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第二章
釣り野伏
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丹羽軍の大損害と撤退を知った三好秀次は激怒し、自軍四万に追撃を命じた。
先ずは秀吉最古参の仙石秀久に先陣を命じ、羽柴家股肱の赤松則房・毛利重政・脇坂安治・加藤嘉明・山内一豊などを与力につけた。
一方大身の蜂須賀家政などや、最近臣従したばかりの来島通総・得居通幸・十河存保・長宗我部親子などは手元に残した。
だがここで仙石秀久は大失態を演じた。
黒田官兵衛から釣り野伏に気を付けるように言われていたのに、大軍を指揮することに慣れていなかったので、陣形も先方も考えずに島津義弘軍に突っ込んでしまったのだ。
秀久は常に秀吉軍の先駆けを務め、命懸けの突撃で立身してきた漢だった。
大名となってからも、常に突撃で切り抜けてきた。
何度も小さな負けを喫していたが、それでも最後は突撃で切り抜けてきた。
だが島津義弘軍が相手では、突撃だけでは通用しなかった。
しかしながら秀久も猛将である。
義弘軍の中核に食らいついて離れなかった。
与力に付けられた諸将も、織田家の頃からの歴戦の勇士だった。
両翼から包まれても、臆せず中央突破を図った。
最終的には乱戦となり、秀久勢の雑兵が逃げ出してしまい、裏崩れを起こし、それが友崩れにまで発展し、秀久勢が壊走する事になった。
だが島津義弘軍も、左右の翼軍に大損害を受けただけではなく、中核の旗本衆が壊滅状態となって、ようやく義弘を守った状態だった。
義弘軍に秀久勢を追撃する戦力も時間もなかった。
僅かな旗本が、島津義弘を守って肥後方面に落ちていった。
黒田官兵衛は、蜂須賀家政に残った四国勢を率いさせ、軍師に長曾我部元親を抜擢し、島津義弘を追撃させた。
三好秀次には、宇喜多勢に先方を命じ、日向に侵攻するように進言した。
秀次はその進言通りに、宇喜多勢三万を先方に、自身の三好勢と残った一万兵を率いて日向に侵攻した。
一方肥後に逃げた島津義弘だが、驚異的な速さで調略を成功させる与一郎からは、逃げきれなかった。
もう少し兵力が残っていれば逃げ切れたかもしれないが、負けたとは言え仙石秀久の突撃は効果を発揮していた。
与一郎は島津義弘を捕虜にした。
勇猛と軍略で歌われた四男・島津家久に続いて、「鬼島津」と言われた次男・島津義弘までが豊臣軍の捕虜となったのは大きかった。
四万もの歴戦の将兵を失ったことで、大隅・日向どころか薩摩本国まで守る兵力が不足してしまった。
いや、兵力だけなら農民を無理矢理徴兵する事も出来たが、数だけ揃えればいいと言うモノではない。
歴戦の中級指揮官と下級指揮官を大量に失ってしまっては、軍として統一した戦いが不可能になる。
島津が滅亡の危機に瀕している事は、誰の眼にも明らかだった。
そこに与一郎に調略が入った。
先ずは秀吉最古参の仙石秀久に先陣を命じ、羽柴家股肱の赤松則房・毛利重政・脇坂安治・加藤嘉明・山内一豊などを与力につけた。
一方大身の蜂須賀家政などや、最近臣従したばかりの来島通総・得居通幸・十河存保・長宗我部親子などは手元に残した。
だがここで仙石秀久は大失態を演じた。
黒田官兵衛から釣り野伏に気を付けるように言われていたのに、大軍を指揮することに慣れていなかったので、陣形も先方も考えずに島津義弘軍に突っ込んでしまったのだ。
秀久は常に秀吉軍の先駆けを務め、命懸けの突撃で立身してきた漢だった。
大名となってからも、常に突撃で切り抜けてきた。
何度も小さな負けを喫していたが、それでも最後は突撃で切り抜けてきた。
だが島津義弘軍が相手では、突撃だけでは通用しなかった。
しかしながら秀久も猛将である。
義弘軍の中核に食らいついて離れなかった。
与力に付けられた諸将も、織田家の頃からの歴戦の勇士だった。
両翼から包まれても、臆せず中央突破を図った。
最終的には乱戦となり、秀久勢の雑兵が逃げ出してしまい、裏崩れを起こし、それが友崩れにまで発展し、秀久勢が壊走する事になった。
だが島津義弘軍も、左右の翼軍に大損害を受けただけではなく、中核の旗本衆が壊滅状態となって、ようやく義弘を守った状態だった。
義弘軍に秀久勢を追撃する戦力も時間もなかった。
僅かな旗本が、島津義弘を守って肥後方面に落ちていった。
黒田官兵衛は、蜂須賀家政に残った四国勢を率いさせ、軍師に長曾我部元親を抜擢し、島津義弘を追撃させた。
三好秀次には、宇喜多勢に先方を命じ、日向に侵攻するように進言した。
秀次はその進言通りに、宇喜多勢三万を先方に、自身の三好勢と残った一万兵を率いて日向に侵攻した。
一方肥後に逃げた島津義弘だが、驚異的な速さで調略を成功させる与一郎からは、逃げきれなかった。
もう少し兵力が残っていれば逃げ切れたかもしれないが、負けたとは言え仙石秀久の突撃は効果を発揮していた。
与一郎は島津義弘を捕虜にした。
勇猛と軍略で歌われた四男・島津家久に続いて、「鬼島津」と言われた次男・島津義弘までが豊臣軍の捕虜となったのは大きかった。
四万もの歴戦の将兵を失ったことで、大隅・日向どころか薩摩本国まで守る兵力が不足してしまった。
いや、兵力だけなら農民を無理矢理徴兵する事も出来たが、数だけ揃えればいいと言うモノではない。
歴戦の中級指揮官と下級指揮官を大量に失ってしまっては、軍として統一した戦いが不可能になる。
島津が滅亡の危機に瀕している事は、誰の眼にも明らかだった。
そこに与一郎に調略が入った。
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