48 / 57
第1章
第45話:あきれる
しおりを挟む
「スノードン伯爵家として命じる、ついて来い」
10騎士と100兵士を引き連れて僕の街区に押し入って来た奴が言う。
「ケンカを売っているのなら買いますよ?」
「ケンカ、伯爵家が平民にケンカを売る必要などない。
平民は黙って従え、さっさとついて来い」
「僕は王都行政官閣下の奥方様を含めて127人のテーベ―患者を治療しています。
この場を離れろと命じるのは、王都行政官閣下の奥方様を含め、127人を見殺しにしろと命じている事になりますが、それでよろしいのですね?」
「平民が生意気な事を言うな!
平民の事情など聞いていない、さっさと言われた通りついて来い」
「嫌です」
「スノードン伯爵家の命令に従わないのなら殺すぞ!」
「殺せるものなら殺してもらいましょう。
僕の実力も知らずにケンカを売ってくるとは、愚かにもほどがありますね」
「やれ、伯爵閣下に逆らう無礼者を捕らえろ!」
騎士と兵士を指揮していた奴が命じるが、騎士も兵士も動かない。
指揮官は僕の事を知らないが、騎士と兵士は知っているのだろう。
4000kg級魔獣を1人で狩り、21人の王国騎士を1人で皆殺しにした僕を、たった10騎と100兵では勝てないのを知っているのだ。
「何をしている、私の命令が聞けないのか?!」
指揮官はスノードン伯爵家の血縁者なのか?
現実を知らないお坊ちゃまなのだろうか?
自分が命じたら何でも思い通りになると夢見ているのだろうか?
「召し放ちだ、私の命令に従わない者は伯爵家から追放する!」
指揮官が顔を真っ赤にして大声でわめいている。
「自由騎士ショウ殿、私たちにも護らなければいけない家族がある。
ここで死ぬ訳にはいかないし、伯爵家から追放される訳にもいかない。
命を奪わない決闘にさせてもらえないだろうか?」
指揮官の直ぐ後にいる騎士が言った。
「何を勝手な事を言っている、ひきょう者。
殺されてもスノードン伯爵家に忠誠を尽くすのが騎士だ!」
指揮官が身勝手な上にバカ過ぎて話にならない。
こういう奴に無理矢理戦わされる騎士や兵士がかわいそうになって来た。
「殺すぞ!」
魔法を使わず素の力で殺気と威圧を放ってやった。
「ひぃいいいいい!」
ろくに戦った事もなければ、責任を感じたこともないのだろう。
僕の殺気と威圧を受けて泡を吹いて落馬した。
頭から落ちたから死んだかもしれない。
「命をやり取りしない決闘、受けましょう、細かな条件はどうします?」
指揮官がいなくなったので、遠慮なく聞いてみた。
「ウワサに聞いたような、下着まで含めた持ち物を賭ける事はできません。
スノードン伯爵家の報酬は他の貴族よりも少ないのです」
「それでは私に何の得もありません、騎士の決闘にふさわしい身代金はもらいます。
ただ、ケンカを売ってきたのはスノードン伯爵家と落馬した男です。
身代金はスノードン伯爵家と落馬した男に請求しましょう」
「スノードン伯爵閣下は、我々のために身代金を払う方ではありません」
「スノードン伯爵は名誉を大切にされないのですか?」
「名誉を大切にされる方でしたら、このような事はされません」
「つまり、貴男方を人質にしても、身代金を払わない。
貴男方はずっと僕に囚われたままになる?」
「そうなるでしょう」
「宿泊費と食費が毎日増えて、日に日に身代金の額が高くなります。
悪いウワサが王都を中心に国中に広まりますが、伯爵は気にされない?」
「もう国中にたくさんの悪いウワサが広まっています。
今さら新しい悪い噂が1つ増えた所で何も変わりません」
「それでも伯爵家に仕え続けないといけないのですか?」
「先ほども申し上げましたが、私も他の者たちも大切な家族がいます」
「私の人質になった事で、家族が罰を受けませんか?」
「そこまでやると、私たちの剣や槍が伯爵閣下に向かいます。
その程度の事は理解できる頭を持っておられます」
「その程度の頭が有るなら、私に勝てない事くらい分かるでしょう?」
「貴族の命令に逆らう平民がいるとは思っておられないのです。
自由騎士殿のウワサも、自分を大きく見せようとした自由騎士殿の策だと思っておられるのです」
「ちょっと信じられませんね、そこまで愚かで伯爵家の当主が務まるのですか?」
「領地の管理や財政は、先祖代々の家臣や使用人がやっています。
王国内の役職も、補佐役の家臣と使用人が間違いのないように支えています。
伯爵家閣下は黙ってサインするだけです。
その分、私的な事は好き勝手されます。
個人的な金儲けや遊びは、家臣も使用人も黙認しているのです」
「貴男もですか、貴男もこの件を黙認されたのですか?」
「はい、必ず失敗すると分かっていましたので、何も言いませんでした。
止めた者の立場が悪くなり、最悪の場合は追放されます。
貴族家を追放された騎士や兵士を、他の貴族が召し抱える事はありません。
ですが、主家のために戦って人質になった騎士や兵士は違います。
他の貴族家が召し抱えてくれる可能性があります。
この後始末は、補佐役の家臣と使用人が何とかするはずです」
「したたかですね」
「これくらいの事を考え実行できなければ、この国で生きていけません。
特に騎士や兵士は、今の身分を子供に継がせるために必死なのです」
「分かりました、そういう事情なら、殺さない、持ち物も賭けない決闘に応じます」
10騎士と100兵士を引き連れて僕の街区に押し入って来た奴が言う。
「ケンカを売っているのなら買いますよ?」
「ケンカ、伯爵家が平民にケンカを売る必要などない。
平民は黙って従え、さっさとついて来い」
「僕は王都行政官閣下の奥方様を含めて127人のテーベ―患者を治療しています。
この場を離れろと命じるのは、王都行政官閣下の奥方様を含め、127人を見殺しにしろと命じている事になりますが、それでよろしいのですね?」
「平民が生意気な事を言うな!
平民の事情など聞いていない、さっさと言われた通りついて来い」
「嫌です」
「スノードン伯爵家の命令に従わないのなら殺すぞ!」
「殺せるものなら殺してもらいましょう。
僕の実力も知らずにケンカを売ってくるとは、愚かにもほどがありますね」
「やれ、伯爵閣下に逆らう無礼者を捕らえろ!」
騎士と兵士を指揮していた奴が命じるが、騎士も兵士も動かない。
指揮官は僕の事を知らないが、騎士と兵士は知っているのだろう。
4000kg級魔獣を1人で狩り、21人の王国騎士を1人で皆殺しにした僕を、たった10騎と100兵では勝てないのを知っているのだ。
「何をしている、私の命令が聞けないのか?!」
指揮官はスノードン伯爵家の血縁者なのか?
現実を知らないお坊ちゃまなのだろうか?
自分が命じたら何でも思い通りになると夢見ているのだろうか?
「召し放ちだ、私の命令に従わない者は伯爵家から追放する!」
指揮官が顔を真っ赤にして大声でわめいている。
「自由騎士ショウ殿、私たちにも護らなければいけない家族がある。
ここで死ぬ訳にはいかないし、伯爵家から追放される訳にもいかない。
命を奪わない決闘にさせてもらえないだろうか?」
指揮官の直ぐ後にいる騎士が言った。
「何を勝手な事を言っている、ひきょう者。
殺されてもスノードン伯爵家に忠誠を尽くすのが騎士だ!」
指揮官が身勝手な上にバカ過ぎて話にならない。
こういう奴に無理矢理戦わされる騎士や兵士がかわいそうになって来た。
「殺すぞ!」
魔法を使わず素の力で殺気と威圧を放ってやった。
「ひぃいいいいい!」
ろくに戦った事もなければ、責任を感じたこともないのだろう。
僕の殺気と威圧を受けて泡を吹いて落馬した。
頭から落ちたから死んだかもしれない。
「命をやり取りしない決闘、受けましょう、細かな条件はどうします?」
指揮官がいなくなったので、遠慮なく聞いてみた。
「ウワサに聞いたような、下着まで含めた持ち物を賭ける事はできません。
スノードン伯爵家の報酬は他の貴族よりも少ないのです」
「それでは私に何の得もありません、騎士の決闘にふさわしい身代金はもらいます。
ただ、ケンカを売ってきたのはスノードン伯爵家と落馬した男です。
身代金はスノードン伯爵家と落馬した男に請求しましょう」
「スノードン伯爵閣下は、我々のために身代金を払う方ではありません」
「スノードン伯爵は名誉を大切にされないのですか?」
「名誉を大切にされる方でしたら、このような事はされません」
「つまり、貴男方を人質にしても、身代金を払わない。
貴男方はずっと僕に囚われたままになる?」
「そうなるでしょう」
「宿泊費と食費が毎日増えて、日に日に身代金の額が高くなります。
悪いウワサが王都を中心に国中に広まりますが、伯爵は気にされない?」
「もう国中にたくさんの悪いウワサが広まっています。
今さら新しい悪い噂が1つ増えた所で何も変わりません」
「それでも伯爵家に仕え続けないといけないのですか?」
「先ほども申し上げましたが、私も他の者たちも大切な家族がいます」
「私の人質になった事で、家族が罰を受けませんか?」
「そこまでやると、私たちの剣や槍が伯爵閣下に向かいます。
その程度の事は理解できる頭を持っておられます」
「その程度の頭が有るなら、私に勝てない事くらい分かるでしょう?」
「貴族の命令に逆らう平民がいるとは思っておられないのです。
自由騎士殿のウワサも、自分を大きく見せようとした自由騎士殿の策だと思っておられるのです」
「ちょっと信じられませんね、そこまで愚かで伯爵家の当主が務まるのですか?」
「領地の管理や財政は、先祖代々の家臣や使用人がやっています。
王国内の役職も、補佐役の家臣と使用人が間違いのないように支えています。
伯爵家閣下は黙ってサインするだけです。
その分、私的な事は好き勝手されます。
個人的な金儲けや遊びは、家臣も使用人も黙認しているのです」
「貴男もですか、貴男もこの件を黙認されたのですか?」
「はい、必ず失敗すると分かっていましたので、何も言いませんでした。
止めた者の立場が悪くなり、最悪の場合は追放されます。
貴族家を追放された騎士や兵士を、他の貴族が召し抱える事はありません。
ですが、主家のために戦って人質になった騎士や兵士は違います。
他の貴族家が召し抱えてくれる可能性があります。
この後始末は、補佐役の家臣と使用人が何とかするはずです」
「したたかですね」
「これくらいの事を考え実行できなければ、この国で生きていけません。
特に騎士や兵士は、今の身分を子供に継がせるために必死なのです」
「分かりました、そういう事情なら、殺さない、持ち物も賭けない決闘に応じます」
250
あなたにおすすめの小説
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!
克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。
村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
楓乃めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
勇者と聖女の息子 アレン ランダムスキルを手に入れて愉快に冒険します!
月神世一
児童書・童話
伝説のS級冒険者である父と、聖女と謳われた母。
英雄の血を引く少年アレンは、誰もがその輝かしい未来を期待するサラブレッドだった。
しかし、13歳の彼が神から授かったユニークスキルは――【ランダムボックス】。
期待に胸を膨らませ、初めてスキルを発動した彼の手の中に現れたのは…プラスチック製のアヒルの玩具? くしゃくしゃの新聞紙? そして、切れたボタン電池…!?
「なんだこのスキルは…!?」
周りからは落胆と失笑、自身は絶望の淵に。
一見、ただのガラクタしか出さないハズレスキル。だが、そのガラクタに刻まれた「MADE IN CHINA」の文字に、英雄である父だけが気づき、一人冷や汗を流していた…。
最弱スキルと最強の血筋を持つ少年の、運命が揺らぐ波乱の冒険が、今、始まる!
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
精霊の国に嫁いだら夫は泥でできた人形でした。
ひぽたま
児童書・童話
琥珀は虹の国の王女。
魔法使いの国の王太子、ディランに嫁ぐ船上、おいしそうな苺を一粒食べたとたんに両手をクマに変えられてしまった!
魔法使いの国の掟では、呪われた姫は王太子の妃になれないという。
呪いを解くために、十年間の牛の世話を命じられて――……!
(「苺を食べただけなのに」改題しました)
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる