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第1章
第1話:巾着切り
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「あ、何しやがるんだい!」
時は安永、春うららかな浅草寺前の広小路に美しい怒声が響き渡った。
「黙れ、女郎、儂の紙入れをすった事、忘れたとは言わせん」
田舎から出た来たばかりと思われる野暮な勤番侍に右手首を取られた、華やかな桜文の着物を着た素人とは思えない年増女が文句を言う。
怒りに柳眉を逆立てているのが、いっそう年増女の美貌を引き立てている。
「はぁあ、私が何時あんたの紙入れをすったと言うんだい、そんな物持ってないよ」
「秋だ、昨年の秋に私の紙入れをすったであろう!」
「はぁあ、秋だって、女を手籠めにする言い掛かりも大概にしな!
そんなに女が抱きたいのなら、本所で夜鷹でも探しな、こん畜生」
年増女は取られていない左手で勤番侍の頬を張ろうとしたが、できなかった。
相手は野暮が着物を着ているような勤番侍だが、人殺しの技を鍛えている。
年増女が全力で振るった左手を軽々と右手で取り押さえる。
しかしそれで大人しくするような年増女ではなかった。
素人女とは思えない見事な足捌きで、勤番侍の足を払って倒そうとする。
しかし勤番侍も流石に武士だ、素早く動いて女を背後から抱きかかえる。
「なんてひどい奴だ」
「あのまま出会い茶屋にでも連れ込む気か?」
「馬鹿言え、あの貧乏臭い身なりで銭を持っている訳がないだろう」
「そうか、大名屋敷に連れ込んで手籠めにする気だな!」
「あんな酷い侍を召し抱えているのは何所の大名だ?!」
浅草寺前の広小路は人通りがとても多い。
艶やかな年増女に田舎臭い勤番侍が乱暴狼藉を働いているのだ。
物見高い江戸っ子が脚を止めるから、自然と人だかりができる。
当然だが乱暴されている女に同情する者ばかりで勤番侍に厳しい視線が集中する。
「おい!」
勤番侍には連れがいたようで、同じ様な田舎臭い侍が思わせぶりに言う。
遠方から江戸に出て来た勤番侍でも、全く気が利かない訳ではないようだ。
女の首に回して動けなくしていた腕に力を入れて、締め落そうとする。
「止めんか! 締め落して藩邸に連れ込む気か、何所の家中か!?」
通りかかった深編笠の侍が制止した。
薩摩がすりの着流しに紺独鈷柄帯の若侍が、年増女を締め落そうとしていた勤番侍が思わず力を抜いてしまうほどの、裂帛の叱責をした。
「こんちきしょう!」
「ぎゃっ」
勤番侍の腕から力が抜けたすきに、年増女は紅の鼻緒の着いた柘植の下駄で、勤番侍の脛を蹴って若侍の所に逃げて来た。
「うっ、何者だ、すりの仲間か?!」
脛の激痛を呻き声ひとつで耐えた勤番侍が身構えて文句を言う。
「ほう、貴殿はこの女がすりだと言って、無法にも浅草寺の御門前を騒がしたのか」
「無法はそのすりとお前だ、仲間を逃がすと言うのなら斬って捨てるぞ!?」
「そこまで言うのなら確たる証拠があるのだろう。
御門前を騒がす事などない、直ぐ側に番所がある、一緒に行こうではないか」
「やかましいわ、我ら武士は不浄役人の手など借りん、すりは斬って捨てる」
「ほう、将軍家から江戸の治安を預かる者たちを不浄役人と申すか。
さぞ、御立派な主君に仕えておられるのであろう、主家を聞かせてもらおう」
悠々と構えていた若侍の目に怒りと殺気が生れた。
「黙れ、黙れ、黙れ、牢人に風情に主家を名乗る謂れはない!
牢人者が笠も取らずに悪口雑言の数々、許し難し、武士の面目にかけて斬る」
「ほう、可哀想だと思ったから笠を被ったまま名乗らずに注意してやったが、そこまで言うのならしかたがない、傘を取って名乗ってやろう。
南町奉行所年番方与力、佐久間武太夫が三男勝三郎だ。
身分を笠に来てか弱い女性に対する乱暴狼藉に加え、上様の政に対する批判許し難し、奉行所にて厳しく詮議させていただく、同道願おう」
「待て、いや、待って下され、某は上様の政を批判など……」
相手が町奉行所与力の息子と分かって、勤番侍が急に慌てだした。
それもそうだろう、大名家の取り潰しは少なくなったが無くなってはいない。
江戸で問題を起こしてはならぬと、上役に厳しく言われているのだ。
「黙られよ!
番所は幕府が定め上様が認められた、江戸の治安を守る役所。
町奉行所は上様から江戸の治安を預かっている。
それを不浄役人と申すのは、上様の御政道批判以外の何物でもない!
そこもとの主君には、上様に対する叛意があるのではないか?」
「お待ちください、殿には何の関係もない事、某の不徳の致すところ。
腹を切ってお詫びいたしますので、どうか某一人の事としていただきたい」
「ならぬ、浅草寺の御門前にて腹を切るなど迷惑千万、絶対にならぬ。
腹を切る振りをして、上様の御政道批判を誤魔化せると思うな!
何も知らぬような風をしているが、そこもともだぞ。
締め落せと指示したのは見ていた、逃げれば主家に迷惑がかかるぞ」
広小路に座して腹を切る振りをしている勤番侍だけでなく、知らぬ風を装ってその場から逃げようとしている、もう一人の勤番侍に厳しく言った。
厳しく言っただけでなかく、抜き打ちができるようさりげなく足を動かす。
「な、何の事でござろう、そ、某にはとんと覚えがない」
恐ろしい殺気を感じたもう一人の勤番侍は、思わず腰を引いてしまう。
それでも言葉を詰まらせながら言い訳をする。
「ここで私と斬り合って主家を取り潰すか、大人しく同行するか、選ばれよ」
若侍の言葉づかいは穏やかだったが、籠っている気迫は激しかった。
それなりに剣術を修めている勤番侍二人が逆らえないくらい激しかった。
「そなたもだぞ、逃げようとしたら斬る」
若侍は、どさくさに紛れて逃げようとした年増女も脅かす。
若侍、佐久間勝三郎が南町奉行所与力の息子と名乗った途端、今までつかんでいた着物の袖から手を離して、人だかりの中に逃げようとしていた女にも厳しく言う。
「お二方のやり方は許せなかったが、この女が無実だと思っている訳ではない。
悪いようにはしないから、奉行所まで御同行願いたい」
これまで阿修羅のような殺気を纏っていた勝三郎が、今では弥勒菩薩のように慈愛に満ちた笑顔を浮かべて言う。
「御貴殿がそう言ってくださるのなら、同行させていただきます」
「某はすられた現場にいなかったので、同輩を信じ藩の名誉を守ろうと……」
「私は何も知りません、御武家様の紙入れをすったりはしていません」
「どけ、どけ、どけ、御町の旦那の御通りだ!」
勝三郎が争いを納めた直後、今更のように奉行所の同心がやって来る。
その場に勝三郎がいるとも知らず、岡っ引きが居丈高に人々を押しのける。
「こら三一、ここで何してやがる!?」
岡っ引きが一番人目を引く勝三郎を貶める言葉を吐いた。
最初は岡っ引きの好きにさせていた同心だったが……
「馬鹿野郎、何て口を利いている、無礼者!
申し訳ございません勝三郎様、愚かな小者の失言、どうか御許し下さい」
ガンという激しい音が広小路中に広がるくらい、強く岡っ引きが殴られた。
その強さは、殴られて吹き飛んだ岡っ引きがぴくりとも動かないので分かる。
「これは大山さん、御苦労様ですね」
「とんでもございません、争いがあったと聞けば、急いで駆けつけるのは当然です。
何があったのか教えて頂けるでしょうか?」
勝三郎の父親と言ってもおかしくない、四十半ばの同心が丁寧に聞く。
黒の紋付羽織は、裾を帯の中に内に巻き上げて挟んだ巻羽織。
縞の着流しに雪駄、結ったばかりの小銀杏髷。
朱房の十手と刀は、帯に水平に差した閂差しにしている。
定町廻らしい身嗜みは、野次馬達を畏怖させるに十分だった。
「少し行き違いがあっただけで大した事ではない。
ただ、後々の諍いに成ってはいけないので、奉行所で話を聞く事にした」
「左様でございますか、何かお手伝いさせて頂けることはありますか?」
「老練な大山さんにそう言っていただけると心強いです。
私がこの方々を御案内しますので、大山さんはすりの疑いをかけられた、この人を案内してやってください」
「はっ、御配慮痛み入ります」
勝三郎が女すり捕縛の手柄を譲ると言ったので、大山がうれしそうに返事する。
時は安永、春うららかな浅草寺前の広小路に美しい怒声が響き渡った。
「黙れ、女郎、儂の紙入れをすった事、忘れたとは言わせん」
田舎から出た来たばかりと思われる野暮な勤番侍に右手首を取られた、華やかな桜文の着物を着た素人とは思えない年増女が文句を言う。
怒りに柳眉を逆立てているのが、いっそう年増女の美貌を引き立てている。
「はぁあ、私が何時あんたの紙入れをすったと言うんだい、そんな物持ってないよ」
「秋だ、昨年の秋に私の紙入れをすったであろう!」
「はぁあ、秋だって、女を手籠めにする言い掛かりも大概にしな!
そんなに女が抱きたいのなら、本所で夜鷹でも探しな、こん畜生」
年増女は取られていない左手で勤番侍の頬を張ろうとしたが、できなかった。
相手は野暮が着物を着ているような勤番侍だが、人殺しの技を鍛えている。
年増女が全力で振るった左手を軽々と右手で取り押さえる。
しかしそれで大人しくするような年増女ではなかった。
素人女とは思えない見事な足捌きで、勤番侍の足を払って倒そうとする。
しかし勤番侍も流石に武士だ、素早く動いて女を背後から抱きかかえる。
「なんてひどい奴だ」
「あのまま出会い茶屋にでも連れ込む気か?」
「馬鹿言え、あの貧乏臭い身なりで銭を持っている訳がないだろう」
「そうか、大名屋敷に連れ込んで手籠めにする気だな!」
「あんな酷い侍を召し抱えているのは何所の大名だ?!」
浅草寺前の広小路は人通りがとても多い。
艶やかな年増女に田舎臭い勤番侍が乱暴狼藉を働いているのだ。
物見高い江戸っ子が脚を止めるから、自然と人だかりができる。
当然だが乱暴されている女に同情する者ばかりで勤番侍に厳しい視線が集中する。
「おい!」
勤番侍には連れがいたようで、同じ様な田舎臭い侍が思わせぶりに言う。
遠方から江戸に出て来た勤番侍でも、全く気が利かない訳ではないようだ。
女の首に回して動けなくしていた腕に力を入れて、締め落そうとする。
「止めんか! 締め落して藩邸に連れ込む気か、何所の家中か!?」
通りかかった深編笠の侍が制止した。
薩摩がすりの着流しに紺独鈷柄帯の若侍が、年増女を締め落そうとしていた勤番侍が思わず力を抜いてしまうほどの、裂帛の叱責をした。
「こんちきしょう!」
「ぎゃっ」
勤番侍の腕から力が抜けたすきに、年増女は紅の鼻緒の着いた柘植の下駄で、勤番侍の脛を蹴って若侍の所に逃げて来た。
「うっ、何者だ、すりの仲間か?!」
脛の激痛を呻き声ひとつで耐えた勤番侍が身構えて文句を言う。
「ほう、貴殿はこの女がすりだと言って、無法にも浅草寺の御門前を騒がしたのか」
「無法はそのすりとお前だ、仲間を逃がすと言うのなら斬って捨てるぞ!?」
「そこまで言うのなら確たる証拠があるのだろう。
御門前を騒がす事などない、直ぐ側に番所がある、一緒に行こうではないか」
「やかましいわ、我ら武士は不浄役人の手など借りん、すりは斬って捨てる」
「ほう、将軍家から江戸の治安を預かる者たちを不浄役人と申すか。
さぞ、御立派な主君に仕えておられるのであろう、主家を聞かせてもらおう」
悠々と構えていた若侍の目に怒りと殺気が生れた。
「黙れ、黙れ、黙れ、牢人に風情に主家を名乗る謂れはない!
牢人者が笠も取らずに悪口雑言の数々、許し難し、武士の面目にかけて斬る」
「ほう、可哀想だと思ったから笠を被ったまま名乗らずに注意してやったが、そこまで言うのならしかたがない、傘を取って名乗ってやろう。
南町奉行所年番方与力、佐久間武太夫が三男勝三郎だ。
身分を笠に来てか弱い女性に対する乱暴狼藉に加え、上様の政に対する批判許し難し、奉行所にて厳しく詮議させていただく、同道願おう」
「待て、いや、待って下され、某は上様の政を批判など……」
相手が町奉行所与力の息子と分かって、勤番侍が急に慌てだした。
それもそうだろう、大名家の取り潰しは少なくなったが無くなってはいない。
江戸で問題を起こしてはならぬと、上役に厳しく言われているのだ。
「黙られよ!
番所は幕府が定め上様が認められた、江戸の治安を守る役所。
町奉行所は上様から江戸の治安を預かっている。
それを不浄役人と申すのは、上様の御政道批判以外の何物でもない!
そこもとの主君には、上様に対する叛意があるのではないか?」
「お待ちください、殿には何の関係もない事、某の不徳の致すところ。
腹を切ってお詫びいたしますので、どうか某一人の事としていただきたい」
「ならぬ、浅草寺の御門前にて腹を切るなど迷惑千万、絶対にならぬ。
腹を切る振りをして、上様の御政道批判を誤魔化せると思うな!
何も知らぬような風をしているが、そこもともだぞ。
締め落せと指示したのは見ていた、逃げれば主家に迷惑がかかるぞ」
広小路に座して腹を切る振りをしている勤番侍だけでなく、知らぬ風を装ってその場から逃げようとしている、もう一人の勤番侍に厳しく言った。
厳しく言っただけでなかく、抜き打ちができるようさりげなく足を動かす。
「な、何の事でござろう、そ、某にはとんと覚えがない」
恐ろしい殺気を感じたもう一人の勤番侍は、思わず腰を引いてしまう。
それでも言葉を詰まらせながら言い訳をする。
「ここで私と斬り合って主家を取り潰すか、大人しく同行するか、選ばれよ」
若侍の言葉づかいは穏やかだったが、籠っている気迫は激しかった。
それなりに剣術を修めている勤番侍二人が逆らえないくらい激しかった。
「そなたもだぞ、逃げようとしたら斬る」
若侍は、どさくさに紛れて逃げようとした年増女も脅かす。
若侍、佐久間勝三郎が南町奉行所与力の息子と名乗った途端、今までつかんでいた着物の袖から手を離して、人だかりの中に逃げようとしていた女にも厳しく言う。
「お二方のやり方は許せなかったが、この女が無実だと思っている訳ではない。
悪いようにはしないから、奉行所まで御同行願いたい」
これまで阿修羅のような殺気を纏っていた勝三郎が、今では弥勒菩薩のように慈愛に満ちた笑顔を浮かべて言う。
「御貴殿がそう言ってくださるのなら、同行させていただきます」
「某はすられた現場にいなかったので、同輩を信じ藩の名誉を守ろうと……」
「私は何も知りません、御武家様の紙入れをすったりはしていません」
「どけ、どけ、どけ、御町の旦那の御通りだ!」
勝三郎が争いを納めた直後、今更のように奉行所の同心がやって来る。
その場に勝三郎がいるとも知らず、岡っ引きが居丈高に人々を押しのける。
「こら三一、ここで何してやがる!?」
岡っ引きが一番人目を引く勝三郎を貶める言葉を吐いた。
最初は岡っ引きの好きにさせていた同心だったが……
「馬鹿野郎、何て口を利いている、無礼者!
申し訳ございません勝三郎様、愚かな小者の失言、どうか御許し下さい」
ガンという激しい音が広小路中に広がるくらい、強く岡っ引きが殴られた。
その強さは、殴られて吹き飛んだ岡っ引きがぴくりとも動かないので分かる。
「これは大山さん、御苦労様ですね」
「とんでもございません、争いがあったと聞けば、急いで駆けつけるのは当然です。
何があったのか教えて頂けるでしょうか?」
勝三郎の父親と言ってもおかしくない、四十半ばの同心が丁寧に聞く。
黒の紋付羽織は、裾を帯の中に内に巻き上げて挟んだ巻羽織。
縞の着流しに雪駄、結ったばかりの小銀杏髷。
朱房の十手と刀は、帯に水平に差した閂差しにしている。
定町廻らしい身嗜みは、野次馬達を畏怖させるに十分だった。
「少し行き違いがあっただけで大した事ではない。
ただ、後々の諍いに成ってはいけないので、奉行所で話を聞く事にした」
「左様でございますか、何かお手伝いさせて頂けることはありますか?」
「老練な大山さんにそう言っていただけると心強いです。
私がこの方々を御案内しますので、大山さんはすりの疑いをかけられた、この人を案内してやってください」
「はっ、御配慮痛み入ります」
勝三郎が女すり捕縛の手柄を譲ると言ったので、大山がうれしそうに返事する。
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