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第1章
第6話:火事と裏工作
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横須賀藩西尾家の若殿がお国入りの準備を整えている頃、江戸に火付けして盗みを働く凶盗が現れた。
「火事だ、火事だぞ!」
凶盗の付け火によって、またしても江戸の町が燃え上がった。
大火になる事を恐れて江戸中の人々が逃げ惑い騒然としていた。
幕閣を始めとした旗本御家人は急ぎ登城して江戸城の守りにつく。
町火消と大名火消が必死で類焼を防ごうとする。
火付け盗賊改めと南北の町奉行所は凶盗を捕らえようとする。
そんな凶事である火事を、立身出世の好機ととらえる者がいた。
京都西町奉行の父が在任中に亡くなって江戸に戻った長谷川平蔵は、喪に服す意味もあり長田備中守の小普請支配となっていた。
江戸の吉原で十二分に遊んだ長谷川平蔵は、御役目を得る機会を狙っていた。
凶盗による付け火で大火となったのは絶好の機会だった。
凶盗の付け火で江戸城に詰めている田沼意次の留守に、田沼家の上屋敷に馳せ参じ、奥方様達を郊外の下屋敷にまで護衛したのだ。
明暦の大火で天守閣を焼失しただけでなく、江戸城は火事で度々焼けている。
老中の田沼意次だけでなく、役目を得ている旗本御家人は江戸城の守りに忙しい。
二年前の火事でも辰巳三重櫓、和田倉門と馬場先門、日比谷門と神田門を焼失しており、何としてでも江戸城を守ろうと眦を決して持ち場を守っていた。
当主だけでなく、主だった家臣も供備えとして江戸城に向かう。
火事が迫るのに、当主だけでなく家臣の大半も江戸城に行ってしまう。
上屋敷に残される田沼家の奥方と姫君達は不安で震えている。
こんな時に大通とまで呼ばれる粋な長谷川平蔵が助けに馳せ参じるのだ。
田沼意次が屋敷に戻ったら、奥方達が話題にして褒めるのは当然だった。
才人の田沼意次に長谷川平蔵の狙いが分からない訳がない。
役目を願って才の有る所を見せようとしているのに気が付く。
長谷川平蔵も、田沼意次なら平蔵が若い頃に放蕩の限りを尽くしていても、過去の行状に関係なく才ある者を取立てると見抜いている。
「平蔵、上様の為に汚れ役をする覚悟はあるか?」
長谷川平蔵を上屋敷に呼び出した田沼意次が言う。
「ございます」
「勝三郎はどうじゃ、上様の為に汚れ役をする覚悟はあるか?」
長谷川平蔵と一緒に呼び出された佐久間勝三郎にも田沼意次が問う。
「民の為になる事ならば、喜んでやらせていただきます」
「民の為にならないなら、上様の御役目でも働かないと申すのか?」
「申し訳ございませんが、御家人にも成れない町奉行所与力の生まれでございますれば、町人のために働くように育てられております」
「旗本御家人の家に養子に入れるなら、上様のために働くのか?」
「勝手向きが苦しく、札差に扶持の数年分も前借しなければいけない家に養子に入るよりは、船宿の亭主となって好きな料理を作る方が性に合っております」
「ならば無役の御家人として普段は好きにすればよい。
登城しなければいけない時にだけ武士を名乗り、普段は町民として生きれば良い。
その方なら船宿の利で札差に前借しなくてもやって行けるであろう」
「旗本にはしていただけないのですか?」
「余に家譜を偽れと申すのか?」
「そうは申しませんが、御家人から旗本に成れる機会はいただきとうございます」
勝三郎は、豪胆を自負していた長谷川平蔵が呆れるほどの要求を突きつける。
「上様の為よりも町民のために働きたいのではなかったのか?」
「上様への御奉公は義父にお任せいたします。
某の義父と成る方が徒士目付の御役目を得られたら、某が江戸の町で集めた噂があれば、上様のお役に立てると思います」
「義父に上様への忠義を任せ、勝三郎は町民のために働くと申すのだな?」
「はい、本気で御府内の噂を集めていれば、自然と盗賊だけでなく旗本御家人の噂も集まってまいります。
全て上様の為に利用しようと思えば、目付と町方の力、両方が必要でございます。
どうせ働くなら立身出世がしたいのが人情でございます。
徒士目付で功をあげ永年働けば、旗本に取立てて頂けると聞いております。
筆算吟味から支配勘定に取立てて頂き、勘定になる方法もございますが、それでは自由に動けません」
勝三郎の言う通り、生まれが最優先される徳川幕府にあって、数少ない実力主義なのが、筆算能力が厳しく問われる勘定奉行所だった。
勘定奉行所で人手が足らなくなった時に行われる筆算吟味に合格すれば、微禄の御家人であっても支配勘定として取立てられる。
運と能力に幕閣の引き上げがあれば、勘定奉行に次ぐ勘定吟味役に成れる。
六位布衣が許され格式石高五百石の勘定吟味役になれば、一代だけでなく永代御目見得以上に成れるのだが、勝三郎の言う通り勘定奉行入りすると自由に動けない。
「面白い、そこまで言うのなら勝三郎の力を試してやろう。
だが、横須賀藩の件は緊急を要する、良き養子縁組を見つけるまで待てぬ。
先に御家騒動を片付けてもらおう」
「承りましてございます」
勝三郎はこれまでの駆け引きが嘘のように素直に引き受けた。
町奉行所与力の家に生まれ育ち、三男として他家に養子入りする事も町民に下る事も考えて、あらゆる教育を施された上に世慣れているのだ。
老中田沼意次が推挙して小普請から徒士目付に抜擢しても恥をかかない程度の能力があり、勝三郎を養子に迎えても問題のない御家人が少ないくらい分かっていた。
ここで人選に手を抜けば、田沼意次も勝三郎も手痛い目に合うからだ。
話がまとまった田沼意次は即座に動いた。
大名の妻子は江戸定府が定めなのだが、特例として横須賀に戻る事を許した。
そもそも徳川将軍家は最初から大名に人質を強制した訳ではない。
加賀前田家以外は、家康を恐れて自ら進んで江戸に人質を送ったのだ。
だから、幕府から国元と戻って良いと言えば問題ない。
江戸から近い大名は半年間隔で参勤交代をしている。
国元の統治のために藩主が半年毎に江戸と領地を行き来するのだ。
だが、横須賀藩の藩主西尾忠需は病気で国元に帰れないと江戸家老が言って来た。
実際には側用人の倉橋源蔵にアヘンを盛られて正気を失っているからだ。
この時代でいう乱心状態で、とてもではないが駕籠に乗っていられない。
だから表向き一人しかいない子供の若殿が国元に戻って政務をとる。
「出立」
忠義の近習番五人を中核に、少数精鋭で西尾山城守が横須賀に戻る。
「片寄れ、片寄れ」
江戸御府内だけは先触れが人を除けて急いで進む。
三万五千石の大名家として恥をかかない最低限の人数を集めた。
全て上屋敷に内緒で、忠義の江戸家老にも知らせずに人を集めた。
口入屋、徳川幕府の公式名称では人宿と呼ばれている人材斡旋業を通じて供揃えを整えて、御府内を離れたら最低限の人数で横須賀に戻る。
日雇いの者達がいなくなれば後は早い。
若殿と近習番、長谷川平蔵と佐久間勝三郎らが騎乗して先を急ぐ。
早朝に出立した一行は途中で馬を替えて日暮れまでに横須賀についた。
上屋敷の謀叛人達を出し抜くことができたので、国元の謀叛人達も迎え討つ準備が全くできておらず、楽々と横須賀城に乗り込めた。
「上意である、歯向かう者は謀叛人として斬り捨てる」
僅か五人となってしまった西尾山城守の近習番が命懸けで先陣を切る。
「お待ちください、若殿であろうと勝手に奥に入る事は許されません!」
横須賀城本丸御殿の、表と奥の境目を守る小姓や納戸役が必死で止める。
長谷川平蔵が鞘ごと抜いた刀で、佐久間勝三郎が石突しか使わない槍で、邪魔をする小姓と納戸役を叩きのめしていく。
「きゃあああああ、狼藉者です、取り押さえなさい」
「松園様、お逃げください松園様」
「お待ちください、しばし、しばしお待ちください」
「御乱心、若殿の御乱心です、取り押さえなさい」
西尾主水正が国元で囲っていた愛妾の部屋に無理矢理入った。
「火事だ、火事だぞ!」
凶盗の付け火によって、またしても江戸の町が燃え上がった。
大火になる事を恐れて江戸中の人々が逃げ惑い騒然としていた。
幕閣を始めとした旗本御家人は急ぎ登城して江戸城の守りにつく。
町火消と大名火消が必死で類焼を防ごうとする。
火付け盗賊改めと南北の町奉行所は凶盗を捕らえようとする。
そんな凶事である火事を、立身出世の好機ととらえる者がいた。
京都西町奉行の父が在任中に亡くなって江戸に戻った長谷川平蔵は、喪に服す意味もあり長田備中守の小普請支配となっていた。
江戸の吉原で十二分に遊んだ長谷川平蔵は、御役目を得る機会を狙っていた。
凶盗による付け火で大火となったのは絶好の機会だった。
凶盗の付け火で江戸城に詰めている田沼意次の留守に、田沼家の上屋敷に馳せ参じ、奥方様達を郊外の下屋敷にまで護衛したのだ。
明暦の大火で天守閣を焼失しただけでなく、江戸城は火事で度々焼けている。
老中の田沼意次だけでなく、役目を得ている旗本御家人は江戸城の守りに忙しい。
二年前の火事でも辰巳三重櫓、和田倉門と馬場先門、日比谷門と神田門を焼失しており、何としてでも江戸城を守ろうと眦を決して持ち場を守っていた。
当主だけでなく、主だった家臣も供備えとして江戸城に向かう。
火事が迫るのに、当主だけでなく家臣の大半も江戸城に行ってしまう。
上屋敷に残される田沼家の奥方と姫君達は不安で震えている。
こんな時に大通とまで呼ばれる粋な長谷川平蔵が助けに馳せ参じるのだ。
田沼意次が屋敷に戻ったら、奥方達が話題にして褒めるのは当然だった。
才人の田沼意次に長谷川平蔵の狙いが分からない訳がない。
役目を願って才の有る所を見せようとしているのに気が付く。
長谷川平蔵も、田沼意次なら平蔵が若い頃に放蕩の限りを尽くしていても、過去の行状に関係なく才ある者を取立てると見抜いている。
「平蔵、上様の為に汚れ役をする覚悟はあるか?」
長谷川平蔵を上屋敷に呼び出した田沼意次が言う。
「ございます」
「勝三郎はどうじゃ、上様の為に汚れ役をする覚悟はあるか?」
長谷川平蔵と一緒に呼び出された佐久間勝三郎にも田沼意次が問う。
「民の為になる事ならば、喜んでやらせていただきます」
「民の為にならないなら、上様の御役目でも働かないと申すのか?」
「申し訳ございませんが、御家人にも成れない町奉行所与力の生まれでございますれば、町人のために働くように育てられております」
「旗本御家人の家に養子に入れるなら、上様のために働くのか?」
「勝手向きが苦しく、札差に扶持の数年分も前借しなければいけない家に養子に入るよりは、船宿の亭主となって好きな料理を作る方が性に合っております」
「ならば無役の御家人として普段は好きにすればよい。
登城しなければいけない時にだけ武士を名乗り、普段は町民として生きれば良い。
その方なら船宿の利で札差に前借しなくてもやって行けるであろう」
「旗本にはしていただけないのですか?」
「余に家譜を偽れと申すのか?」
「そうは申しませんが、御家人から旗本に成れる機会はいただきとうございます」
勝三郎は、豪胆を自負していた長谷川平蔵が呆れるほどの要求を突きつける。
「上様の為よりも町民のために働きたいのではなかったのか?」
「上様への御奉公は義父にお任せいたします。
某の義父と成る方が徒士目付の御役目を得られたら、某が江戸の町で集めた噂があれば、上様のお役に立てると思います」
「義父に上様への忠義を任せ、勝三郎は町民のために働くと申すのだな?」
「はい、本気で御府内の噂を集めていれば、自然と盗賊だけでなく旗本御家人の噂も集まってまいります。
全て上様の為に利用しようと思えば、目付と町方の力、両方が必要でございます。
どうせ働くなら立身出世がしたいのが人情でございます。
徒士目付で功をあげ永年働けば、旗本に取立てて頂けると聞いております。
筆算吟味から支配勘定に取立てて頂き、勘定になる方法もございますが、それでは自由に動けません」
勝三郎の言う通り、生まれが最優先される徳川幕府にあって、数少ない実力主義なのが、筆算能力が厳しく問われる勘定奉行所だった。
勘定奉行所で人手が足らなくなった時に行われる筆算吟味に合格すれば、微禄の御家人であっても支配勘定として取立てられる。
運と能力に幕閣の引き上げがあれば、勘定奉行に次ぐ勘定吟味役に成れる。
六位布衣が許され格式石高五百石の勘定吟味役になれば、一代だけでなく永代御目見得以上に成れるのだが、勝三郎の言う通り勘定奉行入りすると自由に動けない。
「面白い、そこまで言うのなら勝三郎の力を試してやろう。
だが、横須賀藩の件は緊急を要する、良き養子縁組を見つけるまで待てぬ。
先に御家騒動を片付けてもらおう」
「承りましてございます」
勝三郎はこれまでの駆け引きが嘘のように素直に引き受けた。
町奉行所与力の家に生まれ育ち、三男として他家に養子入りする事も町民に下る事も考えて、あらゆる教育を施された上に世慣れているのだ。
老中田沼意次が推挙して小普請から徒士目付に抜擢しても恥をかかない程度の能力があり、勝三郎を養子に迎えても問題のない御家人が少ないくらい分かっていた。
ここで人選に手を抜けば、田沼意次も勝三郎も手痛い目に合うからだ。
話がまとまった田沼意次は即座に動いた。
大名の妻子は江戸定府が定めなのだが、特例として横須賀に戻る事を許した。
そもそも徳川将軍家は最初から大名に人質を強制した訳ではない。
加賀前田家以外は、家康を恐れて自ら進んで江戸に人質を送ったのだ。
だから、幕府から国元と戻って良いと言えば問題ない。
江戸から近い大名は半年間隔で参勤交代をしている。
国元の統治のために藩主が半年毎に江戸と領地を行き来するのだ。
だが、横須賀藩の藩主西尾忠需は病気で国元に帰れないと江戸家老が言って来た。
実際には側用人の倉橋源蔵にアヘンを盛られて正気を失っているからだ。
この時代でいう乱心状態で、とてもではないが駕籠に乗っていられない。
だから表向き一人しかいない子供の若殿が国元に戻って政務をとる。
「出立」
忠義の近習番五人を中核に、少数精鋭で西尾山城守が横須賀に戻る。
「片寄れ、片寄れ」
江戸御府内だけは先触れが人を除けて急いで進む。
三万五千石の大名家として恥をかかない最低限の人数を集めた。
全て上屋敷に内緒で、忠義の江戸家老にも知らせずに人を集めた。
口入屋、徳川幕府の公式名称では人宿と呼ばれている人材斡旋業を通じて供揃えを整えて、御府内を離れたら最低限の人数で横須賀に戻る。
日雇いの者達がいなくなれば後は早い。
若殿と近習番、長谷川平蔵と佐久間勝三郎らが騎乗して先を急ぐ。
早朝に出立した一行は途中で馬を替えて日暮れまでに横須賀についた。
上屋敷の謀叛人達を出し抜くことができたので、国元の謀叛人達も迎え討つ準備が全くできておらず、楽々と横須賀城に乗り込めた。
「上意である、歯向かう者は謀叛人として斬り捨てる」
僅か五人となってしまった西尾山城守の近習番が命懸けで先陣を切る。
「お待ちください、若殿であろうと勝手に奥に入る事は許されません!」
横須賀城本丸御殿の、表と奥の境目を守る小姓や納戸役が必死で止める。
長谷川平蔵が鞘ごと抜いた刀で、佐久間勝三郎が石突しか使わない槍で、邪魔をする小姓と納戸役を叩きのめしていく。
「きゃあああああ、狼藉者です、取り押さえなさい」
「松園様、お逃げください松園様」
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