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第1章
第4話:逆臣と盗賊
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横須賀藩西尾家の側用人、倉橋源蔵に客が訪ねて来た。
佐久間与力の密偵が辛抱強く見張っている事を知らず、謀略の打ち合わせをした。
「毒を盛る手筈が整ったのだな?」
「はい、若殿の近習の半数近くを味方に取り込みました」
「本当に寝返ったのだな、罠ではないのだな?」
「大丈夫でございます、手柄次第で扶持取の近習番から石取りの給人家に大抜擢していただけるのです。
皆心から倉橋様に同心しております。
何より今回の件は殿が御望みなのでしょう?」
「そうだ、一時は若殿の家督を譲りたいと思っておられたが、翻意されたのだ。
暗愚な若殿ではなく、国元の聡明な安三郎様に家督を譲りたいと思っておられる。
だがそれを奸臣の桑島殿が強硬に反対していて、思うようにできぬのだ。
まあ、桑島殿も幕府の手前、長幼の順を守るしかないのだ。
ここは我ら藩を想う忠臣が、涙を呑んで若殿に死んで頂くしかないのだ」
「はい、中屋敷の仲間達も同じ思いでございます」
事も有ろうに、若殿を殺して愛妾に生ませた三男に家を継がせようとしていた。
最後まで話を聞いていた密偵は、急いで南町奉行所に駆け込んで報告した。
奉行所の小者に取り次いでもらい、年番部屋にいる佐久間与力に報告した。
佐久間与力は他の与力同心に聞かれないように、気を付けながら報告を受けた。
報告を受けた佐久間与力は南町奉行の牧野大隅守成賢のいる用部屋に行った。
「武士として許し難い事ではございますが、大名家の内々は支配違いでございます。
いかがすれば宜しいでしょうか?」
佐久間武太夫年番与力は密偵から報告を受けた事を全て話した。
「ふむ、町奉行としては支配違いで手出しできぬ。
とはいえ、武士として奸臣を見過ごす事はできぬ。
評定所に訴えがあった場合は、町奉行として吟味に加わらねばならぬ。
御老中に御伺いを立てるから、それまでは見張らせるにとどめよ」
「承りました」
牧野大隅守は松平武元、松平輝高、松平康福、板倉勝清、田沼意次の五老中に相談する事にした。
翌日の朝早くから奉行所の役目をこなした牧野大隅守は、巳の刻(十時)に江戸城の登城して老中に相談した。
老中も町奉行所と同じく月番制なのだが、幕府徳川家、何より家治将軍に心から忠誠を尽くしている松平武元と田沼意次は月番に関係なく登城していた。
そして徳川家治将軍から特に信任されている老中が、首座の松平武元と側用人から累進した田沼意次の二人だったので、真っ先に相談する事になった。
「そうか、分かった、横須賀藩を取り潰す訳にはいかないから、表立って動かずに内々で防ぐようにする」
牧野大隅守の相談を受けた田沼意次が答えた。
「お手伝いできることはございますか?」
「いや、大隅守には町奉行の役目に励んでもらいたい」
「承りました」
老中に相談した牧野大隅守は、申の刻(十六時)に下城して南町奉行所に戻り、留守の間に溜まった書類、特に与力の裁きに間違いがないか確認した。
「雨か、今日こそ雨垂の奴を捕らえたいのう」
集中していた書類仕事がひと息ついて、ようやく雨に気が付いた奉行が言う。
雨の日だけ町方に忍び込む、独り働きの盗賊がなかなか捕らえられないのだ。
評判の悪い店だけ狙って盗みに入るので、町人に人気の盗賊だった。
町人には義賊扱いされているが、金をばら撒いている訳ではない。
ただの盗人なのに評判が良いので、南北の町奉行所は躍起になっているが、一向に捕らえることができない。
江戸時代の盗みは罪が重く、十両盗むと打ち首になる。
それも一度に十両ではなく、累積十両で打ち首なのだ。
だから悪事を働こうとする者が少ない。
何より江戸の町は悪事を働き難い町割りになっている。
江戸の町は、夜になれば木戸が閉められ他の町から入れないようになっている。
裏長屋の出入口には長屋木戸があり、長屋木戸の鍵は大家が持っていて、暮六つ(午後六時)に閉められ明六つ(午前六時)に開けられる。
大木戸は木戸番によって夜の四ツ時(午後十時)に閉められ明六つ(午前六時)に開けらるのだが、木戸番に許可をもらえば左右にある潜り戸から通してもらえる。
だが必ず通行する人数分だけ拍子木を打ち鳴らす、拍子木が打たれたのに次の木戸に通行人が来ない場合は、人を出して町内を改めるくらい厳重に守られているのだ。
しかも大木戸を閉めるのは夜に限らず、昼でも盗賊や狼藉者が現れたら大木戸を閉めて逃がさないようにしていた。
更に町ごとに置かれた木戸番だけでなく、東西の往来大通りに面した四ツ辻の南側角には自身番が置かれていた。
自身番は江戸町奉行所の出張所であり江戸町会所への連絡所でもある。
火の見櫓と半鐘があり、火事道具が置かれて消防団詰所としての役割もあった。
容疑者を繋ぐ鉄輪が柱にあり、捕物道具が置かれた交番としての役割もあった。
そんな木戸番と自身番が町ごとに置かれただけでなく、武家地には大名や旗本が置く辻番があったので、盗みをしても町内から逃げられないのが普通だった。
それなのに、雨垂はどこからともなく表店に入り込んで盗みを働く。
盗みを働くだけでなく、煙のように消えて捕まらないのだ。
南北の町奉行所が面目を失い、躍起になって捕らえようとするのは当然だった。
もちろん佐久間年番与力が抱える密偵達も、足を棒にして手掛かりを探していた。
与力屋敷と船宿鯛仙を往復している佐久間勝三郎も同じように探していた。
特に雨の日には、評判の悪い商人がいる町内に入り込んでいた。
大木戸北側にある木戸番所の番太、二人の老人が寝ずに見張る。
大木戸を飛び越える者がいないか眠い目をこすりながら見張っていた。
大木戸南側にある自身番の当番三人から五人が、捕物道具を手に見張っていた。
大木戸を飛び越える者がいないか、武者震いしながら見張っていた。
ピィイイイイ
深夜の静寂を破る呼子笛が江戸の町に鳴り響いた。
日本橋平松町には評判の悪い油屋があった。
表向きの油屋だけでなく、裏では無頼の者共を使って金貸しをやっている。
日に一割という暴利の金貸しで、僅かな借金で女房や娘を連れて行かれた弱い連中が数多くいると評判になっていた。
必ず雨垂が狙うと目星をつけた佐久間勝三郎が向かいの家の二階を借りて、晴れの日には盗みの準備をしないか密偵に見張らせ、雨の日は自ら待ち受けていた。
そして思っていた通り、雨垂が二階の窓から逃げる姿を見つけたのだ。
猿のように屋根の上を身軽に逃げる雨垂を佐久間勝三郎が追う。
勝三郎と共に見張っていた密偵達は、雨垂に不意を突かれないように広く追う。
同じ町内の屋根は飛び移れても、大通りを越えて他町の屋根には飛び移れないと考えて、大通りに飛び降りられないように広く包囲する。
「観念しろ雨垂、ここが年貢の納め時だ!」
雨垂に劣らぬ身軽さで、軒先に手をかけ反動で屋根に飛びあがった佐久間勝三郎が、槍を片手に雨垂の逃げ道を塞ぐ。
「ふん、殺されても年貢を納める気はないね、この程度で捕らえられるものか!」
雨垂はそう言い放つと軽業師のように屋根の上を逃げ回る。
槍の石突を使って生け捕りにしようとする勝三郎に対して、宙返り、後方転回、側方倒立回転を繰り返し、勝三郎を翻弄しようとする。
だが、勝三郎は派手な大技に目を奪われたりしない。
ぎりぎりで槍を避けられる方が隙ができて危ないのだ。
大きく動いて逃げる相手なら、余裕を持って次の技が繰り出せる。
「そのような見せ技に後れを取る我ではない、そこ!」
勝三郎の神速突きが、後方転回を繰り返した雨垂の先を読み鳩尾に突き刺さる。
とはいえ、石突なので腹を突き破る事はない。
「うぅぅぅむ」
呻き声を上げて屋根から転び落ちそうになる雨垂の襟足を勝三郎がつかむ。
「盗賊雨垂、召し取ったり!」
勝三郎が屋根の上で歌舞伎のような見栄を切る。
呼子笛と屋根の上での捕り物に目を覚ました江戸っ子が、雨戸をあけて隙間から覗き見していたが、思わず雨戸を大きく開いて拍手喝采する。
佐久間与力の密偵が辛抱強く見張っている事を知らず、謀略の打ち合わせをした。
「毒を盛る手筈が整ったのだな?」
「はい、若殿の近習の半数近くを味方に取り込みました」
「本当に寝返ったのだな、罠ではないのだな?」
「大丈夫でございます、手柄次第で扶持取の近習番から石取りの給人家に大抜擢していただけるのです。
皆心から倉橋様に同心しております。
何より今回の件は殿が御望みなのでしょう?」
「そうだ、一時は若殿の家督を譲りたいと思っておられたが、翻意されたのだ。
暗愚な若殿ではなく、国元の聡明な安三郎様に家督を譲りたいと思っておられる。
だがそれを奸臣の桑島殿が強硬に反対していて、思うようにできぬのだ。
まあ、桑島殿も幕府の手前、長幼の順を守るしかないのだ。
ここは我ら藩を想う忠臣が、涙を呑んで若殿に死んで頂くしかないのだ」
「はい、中屋敷の仲間達も同じ思いでございます」
事も有ろうに、若殿を殺して愛妾に生ませた三男に家を継がせようとしていた。
最後まで話を聞いていた密偵は、急いで南町奉行所に駆け込んで報告した。
奉行所の小者に取り次いでもらい、年番部屋にいる佐久間与力に報告した。
佐久間与力は他の与力同心に聞かれないように、気を付けながら報告を受けた。
報告を受けた佐久間与力は南町奉行の牧野大隅守成賢のいる用部屋に行った。
「武士として許し難い事ではございますが、大名家の内々は支配違いでございます。
いかがすれば宜しいでしょうか?」
佐久間武太夫年番与力は密偵から報告を受けた事を全て話した。
「ふむ、町奉行としては支配違いで手出しできぬ。
とはいえ、武士として奸臣を見過ごす事はできぬ。
評定所に訴えがあった場合は、町奉行として吟味に加わらねばならぬ。
御老中に御伺いを立てるから、それまでは見張らせるにとどめよ」
「承りました」
牧野大隅守は松平武元、松平輝高、松平康福、板倉勝清、田沼意次の五老中に相談する事にした。
翌日の朝早くから奉行所の役目をこなした牧野大隅守は、巳の刻(十時)に江戸城の登城して老中に相談した。
老中も町奉行所と同じく月番制なのだが、幕府徳川家、何より家治将軍に心から忠誠を尽くしている松平武元と田沼意次は月番に関係なく登城していた。
そして徳川家治将軍から特に信任されている老中が、首座の松平武元と側用人から累進した田沼意次の二人だったので、真っ先に相談する事になった。
「そうか、分かった、横須賀藩を取り潰す訳にはいかないから、表立って動かずに内々で防ぐようにする」
牧野大隅守の相談を受けた田沼意次が答えた。
「お手伝いできることはございますか?」
「いや、大隅守には町奉行の役目に励んでもらいたい」
「承りました」
老中に相談した牧野大隅守は、申の刻(十六時)に下城して南町奉行所に戻り、留守の間に溜まった書類、特に与力の裁きに間違いがないか確認した。
「雨か、今日こそ雨垂の奴を捕らえたいのう」
集中していた書類仕事がひと息ついて、ようやく雨に気が付いた奉行が言う。
雨の日だけ町方に忍び込む、独り働きの盗賊がなかなか捕らえられないのだ。
評判の悪い店だけ狙って盗みに入るので、町人に人気の盗賊だった。
町人には義賊扱いされているが、金をばら撒いている訳ではない。
ただの盗人なのに評判が良いので、南北の町奉行所は躍起になっているが、一向に捕らえることができない。
江戸時代の盗みは罪が重く、十両盗むと打ち首になる。
それも一度に十両ではなく、累積十両で打ち首なのだ。
だから悪事を働こうとする者が少ない。
何より江戸の町は悪事を働き難い町割りになっている。
江戸の町は、夜になれば木戸が閉められ他の町から入れないようになっている。
裏長屋の出入口には長屋木戸があり、長屋木戸の鍵は大家が持っていて、暮六つ(午後六時)に閉められ明六つ(午前六時)に開けられる。
大木戸は木戸番によって夜の四ツ時(午後十時)に閉められ明六つ(午前六時)に開けらるのだが、木戸番に許可をもらえば左右にある潜り戸から通してもらえる。
だが必ず通行する人数分だけ拍子木を打ち鳴らす、拍子木が打たれたのに次の木戸に通行人が来ない場合は、人を出して町内を改めるくらい厳重に守られているのだ。
しかも大木戸を閉めるのは夜に限らず、昼でも盗賊や狼藉者が現れたら大木戸を閉めて逃がさないようにしていた。
更に町ごとに置かれた木戸番だけでなく、東西の往来大通りに面した四ツ辻の南側角には自身番が置かれていた。
自身番は江戸町奉行所の出張所であり江戸町会所への連絡所でもある。
火の見櫓と半鐘があり、火事道具が置かれて消防団詰所としての役割もあった。
容疑者を繋ぐ鉄輪が柱にあり、捕物道具が置かれた交番としての役割もあった。
そんな木戸番と自身番が町ごとに置かれただけでなく、武家地には大名や旗本が置く辻番があったので、盗みをしても町内から逃げられないのが普通だった。
それなのに、雨垂はどこからともなく表店に入り込んで盗みを働く。
盗みを働くだけでなく、煙のように消えて捕まらないのだ。
南北の町奉行所が面目を失い、躍起になって捕らえようとするのは当然だった。
もちろん佐久間年番与力が抱える密偵達も、足を棒にして手掛かりを探していた。
与力屋敷と船宿鯛仙を往復している佐久間勝三郎も同じように探していた。
特に雨の日には、評判の悪い商人がいる町内に入り込んでいた。
大木戸北側にある木戸番所の番太、二人の老人が寝ずに見張る。
大木戸を飛び越える者がいないか眠い目をこすりながら見張っていた。
大木戸南側にある自身番の当番三人から五人が、捕物道具を手に見張っていた。
大木戸を飛び越える者がいないか、武者震いしながら見張っていた。
ピィイイイイ
深夜の静寂を破る呼子笛が江戸の町に鳴り響いた。
日本橋平松町には評判の悪い油屋があった。
表向きの油屋だけでなく、裏では無頼の者共を使って金貸しをやっている。
日に一割という暴利の金貸しで、僅かな借金で女房や娘を連れて行かれた弱い連中が数多くいると評判になっていた。
必ず雨垂が狙うと目星をつけた佐久間勝三郎が向かいの家の二階を借りて、晴れの日には盗みの準備をしないか密偵に見張らせ、雨の日は自ら待ち受けていた。
そして思っていた通り、雨垂が二階の窓から逃げる姿を見つけたのだ。
猿のように屋根の上を身軽に逃げる雨垂を佐久間勝三郎が追う。
勝三郎と共に見張っていた密偵達は、雨垂に不意を突かれないように広く追う。
同じ町内の屋根は飛び移れても、大通りを越えて他町の屋根には飛び移れないと考えて、大通りに飛び降りられないように広く包囲する。
「観念しろ雨垂、ここが年貢の納め時だ!」
雨垂に劣らぬ身軽さで、軒先に手をかけ反動で屋根に飛びあがった佐久間勝三郎が、槍を片手に雨垂の逃げ道を塞ぐ。
「ふん、殺されても年貢を納める気はないね、この程度で捕らえられるものか!」
雨垂はそう言い放つと軽業師のように屋根の上を逃げ回る。
槍の石突を使って生け捕りにしようとする勝三郎に対して、宙返り、後方転回、側方倒立回転を繰り返し、勝三郎を翻弄しようとする。
だが、勝三郎は派手な大技に目を奪われたりしない。
ぎりぎりで槍を避けられる方が隙ができて危ないのだ。
大きく動いて逃げる相手なら、余裕を持って次の技が繰り出せる。
「そのような見せ技に後れを取る我ではない、そこ!」
勝三郎の神速突きが、後方転回を繰り返した雨垂の先を読み鳩尾に突き刺さる。
とはいえ、石突なので腹を突き破る事はない。
「うぅぅぅむ」
呻き声を上げて屋根から転び落ちそうになる雨垂の襟足を勝三郎がつかむ。
「盗賊雨垂、召し取ったり!」
勝三郎が屋根の上で歌舞伎のような見栄を切る。
呼子笛と屋根の上での捕り物に目を覚ました江戸っ子が、雨戸をあけて隙間から覗き見していたが、思わず雨戸を大きく開いて拍手喝采する。
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