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第1章
第33話:凶賊・妙香の三四郎2
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勝三郎の指揮する捕縛は情け容赦のないものだった。
少しでも抵抗する者は槍の石突で叩き伏せ、両膝と両肘を砕いた。
抵抗せずに進んで捕らえられた者でも、嫌なものを感じたら四肢を砕いた。
「我らは妙香の三四郎一味を捕らえに行く。
ここで捕えた一味の者達は、お前達に預ける。
捕えた者達を逃がしたら、女子供であろうと殺す!
我らが戻るまでに捕えた者達が死んでいたら、口を封じたと断ずる。
宿場役人も村方三役も皆殺しにする!」
「「「「「ひぃいいいいい」」」」」
勝三郎達は、捕えた宗衛門に苛烈な拷問を加えた。
夜中の捕り物に集まって来た八幡宿の者達の前で、凄まじい拷問を加えた。
宗衛門が仲間だと自白した者達にも、同じように激烈な拷問を加えた。
それを見せつけられた八幡宿の者達は、とてもではないが助けようと思えない。
仲の良い家族なら、自分の命を捨てる事になっても助けようとするかもしれないが、捕えられずにすんだ宿場役人と村方三役が邪魔する。
宿場役人と村方三役は、一味と断じられた者が逃げても死んでも殺されるのだ、必死で逃がさないように、死なさないようする。
「これからは一刻を争う、我に続け!」
「「「「「おう!」」」」」
勝三郎は、妙香の三四郎一味に捕物出役を知られないように、できる限りの手を打ったが、それでも誰かが知らせに走っているかもしれない。
その可能性を考えて、八幡宿で休む事無く妙香の三四郎の盗人宿に駆ける。
夜が明けて、徐々に陽が昇るが、休む事無く駆ける。
「若旦那、お待ちください、ここからは音を立てないようにしてください」
八幡宿の不正役人を拷問して聞き出した盗人宿に近づくと、先行して、妙香の三四郎一味を探っていた密偵が待っていた。
勝三郎は、捕物出役を決意して直ぐに、手の空いている密偵全員を、早駕籠を使って上総に向かわせていたのだ。
勝三郎は馬に枚を含ませて声を出せないようにして、自分達は忍び足で妙香の三四郎一味の盗人宿を包囲した。
「若旦那、妙香の三四郎と思われる奴はこの中にいます」
密偵が案内した場所は山中の一軒家だった。
元は周囲の山々を開墾しに入った農民の家だったのだろう。
古いが並の武家屋敷よりも大きな農家だった。
ろくに手入れされていない生い茂った生垣が、中の様子を探らせないようにしているだけでなく、敵の侵入を防いでいる。
「いやあああああ!」
「なんだ?!」
勝三郎が声を抑えながらも厳しく聞く。
「近隣の村々から若い女を攫ってきて慰み者にしております」
先行して盗人宿を探り出した密偵が悔しそうに言う。
自分達だけでは止める事も助ける事もできなかったので、内心苦しんでいた。
「ここに何人いるか分かるか?」
「出入りしていた者の数は三十余人ですが、ずっと屋敷の中にいる者の数は分かりません、これだけ広い屋敷なので、百余人いても可笑しくはありません」
「敵の腕前は分かるか?」
「牢人姿の一人が恐ろしい腕前かと思われます。
屋敷の中に居続ける者に何人の凄腕がいるか分かりません」
勝三郎は瞬時に色んな事を考えた。
女達は助けたいが、味方は密偵を含めて二十二人しかいない。
敵が百余名なら一人で五人は斬らなければならない。
最初の奇襲で二十二人に不意討ちできたとしても一人で四人斬らなければ負ける。
何より、斬ってしまったら黒幕や協力者を吐かす事ができなくなる。
殺さないように手加減して、二十二人で百余名と戦う覚悟が必要だった。
「やめてぇええええええ」
「泣け、喚け、その方が興奮する、わっははははは!」
勝三郎が右手を挙げて配下の者達に指示をだす。
全員が表情を引き締めて武器を再確認する。
生い茂った生垣の間に開いている出入口を見張って敵に、矢が放たれた。
「「ぎゃ!」」
二人の見張りに三本づつの矢が放たれ、全て胸に突き刺さった。
短い悲鳴とともに見張りがその場に倒れる。
大身槍を持った勝三郎と手槍を持った若党三人が、誰よりも早く出入口に向かう。
その後に長脇差や鉛入りの木刀を持った中間や密偵が駆ける。
「「「ぎゃ!」」」
「敵だ、ぎゃ!」
「誰だ、ぎゃっ!」
「敵だぞ、敵が来たぞ、ぎゃっ!」
広い間隔で生け垣を包囲していた密偵は、敵が混乱しているのを確認してから、得意の脚力を使って生垣を飛び越えて盗人宿に入り込み、不意を突いて奇襲する。
敵が狼狽している間にできる限り多く殺さなければならない。
勝三郎が無言の手振りで指示したのは、敵の皆殺しだった。
手柄よりも女達を救う事を優先した勝三郎に、密偵達も応えた。
漢気には漢気に応えるの本当の男だ、自分の命を顧みずに斬り込んでいく。
勝三郎は大身槍を縦横無尽に振り回して、誰よりも早く敵を屠る。
前庭の敵を斬り捨てながら突き進み、間口十間奥行き六間の大きな農家に押入る。
上総国に好くある農家で、向かって左に通常の出入口がある土間の台所、真ん中に囲炉裏のある板張りの中の間と納戸、向かって右が来客用の式台が設えられ出入りできるようになっている、畳敷き下の間と中の間と奥の間が並んでいる。
勝三郎は土間の方にある向かって左側の出入口から押し入った。
「ちぇすとぉおおおおお!」
出入口の直ぐ横に隠れていた敵、浪人姿の盗賊が激烈な上段斬りを放って来た。
すきを突いた斬撃だ、敵は必勝を確信した表情をしていた。
が、勝三郎は敵の奇襲を想定して屋敷の押入っていた。
「ぎゃ!」
勝三郎を真っ二つにしかねない大上段の一撃を、大身槍で軽く受け流し、流れるような槍捌きで反撃、肋骨に弾かれない絶妙な角度で心の臓を突き破る。
「「「「「死ね!」」」」」
土間で待ち構えていた下っ端が次々と襲い掛かって来たが、全く相手にならない。
突き、払い、いなして背中から突き殺すの繰り返して、瞬く間に九人を殺す。
その間に、勝三郎に続いて手槍を持つ若党達が土間に入ってくる。
「てめえらなにもんだ、ぎゃっ!」
土間に続く板の間にたむろしていた博徒姿の兄貴分達が喚く。
腕利きと下っ端に待ち伏せさせて皆殺しにできると思っていたのに、逆に皆殺しにされて狼狽えている。
勝三郎は少し遅れて来た若党と共に土間から板の場に駆け上る。
博徒姿の盗賊達を突き殺しながら、女達が襲われているであろう、奥の畳敷きに早く辿り着こうとする。
「くっそう!」
「死にやがれ!」
「うりゃあああああ!」
勝三郎は次々と襲い掛かって来る敵を全く寄せ付けず、全員突き殺していく。
若党達と四人並んでいるので、もう槍を振るって左右背後を守る必要がない。
前にいる敵を、突き刺しては抜き、突き刺しては抜きの繰り返しだ。
「お楽しみの邪魔をしやがって、さっさと殺せ!」
奥の畳敷きから褌を締め直しながら大男が出て来た。
六尺豊かな堂々とした体つきだが、目つきに嗜虐心が溢れている。
「何をしてやがる、ぐずぐずするな、斬るぞ!」
大男に言われた連中が一気に襲い掛かってきたが、全く相手にならない。
大男がよほど怖いのだろう、勝三郎達の槍捌きに逃げ腰になっていた賊達が次々と襲い掛かってきたが、串刺しにされるために突っ込んで来たも同然だった。
「ちっ、役立たず共が、人質の女共が殺されても好いのか?!」
大男がそう言うと、奥の畳敷きから次々と男達が出て来た。
女達の背後から首に左手を回し、右手に刀を持って何時でも刺せる様にしている。
「「「「ぎゃっ!」」」」
勝三郎達は賊共の脅しには屈しなかった。
言う通りにして自分達が殺されても、女達が解放される事は絶対にない。
女達の生き地獄が続くだけだと分かっていたから、女達を救いだして自分達も生き残る方法を選ぶだ。
それは、人質を取っている腐れ外道に手裏剣を放って殺す事だった。
槍を片手に持って、空いた手で懐に隠し持った十字手裏剣を放ったのだ。
全く想像もしていなかった投擲に賊達は何もできなかった。
勝三郎は、敵が女達を盾にして十字手裏剣を受ける可能性も考えていた。
だから十字手裏剣を放つと同時に畳敷きまで突っ込んでいた。
十字手裏剣程度では、目潰しや怪我はさせられても、即死は難しい。
その事は十字手裏剣を放った勝三郎達が誰よりも知っている。
だから勝三郎が妙香の三四郎に槍を突き出し、若党三人が女達を人質にしている卑怯者共に槍を突き刺す。
「ちっ、役立たず共が!」
勝三郎が放つ神速の槍をぎりぎり引っ張らった妙香の三四郎が、瞬く間に突き殺された手下達に悪態をつきながら、何度も勝三郎の突きを捌き続けている。
これまでずっとひと突きで賊を殺していた勝三郎の槍を、何度も刀で受け捌くのだから、妙香の三四郎は剣の達人としか言いようがない。
「お前も薩摩訛りがあるな、生け捕りにして全て白状させる!」
「ふん、やれるものならやってみろ!」
妙香の三四郎はそう言うと、自ら腹を三枚に裂いて自決した。
少しでも抵抗する者は槍の石突で叩き伏せ、両膝と両肘を砕いた。
抵抗せずに進んで捕らえられた者でも、嫌なものを感じたら四肢を砕いた。
「我らは妙香の三四郎一味を捕らえに行く。
ここで捕えた一味の者達は、お前達に預ける。
捕えた者達を逃がしたら、女子供であろうと殺す!
我らが戻るまでに捕えた者達が死んでいたら、口を封じたと断ずる。
宿場役人も村方三役も皆殺しにする!」
「「「「「ひぃいいいいい」」」」」
勝三郎達は、捕えた宗衛門に苛烈な拷問を加えた。
夜中の捕り物に集まって来た八幡宿の者達の前で、凄まじい拷問を加えた。
宗衛門が仲間だと自白した者達にも、同じように激烈な拷問を加えた。
それを見せつけられた八幡宿の者達は、とてもではないが助けようと思えない。
仲の良い家族なら、自分の命を捨てる事になっても助けようとするかもしれないが、捕えられずにすんだ宿場役人と村方三役が邪魔する。
宿場役人と村方三役は、一味と断じられた者が逃げても死んでも殺されるのだ、必死で逃がさないように、死なさないようする。
「これからは一刻を争う、我に続け!」
「「「「「おう!」」」」」
勝三郎は、妙香の三四郎一味に捕物出役を知られないように、できる限りの手を打ったが、それでも誰かが知らせに走っているかもしれない。
その可能性を考えて、八幡宿で休む事無く妙香の三四郎の盗人宿に駆ける。
夜が明けて、徐々に陽が昇るが、休む事無く駆ける。
「若旦那、お待ちください、ここからは音を立てないようにしてください」
八幡宿の不正役人を拷問して聞き出した盗人宿に近づくと、先行して、妙香の三四郎一味を探っていた密偵が待っていた。
勝三郎は、捕物出役を決意して直ぐに、手の空いている密偵全員を、早駕籠を使って上総に向かわせていたのだ。
勝三郎は馬に枚を含ませて声を出せないようにして、自分達は忍び足で妙香の三四郎一味の盗人宿を包囲した。
「若旦那、妙香の三四郎と思われる奴はこの中にいます」
密偵が案内した場所は山中の一軒家だった。
元は周囲の山々を開墾しに入った農民の家だったのだろう。
古いが並の武家屋敷よりも大きな農家だった。
ろくに手入れされていない生い茂った生垣が、中の様子を探らせないようにしているだけでなく、敵の侵入を防いでいる。
「いやあああああ!」
「なんだ?!」
勝三郎が声を抑えながらも厳しく聞く。
「近隣の村々から若い女を攫ってきて慰み者にしております」
先行して盗人宿を探り出した密偵が悔しそうに言う。
自分達だけでは止める事も助ける事もできなかったので、内心苦しんでいた。
「ここに何人いるか分かるか?」
「出入りしていた者の数は三十余人ですが、ずっと屋敷の中にいる者の数は分かりません、これだけ広い屋敷なので、百余人いても可笑しくはありません」
「敵の腕前は分かるか?」
「牢人姿の一人が恐ろしい腕前かと思われます。
屋敷の中に居続ける者に何人の凄腕がいるか分かりません」
勝三郎は瞬時に色んな事を考えた。
女達は助けたいが、味方は密偵を含めて二十二人しかいない。
敵が百余名なら一人で五人は斬らなければならない。
最初の奇襲で二十二人に不意討ちできたとしても一人で四人斬らなければ負ける。
何より、斬ってしまったら黒幕や協力者を吐かす事ができなくなる。
殺さないように手加減して、二十二人で百余名と戦う覚悟が必要だった。
「やめてぇええええええ」
「泣け、喚け、その方が興奮する、わっははははは!」
勝三郎が右手を挙げて配下の者達に指示をだす。
全員が表情を引き締めて武器を再確認する。
生い茂った生垣の間に開いている出入口を見張って敵に、矢が放たれた。
「「ぎゃ!」」
二人の見張りに三本づつの矢が放たれ、全て胸に突き刺さった。
短い悲鳴とともに見張りがその場に倒れる。
大身槍を持った勝三郎と手槍を持った若党三人が、誰よりも早く出入口に向かう。
その後に長脇差や鉛入りの木刀を持った中間や密偵が駆ける。
「「「ぎゃ!」」」
「敵だ、ぎゃ!」
「誰だ、ぎゃっ!」
「敵だぞ、敵が来たぞ、ぎゃっ!」
広い間隔で生け垣を包囲していた密偵は、敵が混乱しているのを確認してから、得意の脚力を使って生垣を飛び越えて盗人宿に入り込み、不意を突いて奇襲する。
敵が狼狽している間にできる限り多く殺さなければならない。
勝三郎が無言の手振りで指示したのは、敵の皆殺しだった。
手柄よりも女達を救う事を優先した勝三郎に、密偵達も応えた。
漢気には漢気に応えるの本当の男だ、自分の命を顧みずに斬り込んでいく。
勝三郎は大身槍を縦横無尽に振り回して、誰よりも早く敵を屠る。
前庭の敵を斬り捨てながら突き進み、間口十間奥行き六間の大きな農家に押入る。
上総国に好くある農家で、向かって左に通常の出入口がある土間の台所、真ん中に囲炉裏のある板張りの中の間と納戸、向かって右が来客用の式台が設えられ出入りできるようになっている、畳敷き下の間と中の間と奥の間が並んでいる。
勝三郎は土間の方にある向かって左側の出入口から押し入った。
「ちぇすとぉおおおおお!」
出入口の直ぐ横に隠れていた敵、浪人姿の盗賊が激烈な上段斬りを放って来た。
すきを突いた斬撃だ、敵は必勝を確信した表情をしていた。
が、勝三郎は敵の奇襲を想定して屋敷の押入っていた。
「ぎゃ!」
勝三郎を真っ二つにしかねない大上段の一撃を、大身槍で軽く受け流し、流れるような槍捌きで反撃、肋骨に弾かれない絶妙な角度で心の臓を突き破る。
「「「「「死ね!」」」」」
土間で待ち構えていた下っ端が次々と襲い掛かって来たが、全く相手にならない。
突き、払い、いなして背中から突き殺すの繰り返して、瞬く間に九人を殺す。
その間に、勝三郎に続いて手槍を持つ若党達が土間に入ってくる。
「てめえらなにもんだ、ぎゃっ!」
土間に続く板の間にたむろしていた博徒姿の兄貴分達が喚く。
腕利きと下っ端に待ち伏せさせて皆殺しにできると思っていたのに、逆に皆殺しにされて狼狽えている。
勝三郎は少し遅れて来た若党と共に土間から板の場に駆け上る。
博徒姿の盗賊達を突き殺しながら、女達が襲われているであろう、奥の畳敷きに早く辿り着こうとする。
「くっそう!」
「死にやがれ!」
「うりゃあああああ!」
勝三郎は次々と襲い掛かって来る敵を全く寄せ付けず、全員突き殺していく。
若党達と四人並んでいるので、もう槍を振るって左右背後を守る必要がない。
前にいる敵を、突き刺しては抜き、突き刺しては抜きの繰り返しだ。
「お楽しみの邪魔をしやがって、さっさと殺せ!」
奥の畳敷きから褌を締め直しながら大男が出て来た。
六尺豊かな堂々とした体つきだが、目つきに嗜虐心が溢れている。
「何をしてやがる、ぐずぐずするな、斬るぞ!」
大男に言われた連中が一気に襲い掛かってきたが、全く相手にならない。
大男がよほど怖いのだろう、勝三郎達の槍捌きに逃げ腰になっていた賊達が次々と襲い掛かってきたが、串刺しにされるために突っ込んで来たも同然だった。
「ちっ、役立たず共が、人質の女共が殺されても好いのか?!」
大男がそう言うと、奥の畳敷きから次々と男達が出て来た。
女達の背後から首に左手を回し、右手に刀を持って何時でも刺せる様にしている。
「「「「ぎゃっ!」」」」
勝三郎達は賊共の脅しには屈しなかった。
言う通りにして自分達が殺されても、女達が解放される事は絶対にない。
女達の生き地獄が続くだけだと分かっていたから、女達を救いだして自分達も生き残る方法を選ぶだ。
それは、人質を取っている腐れ外道に手裏剣を放って殺す事だった。
槍を片手に持って、空いた手で懐に隠し持った十字手裏剣を放ったのだ。
全く想像もしていなかった投擲に賊達は何もできなかった。
勝三郎は、敵が女達を盾にして十字手裏剣を受ける可能性も考えていた。
だから十字手裏剣を放つと同時に畳敷きまで突っ込んでいた。
十字手裏剣程度では、目潰しや怪我はさせられても、即死は難しい。
その事は十字手裏剣を放った勝三郎達が誰よりも知っている。
だから勝三郎が妙香の三四郎に槍を突き出し、若党三人が女達を人質にしている卑怯者共に槍を突き刺す。
「ちっ、役立たず共が!」
勝三郎が放つ神速の槍をぎりぎり引っ張らった妙香の三四郎が、瞬く間に突き殺された手下達に悪態をつきながら、何度も勝三郎の突きを捌き続けている。
これまでずっとひと突きで賊を殺していた勝三郎の槍を、何度も刀で受け捌くのだから、妙香の三四郎は剣の達人としか言いようがない。
「お前も薩摩訛りがあるな、生け捕りにして全て白状させる!」
「ふん、やれるものならやってみろ!」
妙香の三四郎はそう言うと、自ら腹を三枚に裂いて自決した。
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