12 / 14
11話
しおりを挟む
真金の騎士はデイジーと安らかな時間を過ごした。
スケルトンが作ってくれた料理を一緒に美味しく食べて、軽やかに会話を楽しみ、時に顔を見合わせて笑うような、何気ないけれど、とても大切な時間を過ごした。
給仕として同席していたスケルトンまで笑顔になっているような気がする、デイジーには生れて初めて得られた、かけがえのない時間だった。
全く気になるところがないわけではない。
真金の騎士が仮面をとってくれないのだ。
でも、顔に醜い剣傷があり、ご婦人に見せられるモノではないと言われたら、無理に取って欲しいとも言えなかった。
そんな事で、真金の騎士との楽しい時間をぶち壊しにしたくなかった。
本当はずっと楽しい会話を続けていたかった。
夜通し会話を楽しみたかった。
けれど、デイジーは一日働いていた。
慣れない農作業で疲れ切っていた。
眠りたくないと頑張っても、会話の途中で居眠りをしてしまう。
「さあ、もう眠ってください。
その様子では、もうこれ以上起きていては身体に毒です。
明日もお話はできるのです。
無理をして病気になってしまったら、お話しもできなくなりますよ」
「……はい……」
デイジーその場で寝てしまった。
信じられない素早さで、まるで瞬間移動のような素早さで、寝倒れるデイジーを真金の騎士が抱きとめ、お姫様抱っこで寝室まで運ぶ。
ライリー王太子のような下衆なら、その場で襲い掛かるのだろうが、真金の騎士は紳士で、デイジーをそっとベットに横たえると、そのまま寝室を出て行った。
そう、これから報復に時間なのだ。
デイジーを傷つけたモノに、思い知らせなければいけないのだ。
下種どもはそれだけをの事をしたのだから、相応の罰を受けさせなければいけないと、真金の騎士は硬く誓っていたのだ。
今日もまたワイバーンでファーモイ城の上空にやって来た。
魔術で気配を探ると、一番報復すべきライリー王太子がいない。
真金の騎士は城内だけでなく、王都全体に感知魔法を働かせた。
直ぐにライリー王太子が見つかった。
なんとゾロア神殿に逃げ込んでいた。
真金の騎士の感知魔法に、とんでもない邪悪な存在が感知された。
その者がライリー王太子と一緒にいるのが感じられた。
それで真金の騎士には、大体の事が察知された。
恐らく神殿が救いようがないほど堕落したのだろうと推測していた。
堕落した神殿に魔が入り込み、神殿を完全に魔の支配下に置き、その力でライリー王太子を堕落させたのだと考えた。
だが真金の騎士は、ライリー王太子にもローリー国王にも全く同情しなかった。
そもそも王家は神殿の腐敗を監視し防止しなければいけないのだ。
それをしていなかった時点で、為政者としては落第なのだ。
だからこのまま報復を続けることにした。
スケルトンが作ってくれた料理を一緒に美味しく食べて、軽やかに会話を楽しみ、時に顔を見合わせて笑うような、何気ないけれど、とても大切な時間を過ごした。
給仕として同席していたスケルトンまで笑顔になっているような気がする、デイジーには生れて初めて得られた、かけがえのない時間だった。
全く気になるところがないわけではない。
真金の騎士が仮面をとってくれないのだ。
でも、顔に醜い剣傷があり、ご婦人に見せられるモノではないと言われたら、無理に取って欲しいとも言えなかった。
そんな事で、真金の騎士との楽しい時間をぶち壊しにしたくなかった。
本当はずっと楽しい会話を続けていたかった。
夜通し会話を楽しみたかった。
けれど、デイジーは一日働いていた。
慣れない農作業で疲れ切っていた。
眠りたくないと頑張っても、会話の途中で居眠りをしてしまう。
「さあ、もう眠ってください。
その様子では、もうこれ以上起きていては身体に毒です。
明日もお話はできるのです。
無理をして病気になってしまったら、お話しもできなくなりますよ」
「……はい……」
デイジーその場で寝てしまった。
信じられない素早さで、まるで瞬間移動のような素早さで、寝倒れるデイジーを真金の騎士が抱きとめ、お姫様抱っこで寝室まで運ぶ。
ライリー王太子のような下衆なら、その場で襲い掛かるのだろうが、真金の騎士は紳士で、デイジーをそっとベットに横たえると、そのまま寝室を出て行った。
そう、これから報復に時間なのだ。
デイジーを傷つけたモノに、思い知らせなければいけないのだ。
下種どもはそれだけをの事をしたのだから、相応の罰を受けさせなければいけないと、真金の騎士は硬く誓っていたのだ。
今日もまたワイバーンでファーモイ城の上空にやって来た。
魔術で気配を探ると、一番報復すべきライリー王太子がいない。
真金の騎士は城内だけでなく、王都全体に感知魔法を働かせた。
直ぐにライリー王太子が見つかった。
なんとゾロア神殿に逃げ込んでいた。
真金の騎士の感知魔法に、とんでもない邪悪な存在が感知された。
その者がライリー王太子と一緒にいるのが感じられた。
それで真金の騎士には、大体の事が察知された。
恐らく神殿が救いようがないほど堕落したのだろうと推測していた。
堕落した神殿に魔が入り込み、神殿を完全に魔の支配下に置き、その力でライリー王太子を堕落させたのだと考えた。
だが真金の騎士は、ライリー王太子にもローリー国王にも全く同情しなかった。
そもそも王家は神殿の腐敗を監視し防止しなければいけないのだ。
それをしていなかった時点で、為政者としては落第なのだ。
だからこのまま報復を続けることにした。
398
あなたにおすすめの小説
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
もてあそんでくれたお礼に、貴方に最高の餞別を。婚約者さまと、どうかお幸せに。まぁ、幸せになれるものなら......ね?
当麻月菜
恋愛
次期当主になるべく、領地にて父親から仕事を学んでいた伯爵令息フレデリックは、ちょっとした出来心で領民の娘イルアに手を出した。
ただそれは、結婚するまでの繋ぎという、身体目的の軽い気持ちで。
対して領民の娘イルアは、本気だった。
もちろんイルアは、フレデリックとの間に身分差という越えられない壁があるのはわかっていた。そして、その時が来たら綺麗に幕を下ろそうと決めていた。
けれど、二人の関係の幕引きはあまりに酷いものだった。
誠意の欠片もないフレデリックの態度に、立ち直れないほど心に傷を受けたイルアは、彼に復讐することを誓った。
弄ばれた女が、捨てた男にとって最後で最高の女性でいられるための、本気の復讐劇。
癒しの聖女を追放した王国は、守護神に愛想をつかされたそうです。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
癒しの聖女は身を削り激痛に耐え、若さを犠牲にしてまで五年間も王太子を治療した。十七歳なのに、歯も全て抜け落ちた老婆の姿にまでなって、王太子を治療した。だがその代償の与えられたのは、王侯貴族達の嘲笑と婚約破棄、そして実質は追放と死刑に繋がる領地と地位だった。この行いに、守護神は深く静かに激怒した。
異母妹に婚約者の王太子を奪われ追放されました。国の守護龍がついて来てくれました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「モドイド公爵家令嬢シャロン、不敬罪に婚約を破棄し追放刑とする」王太子は冷酷非情に言い放った。モドイド公爵家長女のシャロンは、半妹ジェスナに陥れられた。いや、家族全員に裏切られた。シャロンは先妻ロージーの子供だったが、ロージーはモドイド公爵の愛人だったイザベルに毒殺されていた。本当ならシャロンも殺されている所だったが、王家を乗っ取る心算だったモドイド公爵の手駒、道具として生かされていた。王太子だった第一王子ウイケルの婚約者にジェスナが、第二王子のエドワドにはシャロンが婚約者に選ばれていた。ウイケル王太子が毒殺されなければ、モドイド公爵の思い通りになっていた。だがウイケル王太子が毒殺されてしまった。どうしても王妃に成りたかったジェスナは、身体を張ってエドワドを籠絡し、エドワドにシャロンとの婚約を破棄させ、自分を婚約者に選ばせた。
幼い頃に魔境に捨てたくせに、今更戻れと言われて戻るはずがないでしょ!
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
ニルラル公爵の令嬢カチュアは、僅か3才の時に大魔境に捨てられた。ニルラル公爵を誑かした悪女、ビエンナの仕業だった。普通なら獣に喰われて死にはずなのだが、カチュアは大陸一の強国ミルバル皇国の次期聖女で、聖獣に護られ生きていた。一方の皇国では、次期聖女を見つけることができず、当代の聖女も役目の負担で病み衰え、次期聖女発見に皇国の存亡がかかっていた。
愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる