多少配慮するでしょうがマチルダの事は平気で見捨てるでしょう。
その事を考慮した上でここの警備を整えなさい」
真心から出た皇后の言葉だった。
今日のお茶会には本当に信頼できる者しかいない。
その者達も前では自分を偽る必要も飾る必要もなかった。
皇太子の事を心から愛していると知られても問題なかった。
まあ、もう皇太子は皇后の庇護がなくても自分が護れるようになっている。
皇太子がまだ幼かった頃、皇后の力が今よりも小さかった頃ほどは神経質にならなくてもよくなっていた。
だがそれでも皇太子が心配になってしまうのは母親ゆえの事だろう。
皇太子に本当に愛する女性を結婚させてあげたい、本当に心の美しい女性と結婚させてあげたい、そう思うのは皇后が政略で結婚したからだろう。
皇后も嫌いな相手と結婚したわけではない。
だが愛よりも皇室の力を高めるために同志戦友として皇帝陛下と結婚していた。
そんな皇后と皇帝が期待する息子、サーニン皇太子と三人で話ができるのは、皇太子が独立して宮を構えて以来の事だった。
皇国の治安が悪くなっている事、皇后として責任を感じています。
担当役人には厳重に注意しておきます」
マチルダ嬢に対する予想外の不意の言葉だった。
そもそも今日の訪問も不意の事だった。
あらかじめ数日前に使者を差し向けて予定を調整するのが貴族の常識だ。
その日急に会いたいと言いだすのはとても不躾な事なのだ。
皇后が皇太子の宮に急に訪れるなど異常事態といえた。
ましてそれがモーラ夫人が殺された翌日となれば、皇国社交界で大きな噂にならないはずがない。
当然これには政治的な駆け引きがあった。
今回モーラ夫人が山賊に殺された街道を警備する貴族は、サーザ皇帝に従順ではない某侯爵を領袖とする派閥に属していた。
襲撃場所の街道周辺を治めている領主貴族も同じ派閥に属していた。
全くの偶然ではあったが、モーラ夫人が山賊を装った暗殺ギルドの刺客に殺された事を、皇后は最大限利用しようとしていたのだ。
「皇太子、皇帝陛下が明日この宮でお茶をしたいと申されています。
準備しておいてください」
自分の失敗を利用しようとする母親に複雑な心境だった皇太子も、父親である皇帝がこの策謀に加わっている事を知って腹をくくった。
皇室の力を高めたいのは皇太子も同じだった。
某侯爵は派閥に人を集めるためにあくどく金を集めていた。
そのせいで多くの皇国民が苦しんでいた。
ここは親子で力を合わせるべきだと思い定めた。
何よりもマチルダ嬢を早く父親の皇帝に会わせたかった。
「承りました。
マチルダと一緒に万難を排してお待ちしております」
皇太子は宮の安全を考えていた。
皇帝の側近に協力を依頼すれば、皇太子宮の防御力は飛躍的に高まる。
だが簡単に依頼するわけにはいかない。
マチルダが多くの派閥から狙われているのは確実だった。
各派閥の刺客が皇帝の側近の中にいる可能性も考慮しておかなければいけない。
「私は今日と同じように本当に信頼できる者しか連れてきません。
皇帝陛下も同じようにされるでしょう。
ですが皇帝陛下側近は皇帝陛下の事を一番の考えています。
皇太子の事には多少配慮するでしょうがマチルダの事は平気で見捨てるでしょう。
その事を考慮した上でここの警備を整えなさい」
真心から出た皇后の言葉だった。
今日のお茶会には本当に信頼できる者しかいない。
その者達も前では自分を偽る必要も飾る必要もなかった。
皇太子の事を心から愛していると知られても問題なかった。
まあ、もう皇太子は皇后の庇護がなくても自分が護れるようになっている。
皇太子がまだ幼かった頃、皇后の力が今よりも小さかった頃ほどは神経質にならなくてもよくなっていた。
だがそれでも皇太子が心配になってしまうのは母親ゆえの事だろう。
皇太子に本当に愛する女性を結婚させてあげたい、本当に心の美しい女性と結婚させてあげたい、そう思うのは皇后が政略で結婚したからだろう。
皇后も嫌いな相手と結婚したわけではない。
だが愛よりも皇室の力を高めるために同志戦友として皇帝陛下と結婚していた。
そんな皇后と皇帝が期待する息子、サーニン皇太子と三人で話ができるのは、皇太子が独立して宮を構えて以来の事だった。
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