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31話

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「モンザ王国の返事はどうなっていますか?」

「アルドスが勝手にやった事、王家王国は無関係と言ってきております。
 マイロードケーニギン」

「今はそのマイロードケーニギンはやめなさい。
 詫状も出さないのですか?」

「はい、正式な詫状はありません。
 正式な詫状にならない形式で、謝っているのか謝っていないのか、はっきりしない書状を送ってきただけです」

「賠償金はどうなっていますか?」

「スズメの涙ほど、平民に支払うような額を送ってきましたので、正使の首を刎ねて副使に持ち帰らせました」

「もう使者の首を刎ねているのですか?」

「はい、マイロードケーニギン。
 些細な事は任すと申していただいておりますので無礼者の首は刎ねておきました」

 冷静に見せかけていますが、エヴァの怒りは相当のモノです。
 私を襲わせた上に、詫びも賠償もしないというのですから、しかたないですね。
 エヴァの私への愛情はとても深いのです。
 これは私も覚悟すべきですね。
 家臣、特に忠臣の心を失う言動は慎まなければいけません。

「さて、どうしたモノでしょうか?
 直接の報復はエヴァに任せるとして、どの程度で終わらせるべきか?
 フェルドナンド卿はどう考えますか?」

 王国の正式な会議の前、ファンケン公爵家時代からの内臣だけで、本音をぶつけ合う大切な場です。
 もっとも、柱になるのは二人だけ、エヴァとフェルドナンドだけです。
 他にいるのは、エヴァが認めた私の姫騎士と、フェルドナンドの弟子たちだけですから、実質三人での話し合いです。

「最大でモンザ王国の全土占領併合。
 最小でモンザ王国の領地の半分を占領併合いたしましょう」

「近隣諸国がそのような事を許すでしょうか?」

「最初に今回の件を近隣諸国に周知徹底いたします。
 そのうえで、モンザ王国からどれほど不誠実な使者が繰り返し来たかも周知徹底してから、飛行騎士団を使ってモンザ城を占領し、王族を皆殺しにします。
 モンザ王国に味方する者は、今回の事件に加担したと断じて、モンザ王家のように滅ぼすと宣言されれば、近隣諸国の介入を防げる可能性があります」

「簡単に言ってくれますね。
 そんな簡単に飛行騎士団だけで勝てるのですか?
 フェルドナンド卿は不参加ですよ。
 貴男を表にだすのは危険ですし、貴男との約束を破ることにもなります。
 それでも簡単に勝てるのですか?
 エヴァに危険な真似をさせる気もありませんよ」

「大丈夫でございます。
 飛行の魔道具を四千ほど用意しております。
 飛行魔術が使えない貴族や騎士を動員することが可能です。
 四千の騎士団が同行するなら、エヴァ卿が危険にさらされることもありません。
 エヴァ卿の武名を高め、近隣諸国を威圧する絶好の機会です」

 頭が痛いです。
 飛行の魔道具が四千!
 規格外れ過ぎて私の想定を軽く超えてしまいます!
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