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第1章
第13話:姉妹と破落戸
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「若旦那、お久しぶりです」
素人には見えない艶やかな年増女がうれしそうに近寄って来る。
勝三郎の腕を取らんばかりに近寄って、子犬のようにまとわりつく。
「何だてめわ!」
勝三郎と一緒に芝愛宕下を見廻っている亥之助が怒鳴りつける。
「そんなに怒鳴らないの、亥之助さんの同輩よ」
「本当なんですか?」
「父上か兄上が認めたのだろう、俺について来ていいのか?」
亥之助に答えた勝三郎がお園に尋ねる。
「はい、武太夫様に御願いしたら、今日から若旦那に従えと言っていただけました」
「そうか、だったら構わない」
「うれしい!」
「若旦那、本当にいいんですか、目立ちすぎますよ」
「構わない、目立った方が悪い奴らが寄って来る」
「なるほど、悪い虫を集めるための餌なんですね」
亥之助はお園にあてこするように言う。
「餌でも好いわ、若旦那と一緒に歩けるなら」
剃刀のお園は嬉しそうに言って勝三郎の横を歩く。
「私はお園を捕らえたのだぞ、恨まれる事はあっても好かれる事はないはずだが」
「……私がすった紙入れが何に使われたのか、武太夫様からお聞きしました。
領民の為に良い事をしていた御殿様が阿芙蓉で乱心させられ、若殿まで毒を盛られて殺されかけたとお聞きしました。
悪人達が藩を牛耳っていたら、多くの百姓衆が虐げられていたとも言われました。
そんな事になっていたら私……」
「へん、二つ名のあるすりの癖に、なに殊勝な事言ってやがるんだ」
「ふん、あんただって二つ名のある盗人じゃないか!」
亥之助とお園は声を抑えながら言い争った。
勝三郎は言い争う二人に構わず悠々と芝愛宕下を見廻る。
「お止めください、これ以上付きまとうと、ただではすませんませんよ!」
貧しい旅装の女二人が、三縁山増上寺門前町に巣食う破落戸達に絡まれていた。
「へん、えらそうに、ただですなまいだと?」
「やれるものならやってもらおうじゃないか!」
「兄貴、俺もうしんぼうたまらないよ」
「おめぇらわ、黙っていろ!
あんたたち、江戸に出てきたばかりで右も左も分からないだろう?
俺たちが江戸の事を一から手取足取り教えてやる。
悪いようにはしないから、大人しくついてきな」
「「「「「えっへへへへへ」」」」」
破落戸が一斉に姉妹に襲い掛かった。
「無礼者!」
旅の埃に塗れ、ひと目で疲れ果てているのが分かる女が懐剣を振るった。
「いて、何しやがる、このあまぁ!」
前腕を斬られた破落戸の兄貴分が姉の方を殴ろうとした。
「戯け!」
深編笠の下から全てを見ていた勝三郎が、電光石火の早さで脇差の小柄を放った。
「ぎゃ!」
破落戸が振り上げた右手の拳に深々と小柄が刺さった。
「火付け盗賊改め方与力、佐久間陣十郎が一子啓次郎である。
武家の娘に対しての強請集り許し難し、大人しく縛につけ!」
勝三郎は次兄の名を名乗って破落戸達を捕らえようとした。
南町奉行所の見習与力をしている長兄だと、門前町に顔を知っている者がいる可能性を考えて、次兄の名を使う方が安全だと考えたのだ。
「逃げろ!」
「捕らえよ、捕えた者には褒美を取らす!」
ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい
増上寺門前町の周辺に、町奉行所の者が使う呼子笛が鳴り響く。
破落戸だけでなく、門前町の者達が一気に緊張した。
普段なら徳川家所縁の増上寺や、門前町を牛耳る香具師の元締めの方が火付け盗賊改め方与力よりも力があるが、火付け盗賊に係わる大捕物があったばかりだ。
何かあれば増上寺であろうと厳しい御咎めを受ける可能性がある。
門前町で商いをしている商家はもちろん、名主も地主も家主も連座は免れない。
下手をすれば打ち首獄門、軽くても五年間は名主屋敷取り上げになる。
「てめぇら何しやがる、後でどうなるか分かっているのか?!」
見ていた町の人達が、突支棒や包丁を手に破落戸を捕らえようとしたが、破落戸の兄貴分が捕らえようと立ち塞がる町民を威嚇する。
力任せに町民達を振り払い、増上寺の境内に逃げ込もうとする。
「戯けが!」
破落戸は七人もいたのだが、勝三郎が足の遅い下っ端から四人を叩き伏せる。
亥之助もお園も一人ずつ叩き伏せて、残るは兄貴分だけだったが、仲間が集まる。
増上寺門前町を取り仕切る、香具師の元締め配下の破落戸達が、脇差や匕首を手に雲霞のごとく集まって来た。
ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい
亥之助が再び呼子笛を吹き鳴らして罪人がいる事を知らしめる。
「火付け盗賊改め方与力、佐久間陣十郎が一子啓次郎である。
盗賊の捕縛を邪魔するなら、その方らも一味同心とみて斬って捨てる!」
仲間の一大事と聞いて集まって来た破落戸や香具師達だったが、相手が火付け盗賊改めの与力だとそう簡単には手出しできない。
誰の目もない夜中なら密かに殺す事も可能だが、大勢の人間が行き交う衆人環視の門前町で幕府役人を殺せば、元締めにまで類が及ぶ。
まして相手は町奉行所の同心程度ではなく、幕府番方の火付け盗賊改めだ。
与力を殺されたとなれば、幕府の面目にかけて熾烈な報復が行われる。
「おまちを、しばしおまちを、何かの間違い、誤解でございます」
増上寺の大門から、恰幅の好い中年僧が小僧一人を引き連れて走ってきた。
少し遅れて、目つきの鋭い凶相の寺侍が殺気を放ちながら追いかけてくる。
「何があったのかは存じませんが、その者は門前町の役をつとめているものでございます、誤解を解くためにも拙僧を交えて話をさせてください」
息せき切って走り寄って来た肥満僧が、隠し持った小判を握らせようとする。
「戯けが、火付け盗賊改めに賄賂が通じると思っているのか!」
勝三郎は火のように怒って、僧が握らせようとした小判を大きく掲げる。
物見高い江戸っ子達が集まっているのを幸いに、増上寺の堕落を知らしめる。
これで陽が落ちるまでに増上寺の悪行が江戸中に広まる。
「どけ、どけ、どけ、御上の邪魔するんじゃねぇ、どけ」
野次馬達を押しのけて凶悪な顔をした恰幅のいい男が手下を率いてやって来た。
「おっと、御武家の旦那、何事でございますか?」
狡猾な性格をしているのだろう、親分であろう男が嫌な目つきで聞いて来た。
「お前如きに理由を話す謂れはない!」
「そんな大きな口を利いて良いんですかい?
私は御上から十手を預かる身なんですよ?」
「何所の無能同心から十手を預かっているか知らないが、小伝馬町の牢屋敷に入れられたら、その日の内に殺される事くらい知っているのだろう?」
「まさか……さっきの呼子笛は旦那が……」
「お前にも火盗の役宅でじっくりと話を聞かせてもらう。
生きて役宅から戻れるかどうかは、今からの言動にかかっていると思え!」
「へい、申し訳ございません!
何なりとお申し付けください、あっしは何をすれば宜しいのでしょうか?」
南町奉行所か北町奉行所の同心に使われている小者、岡っ引きであろう男は、媚びるような表情を作りつつ、小狡そうな目は変わらず聞いてくる。
「亥之助」
「へい」
ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい。
亥之助が三度呼子笛を吹き鳴らす。
「お前が何を考えているかは知らぬが、火盗を舐めるな。
信頼できる者が助っ人に現れるまで油断する某ではない。
手向かいたいのなら構わんが、この場死ぬ覚悟はしておれ」
勝三郎は岡っ引きにそう言い放つと、大身槍をぶんぶんと振り回した。
更に振り回した大身槍の槍頭を、隙を伺う寺侍の向ける。
「火付け盗賊の手先が隙を伺っているようだが、隙があるならかかって来い」
「御貴殿が何を言っておられるか、某には分からぬ」
寺侍が苦々しく答える。
まだ刀を抜いていないが、勝三郎と寺侍の間で激しい攻防が行われる。
互いの隙を伺っているのが素人にも分かるほどの殺気が周囲に放たれる。
ここでも得物の差、大身槍と打刀の間合い差が大きくものを言う。
打刀を使う寺侍は、自分の間合いに入るまでに何度も槍を受ける事になる。
更に周りで勝三郎の隙を伺っている破落戸や香具師も、乱戦でも十分な力を発揮する大身槍で殺されるのを覚悟しなければ、斬り込む事ができない。
亥之助とお園は、勝三郎の背中を守るように匕首と剃刀を構えている。
「御待ちなすって、しばしお待ちなすって、火盗の旦那とお聞きしましたが、火付け盗賊の取り締まりというのは、何かの間違いございませんでしょうか?」
素人には見えない艶やかな年増女がうれしそうに近寄って来る。
勝三郎の腕を取らんばかりに近寄って、子犬のようにまとわりつく。
「何だてめわ!」
勝三郎と一緒に芝愛宕下を見廻っている亥之助が怒鳴りつける。
「そんなに怒鳴らないの、亥之助さんの同輩よ」
「本当なんですか?」
「父上か兄上が認めたのだろう、俺について来ていいのか?」
亥之助に答えた勝三郎がお園に尋ねる。
「はい、武太夫様に御願いしたら、今日から若旦那に従えと言っていただけました」
「そうか、だったら構わない」
「うれしい!」
「若旦那、本当にいいんですか、目立ちすぎますよ」
「構わない、目立った方が悪い奴らが寄って来る」
「なるほど、悪い虫を集めるための餌なんですね」
亥之助はお園にあてこするように言う。
「餌でも好いわ、若旦那と一緒に歩けるなら」
剃刀のお園は嬉しそうに言って勝三郎の横を歩く。
「私はお園を捕らえたのだぞ、恨まれる事はあっても好かれる事はないはずだが」
「……私がすった紙入れが何に使われたのか、武太夫様からお聞きしました。
領民の為に良い事をしていた御殿様が阿芙蓉で乱心させられ、若殿まで毒を盛られて殺されかけたとお聞きしました。
悪人達が藩を牛耳っていたら、多くの百姓衆が虐げられていたとも言われました。
そんな事になっていたら私……」
「へん、二つ名のあるすりの癖に、なに殊勝な事言ってやがるんだ」
「ふん、あんただって二つ名のある盗人じゃないか!」
亥之助とお園は声を抑えながら言い争った。
勝三郎は言い争う二人に構わず悠々と芝愛宕下を見廻る。
「お止めください、これ以上付きまとうと、ただではすませんませんよ!」
貧しい旅装の女二人が、三縁山増上寺門前町に巣食う破落戸達に絡まれていた。
「へん、えらそうに、ただですなまいだと?」
「やれるものならやってもらおうじゃないか!」
「兄貴、俺もうしんぼうたまらないよ」
「おめぇらわ、黙っていろ!
あんたたち、江戸に出てきたばかりで右も左も分からないだろう?
俺たちが江戸の事を一から手取足取り教えてやる。
悪いようにはしないから、大人しくついてきな」
「「「「「えっへへへへへ」」」」」
破落戸が一斉に姉妹に襲い掛かった。
「無礼者!」
旅の埃に塗れ、ひと目で疲れ果てているのが分かる女が懐剣を振るった。
「いて、何しやがる、このあまぁ!」
前腕を斬られた破落戸の兄貴分が姉の方を殴ろうとした。
「戯け!」
深編笠の下から全てを見ていた勝三郎が、電光石火の早さで脇差の小柄を放った。
「ぎゃ!」
破落戸が振り上げた右手の拳に深々と小柄が刺さった。
「火付け盗賊改め方与力、佐久間陣十郎が一子啓次郎である。
武家の娘に対しての強請集り許し難し、大人しく縛につけ!」
勝三郎は次兄の名を名乗って破落戸達を捕らえようとした。
南町奉行所の見習与力をしている長兄だと、門前町に顔を知っている者がいる可能性を考えて、次兄の名を使う方が安全だと考えたのだ。
「逃げろ!」
「捕らえよ、捕えた者には褒美を取らす!」
ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい
増上寺門前町の周辺に、町奉行所の者が使う呼子笛が鳴り響く。
破落戸だけでなく、門前町の者達が一気に緊張した。
普段なら徳川家所縁の増上寺や、門前町を牛耳る香具師の元締めの方が火付け盗賊改め方与力よりも力があるが、火付け盗賊に係わる大捕物があったばかりだ。
何かあれば増上寺であろうと厳しい御咎めを受ける可能性がある。
門前町で商いをしている商家はもちろん、名主も地主も家主も連座は免れない。
下手をすれば打ち首獄門、軽くても五年間は名主屋敷取り上げになる。
「てめぇら何しやがる、後でどうなるか分かっているのか?!」
見ていた町の人達が、突支棒や包丁を手に破落戸を捕らえようとしたが、破落戸の兄貴分が捕らえようと立ち塞がる町民を威嚇する。
力任せに町民達を振り払い、増上寺の境内に逃げ込もうとする。
「戯けが!」
破落戸は七人もいたのだが、勝三郎が足の遅い下っ端から四人を叩き伏せる。
亥之助もお園も一人ずつ叩き伏せて、残るは兄貴分だけだったが、仲間が集まる。
増上寺門前町を取り仕切る、香具師の元締め配下の破落戸達が、脇差や匕首を手に雲霞のごとく集まって来た。
ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい
亥之助が再び呼子笛を吹き鳴らして罪人がいる事を知らしめる。
「火付け盗賊改め方与力、佐久間陣十郎が一子啓次郎である。
盗賊の捕縛を邪魔するなら、その方らも一味同心とみて斬って捨てる!」
仲間の一大事と聞いて集まって来た破落戸や香具師達だったが、相手が火付け盗賊改めの与力だとそう簡単には手出しできない。
誰の目もない夜中なら密かに殺す事も可能だが、大勢の人間が行き交う衆人環視の門前町で幕府役人を殺せば、元締めにまで類が及ぶ。
まして相手は町奉行所の同心程度ではなく、幕府番方の火付け盗賊改めだ。
与力を殺されたとなれば、幕府の面目にかけて熾烈な報復が行われる。
「おまちを、しばしおまちを、何かの間違い、誤解でございます」
増上寺の大門から、恰幅の好い中年僧が小僧一人を引き連れて走ってきた。
少し遅れて、目つきの鋭い凶相の寺侍が殺気を放ちながら追いかけてくる。
「何があったのかは存じませんが、その者は門前町の役をつとめているものでございます、誤解を解くためにも拙僧を交えて話をさせてください」
息せき切って走り寄って来た肥満僧が、隠し持った小判を握らせようとする。
「戯けが、火付け盗賊改めに賄賂が通じると思っているのか!」
勝三郎は火のように怒って、僧が握らせようとした小判を大きく掲げる。
物見高い江戸っ子達が集まっているのを幸いに、増上寺の堕落を知らしめる。
これで陽が落ちるまでに増上寺の悪行が江戸中に広まる。
「どけ、どけ、どけ、御上の邪魔するんじゃねぇ、どけ」
野次馬達を押しのけて凶悪な顔をした恰幅のいい男が手下を率いてやって来た。
「おっと、御武家の旦那、何事でございますか?」
狡猾な性格をしているのだろう、親分であろう男が嫌な目つきで聞いて来た。
「お前如きに理由を話す謂れはない!」
「そんな大きな口を利いて良いんですかい?
私は御上から十手を預かる身なんですよ?」
「何所の無能同心から十手を預かっているか知らないが、小伝馬町の牢屋敷に入れられたら、その日の内に殺される事くらい知っているのだろう?」
「まさか……さっきの呼子笛は旦那が……」
「お前にも火盗の役宅でじっくりと話を聞かせてもらう。
生きて役宅から戻れるかどうかは、今からの言動にかかっていると思え!」
「へい、申し訳ございません!
何なりとお申し付けください、あっしは何をすれば宜しいのでしょうか?」
南町奉行所か北町奉行所の同心に使われている小者、岡っ引きであろう男は、媚びるような表情を作りつつ、小狡そうな目は変わらず聞いてくる。
「亥之助」
「へい」
ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい。
亥之助が三度呼子笛を吹き鳴らす。
「お前が何を考えているかは知らぬが、火盗を舐めるな。
信頼できる者が助っ人に現れるまで油断する某ではない。
手向かいたいのなら構わんが、この場死ぬ覚悟はしておれ」
勝三郎は岡っ引きにそう言い放つと、大身槍をぶんぶんと振り回した。
更に振り回した大身槍の槍頭を、隙を伺う寺侍の向ける。
「火付け盗賊の手先が隙を伺っているようだが、隙があるならかかって来い」
「御貴殿が何を言っておられるか、某には分からぬ」
寺侍が苦々しく答える。
まだ刀を抜いていないが、勝三郎と寺侍の間で激しい攻防が行われる。
互いの隙を伺っているのが素人にも分かるほどの殺気が周囲に放たれる。
ここでも得物の差、大身槍と打刀の間合い差が大きくものを言う。
打刀を使う寺侍は、自分の間合いに入るまでに何度も槍を受ける事になる。
更に周りで勝三郎の隙を伺っている破落戸や香具師も、乱戦でも十分な力を発揮する大身槍で殺されるのを覚悟しなければ、斬り込む事ができない。
亥之助とお園は、勝三郎の背中を守るように匕首と剃刀を構えている。
「御待ちなすって、しばしお待ちなすって、火盗の旦那とお聞きしましたが、火付け盗賊の取り締まりというのは、何かの間違いございませんでしょうか?」
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