妹に婚約者を寝取られた悪役令嬢の言い分

克全

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3話

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「何度も何度も言って聞かせてきたはずだぞ、アキーレヌ!」

「私が悪いのではありません、父上!
 全てはクラリスの陰謀でございます!
 父上はクラリスに騙されておられるのです!」

「黙れ!
 この愚か者が!
 余が女子供に騙されるような愚か者だと申すか!
 この、この、この、大バカ者が!」

 ああ、ああ。
 国王が真っ赤になって怒っていますね。
 血管が切れなければいいのですが。
 いま倒れられると面倒です。
 せめて馬鹿王太子を廃嫡にしてから倒れてくださいね。
 
「そうですよ、アキーレヌ。
 国王陛下の申される通りですよ。
 貴男の方がエレノアに騙されているのですよ。
 貴男は王太子ではありませんか。
 もっとしっかりしてもらわなければ困ります」

 やれ、やれ。
 もっとしっかりしていただきたいのは、国王陛下と王妃殿下です。
 この期に及んで、まだアキーレヌに王位を継がすおつもりですか。
 そんなことになったら、国が乱れて滅んでしまいます。
 それではファンケン公爵家の家臣領民が困るのですよ。
 私には家臣領民を護る責任があるのです。
 いいかげん引導を渡して差し上げましょう。

「国王陛下!
 王妃殿下!
 王太子殿下は騙されているのではありません。
 騙された振りをして好き勝手しているだけです!
 その事は国王陛下も王妃殿下もご存じですよね?
 ご存じなのに、分かっていないフリをして、王太子殿下を護ってこられた。
 暗愚の国王陛下と王妃殿下でございますね。
 王太子殿下に騙された令嬢。
 王太子殿下が地位を笠に着て乱暴した貴婦人。
 幾人が自害されたかご存じですよね?
 知ってまだ庇うと申されるのなら、国王陛下と王妃殿下がこの国を亡ぼす元凶でございますよ!
 知らないと言い張るのなら、嘘つきの卑怯者としか申せませんよ。
 この赤の間で処断されるべきは、国王陛下と王妃殿下ではありませんか?」

「何たる暴言!
 父上、母上、直ぐに斬り捨てましょう!
 近衛兵!
 この無礼者を斬り殺せ!
 なにをしておるか!
 余は王太子であるぞ!
 さっさと命令に従わぬか!」

 さて、近衛騎士は全く動きませんね。
 近衛騎士と近衛徒士をちゃんと分けて呼ぶ。
 相手の誇りに敬意を払う。
 王太子はそんな初歩的な礼儀作法も分かっていません。
 これでは貴族士族の忠誠心など獲得できません。
 近寄ってくるのは佞臣ばかりです。

「……クラリス嬢。
 アキーレヌを助けてやってくれ。
 お願いだ、クラリス嬢。
 この通りだ。
 どうか、どうか、どうかアキーレヌを助けてやってくれ」

「私からもお願いします。
 この通りです。
 どうかアキーレヌを助けてやってください」

 国王陛下と王妃殿下が深々と頭を下げています。
 近衛騎士たちが見て見ぬふりをしています。
 愚か者が唖然としています。
 エレノアが悔しそうに唇をかみしめています。
 もう、見捨てるしかありませんね。
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