32 / 36
第1章
第32話:凶賊・妙香の三四郎1
しおりを挟む
勝三郎は御料巡見使の激務の合間に、博徒や不正役人から押収した金品を幕府に納めに江戸に戻り、数日鯛仙で骨休めしていた。
上州で博徒から二万両の金品を押収して、下野で一万二千両の金品を押収した事で、老中の田沼意次から手放しの評価を受けていた。
「若殿、上総の給地が盗賊に襲われました」
そんな勝三郎の所に、江戸町奉行所与力同心の給地になっている、上総の市原郡が盗賊に教われたと密偵が知らせて来た。
「先に父上と源太郎兄上に知らせているのであろう?
お二人ならば盗賊如き簡単に捕らえられる」
「それが、幾つもの大名領や旗本領を頻繁に出入りしているらしく、町奉行所では手出しできないと言われています」
「ならば啓次郎兄上に助けを求めればいい。
火付け盗賊改め方なら大名領であろうと旗本領であろうと関係ない」
「それが、啓次郎様の火盗は、勝三郎様の御用で全員江戸を離れておられます」
「なに、啓次郎兄上の組は誰一人残っておられないのか?」
「はい、他の火盗に江戸を任されて、全与力同心が出払っておられます」
「それは申し訳ない事をした、留守番くらい残しておられると思っていた。
ならば、源太郎兄上が啓次郎兄上に成り代わられて、火盗として捕らえられたら良いのではないか?」
「そのような事は、身分に拘らない勝三郎様しか無理でございます。
何時でも禄を捨てる覚悟ができている勝三郎様しか、身分を偽れません」
「分かった、だったら俺が上総の給地に行こう。
それで、相手はどのような盗賊なのだ?」
「へい、市原郡妙香村の生まれから、妙香の三四郎を名乗ております」
「ふむ、それで」
「本格の盗賊ではなく、人殺しも手籠めも厭わぬ凶賊でございます。
配下の数は急速に増えて百名前後と思われます」
「急速に配下が増えたと言うのは、俺が江戸で取り締まりをしたからか?」
「はい、江戸から流れて来た博徒や香具師が多数加わって、昼間でも恐れる事なく堂々と村々をのし歩き、領民を害しております。
江戸にやって来て直訴した十五沢村の大庄屋の話では、娘の結婚式に白昼堂々大人数で押し入り、金千両、家具骨董衣類合わせて百余を盗まれた上、娘や下女に至るまで乱暴狼藉されたと、涙ながらに訴えておりました」
「……今集められる手勢を全員集めろ、串刺しにしてやる!」
「へい!」
勝三郎は捕物出役の装備を整えて、何時でも戦えるようにした。
柘植家で飼っている軍馬を引き出して、御料巡見使として出役する。
浪人の密偵を火盗の次兄に変装させて、御料巡見使と火付け盗賊改め方が協力しての出役と見せかける。
「向こうについて直ぐに斬り合いになる覚悟で進め」
「「「「「はっ!」」」」」
大納言徳川家基の小姓に取立てられ、最低でも三百石の旗本に成る事が約束された勝三郎は、密偵から希望者を募って八人を家臣とした。
公式登城の際には、三百俵取の小姓として最低八人の供周りを揃えないと、幕臣として面目が立たないのだ。
養家の柘植家に仕えていた家臣は、養父が登城する時に供周りをつとめる。
無役の時には一人の譜代家臣もおらず、どうしても必要な時だけ人宿組合から一時的に召し抱えていたが、今では常時五人の家臣を召し抱えている。
全員が南町奉行所与力佐久間家が抱えていた元密偵で、勝三郎と養父との間を取り持つために陰に日向に働いてくれている。
幕府が定める軍役は、家臣として最低限そろえなければいけない兵力である。
勝手向きが大丈夫なら、軍役以上の家臣を雇っても問題ない。
見栄の為に勝手向きが苦しくなる大名旗本が余りのも多いので、幕府が何度も注意しているが、暗愚な当主が現れると見栄を張って家臣を召し抱えて借財を増やす。
ただ、勝三郎は個人的に財貨を稼ぐ技を持っている。
絶大な武功で、増上寺門前町の利権も数多く手に入れている。
実家の佐久間家から与えられた鯛仙を繁盛させて、支店を出すほど儲けている。
少々どころか、かなりの家臣を召し抱えても何の問題もない。
火付け盗賊改め方与力の次兄に変装させた密偵も含めて、侍格の若党が四名、槍持中間が二名、轡取が二名、草履取が二名、挟箱持が二名、甲冑持二名、提燈持二人の合計十六名を率いての捕物出役だ。
戦える体制を整えつつできる限り早く上総市原郡を目指す勝三郎達だが、無理はせず宿場町では十分な休息をとる。
幕府の御用として本陣か脇本陣に無料で宿泊する。
御料巡見使と火盗の公式な捕物出役ともなれば絶大な権力があり、人夫や馬匹の無料使用も認められていた。
「人夫も馬匹も無用、誰一人我らの先を行く事を許さん。
博徒や盗賊に知らせようとする者は、問答無用で斬る!」
勝三郎は、妙香の三四郎には数多くの味方がいると考えていた。
幾ら御料地、大名領、旗本領、与力同心給地が入り組んでいるからと言って、これほど好き勝手に盗賊が暴れ回れるのは可笑し過ぎた。
大久保一家の時と同じように、勘定奉行所の下役に、大名領を預かる藩士、旗本領や与力同心給地を預かる村方三役、宿場役人の中に妙香の三四郎に通じる者がいる。
勝三郎はそう確信していたので、宿場役人に厳しく命じた。
日本橋から新宿を通って上総国に行くには、最初は成田街道を通る。
幾つかの街道が重なる間は、街道が別れる場所までは成田街道と呼ばれている。
葛飾八幡宿に辺りで香取神宮や銚子に向かう木下街道が分かれる。
船橋宿で成田街道と東金街道、房州街道に分かれる。
「若旦那、宿場を抜けようとした男を捕らえました」
「そうか、手加減はいらん、どのような手段を使ってでも黒幕を吐かせろ」
妙香の三四郎に通じている者がいないか、影供の密偵が常に見張っていた。
これまでは宿場を抜けだすような者はいなかったが、船橋宿で抜け出す者がいた。
「ぎゃあああああ!」
密偵の一人が激烈な拷問を加えて誰に命じられて知らせに走ったのかを聞き出す。
「安兵衛さまです、問屋の安兵衛さまに命じられました、もう許してください」
「まだだ、まだ誰に知らせようとしたか言っていない」
「ぎゃあああああ、宗衛門様です、八幡宿の問屋、宗衛門様の所です」
「下総葛飾郡の八幡宿か、上総市原郡の八幡宿か、どちらだ?!」
「上総市でございます、上総の八幡宿でございます!」
「藤左衛門、ここは任せる、俺は先に行くから、船橋宿の黒幕は任せる」
「御任せ下さい」
三峰藤左衛門兼重は、浪人から佐久間家の密偵になった経験豊富な中年だ。
長子の三峰清右衛門継兼が勝三郎と歳格好が似ているので、影武者をつとめる事が多く、御料巡見使として影武者をつとめた事もある。
今回は次兄の影武者をさせているが、若くて経験が足らないので、若党に扮している実父の藤左衛門が補佐をしている。
勝三郎はそんな藤左衛門に、船橋宿に巣食う妙香の三四郎一味捕縛を任せた。
自身は直卒の家臣と影供や密偵を率いて上総八幡宿に向けて夜駆けした。
月明りと提燈だけを頼りに、家臣を率いて夜の街道を駆けた。
「御料巡見使、柘植勝三郎である!
妙香の三四郎に通じている宿場役人を捕らえる、神妙にせよ。
手向かう者は問答無用で斬る、大人しく縛につけ」
宿場町を守る木戸、見附は夜間閉められている。
盗賊などに襲われないように、街道に沿って栄えている宿場町に胡乱な者を入れないように、宿場町の両端に見附が築かれている。
勝三郎は御料巡見使の権限でその見附を開けさせて夜襲をしたのだ。
賄賂を貰って妙香の三四郎一味に協力している、上総八幡宿の問屋宗衛門を捕らえるために、見つけられなかったかもしれない敵の使いよりも早く夜襲をかけた。
「濡れ衣でございます、身に覚えがございません」
「濡れ衣かどうかは取り調べれば分かる事だ!
言い逃れしようとしているのが、一味である何よりの証拠だ!
手向かう者は四肢を斬り落とせ、口さえきければ手足など不要、捕えよ!」
「「「「「はっ!」」」」」
「お止めください、濡れ衣でございます、私は関係ありません!」
上州で博徒から二万両の金品を押収して、下野で一万二千両の金品を押収した事で、老中の田沼意次から手放しの評価を受けていた。
「若殿、上総の給地が盗賊に襲われました」
そんな勝三郎の所に、江戸町奉行所与力同心の給地になっている、上総の市原郡が盗賊に教われたと密偵が知らせて来た。
「先に父上と源太郎兄上に知らせているのであろう?
お二人ならば盗賊如き簡単に捕らえられる」
「それが、幾つもの大名領や旗本領を頻繁に出入りしているらしく、町奉行所では手出しできないと言われています」
「ならば啓次郎兄上に助けを求めればいい。
火付け盗賊改め方なら大名領であろうと旗本領であろうと関係ない」
「それが、啓次郎様の火盗は、勝三郎様の御用で全員江戸を離れておられます」
「なに、啓次郎兄上の組は誰一人残っておられないのか?」
「はい、他の火盗に江戸を任されて、全与力同心が出払っておられます」
「それは申し訳ない事をした、留守番くらい残しておられると思っていた。
ならば、源太郎兄上が啓次郎兄上に成り代わられて、火盗として捕らえられたら良いのではないか?」
「そのような事は、身分に拘らない勝三郎様しか無理でございます。
何時でも禄を捨てる覚悟ができている勝三郎様しか、身分を偽れません」
「分かった、だったら俺が上総の給地に行こう。
それで、相手はどのような盗賊なのだ?」
「へい、市原郡妙香村の生まれから、妙香の三四郎を名乗ております」
「ふむ、それで」
「本格の盗賊ではなく、人殺しも手籠めも厭わぬ凶賊でございます。
配下の数は急速に増えて百名前後と思われます」
「急速に配下が増えたと言うのは、俺が江戸で取り締まりをしたからか?」
「はい、江戸から流れて来た博徒や香具師が多数加わって、昼間でも恐れる事なく堂々と村々をのし歩き、領民を害しております。
江戸にやって来て直訴した十五沢村の大庄屋の話では、娘の結婚式に白昼堂々大人数で押し入り、金千両、家具骨董衣類合わせて百余を盗まれた上、娘や下女に至るまで乱暴狼藉されたと、涙ながらに訴えておりました」
「……今集められる手勢を全員集めろ、串刺しにしてやる!」
「へい!」
勝三郎は捕物出役の装備を整えて、何時でも戦えるようにした。
柘植家で飼っている軍馬を引き出して、御料巡見使として出役する。
浪人の密偵を火盗の次兄に変装させて、御料巡見使と火付け盗賊改め方が協力しての出役と見せかける。
「向こうについて直ぐに斬り合いになる覚悟で進め」
「「「「「はっ!」」」」」
大納言徳川家基の小姓に取立てられ、最低でも三百石の旗本に成る事が約束された勝三郎は、密偵から希望者を募って八人を家臣とした。
公式登城の際には、三百俵取の小姓として最低八人の供周りを揃えないと、幕臣として面目が立たないのだ。
養家の柘植家に仕えていた家臣は、養父が登城する時に供周りをつとめる。
無役の時には一人の譜代家臣もおらず、どうしても必要な時だけ人宿組合から一時的に召し抱えていたが、今では常時五人の家臣を召し抱えている。
全員が南町奉行所与力佐久間家が抱えていた元密偵で、勝三郎と養父との間を取り持つために陰に日向に働いてくれている。
幕府が定める軍役は、家臣として最低限そろえなければいけない兵力である。
勝手向きが大丈夫なら、軍役以上の家臣を雇っても問題ない。
見栄の為に勝手向きが苦しくなる大名旗本が余りのも多いので、幕府が何度も注意しているが、暗愚な当主が現れると見栄を張って家臣を召し抱えて借財を増やす。
ただ、勝三郎は個人的に財貨を稼ぐ技を持っている。
絶大な武功で、増上寺門前町の利権も数多く手に入れている。
実家の佐久間家から与えられた鯛仙を繁盛させて、支店を出すほど儲けている。
少々どころか、かなりの家臣を召し抱えても何の問題もない。
火付け盗賊改め方与力の次兄に変装させた密偵も含めて、侍格の若党が四名、槍持中間が二名、轡取が二名、草履取が二名、挟箱持が二名、甲冑持二名、提燈持二人の合計十六名を率いての捕物出役だ。
戦える体制を整えつつできる限り早く上総市原郡を目指す勝三郎達だが、無理はせず宿場町では十分な休息をとる。
幕府の御用として本陣か脇本陣に無料で宿泊する。
御料巡見使と火盗の公式な捕物出役ともなれば絶大な権力があり、人夫や馬匹の無料使用も認められていた。
「人夫も馬匹も無用、誰一人我らの先を行く事を許さん。
博徒や盗賊に知らせようとする者は、問答無用で斬る!」
勝三郎は、妙香の三四郎には数多くの味方がいると考えていた。
幾ら御料地、大名領、旗本領、与力同心給地が入り組んでいるからと言って、これほど好き勝手に盗賊が暴れ回れるのは可笑し過ぎた。
大久保一家の時と同じように、勘定奉行所の下役に、大名領を預かる藩士、旗本領や与力同心給地を預かる村方三役、宿場役人の中に妙香の三四郎に通じる者がいる。
勝三郎はそう確信していたので、宿場役人に厳しく命じた。
日本橋から新宿を通って上総国に行くには、最初は成田街道を通る。
幾つかの街道が重なる間は、街道が別れる場所までは成田街道と呼ばれている。
葛飾八幡宿に辺りで香取神宮や銚子に向かう木下街道が分かれる。
船橋宿で成田街道と東金街道、房州街道に分かれる。
「若旦那、宿場を抜けようとした男を捕らえました」
「そうか、手加減はいらん、どのような手段を使ってでも黒幕を吐かせろ」
妙香の三四郎に通じている者がいないか、影供の密偵が常に見張っていた。
これまでは宿場を抜けだすような者はいなかったが、船橋宿で抜け出す者がいた。
「ぎゃあああああ!」
密偵の一人が激烈な拷問を加えて誰に命じられて知らせに走ったのかを聞き出す。
「安兵衛さまです、問屋の安兵衛さまに命じられました、もう許してください」
「まだだ、まだ誰に知らせようとしたか言っていない」
「ぎゃあああああ、宗衛門様です、八幡宿の問屋、宗衛門様の所です」
「下総葛飾郡の八幡宿か、上総市原郡の八幡宿か、どちらだ?!」
「上総市でございます、上総の八幡宿でございます!」
「藤左衛門、ここは任せる、俺は先に行くから、船橋宿の黒幕は任せる」
「御任せ下さい」
三峰藤左衛門兼重は、浪人から佐久間家の密偵になった経験豊富な中年だ。
長子の三峰清右衛門継兼が勝三郎と歳格好が似ているので、影武者をつとめる事が多く、御料巡見使として影武者をつとめた事もある。
今回は次兄の影武者をさせているが、若くて経験が足らないので、若党に扮している実父の藤左衛門が補佐をしている。
勝三郎はそんな藤左衛門に、船橋宿に巣食う妙香の三四郎一味捕縛を任せた。
自身は直卒の家臣と影供や密偵を率いて上総八幡宿に向けて夜駆けした。
月明りと提燈だけを頼りに、家臣を率いて夜の街道を駆けた。
「御料巡見使、柘植勝三郎である!
妙香の三四郎に通じている宿場役人を捕らえる、神妙にせよ。
手向かう者は問答無用で斬る、大人しく縛につけ」
宿場町を守る木戸、見附は夜間閉められている。
盗賊などに襲われないように、街道に沿って栄えている宿場町に胡乱な者を入れないように、宿場町の両端に見附が築かれている。
勝三郎は御料巡見使の権限でその見附を開けさせて夜襲をしたのだ。
賄賂を貰って妙香の三四郎一味に協力している、上総八幡宿の問屋宗衛門を捕らえるために、見つけられなかったかもしれない敵の使いよりも早く夜襲をかけた。
「濡れ衣でございます、身に覚えがございません」
「濡れ衣かどうかは取り調べれば分かる事だ!
言い逃れしようとしているのが、一味である何よりの証拠だ!
手向かう者は四肢を斬り落とせ、口さえきければ手足など不要、捕えよ!」
「「「「「はっ!」」」」」
「お止めください、濡れ衣でございます、私は関係ありません!」
21
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『大人の恋の歩き方』
設楽理沙
現代文学
初回連載2018年3月1日~2018年6月29日
―――――――
予定外に家に帰ると同棲している相手が見知らぬ女性(おんな)と
合体しているところを見てしまい~の、web上で"Help Meィィ~"と
号泣する主人公。そんな彼女を混乱の中から助け出してくれたのは
☆---誰ぁれ?----★ そして 主人公を翻弄したCoolな同棲相手の
予想外に波乱万丈なその後は? *☆*――*☆*――*☆*――*☆*
☆.。.:*Have Fun!.。.:*☆
無用庵隠居清左衛門
蔵屋
歴史・時代
前老中田沼意次から引き継いで老中となった松平定信は、厳しい倹約令として|寛政の改革《かんせいのかいかく》を実施した。
第8代将軍徳川吉宗によって実施された|享保の改革《きょうほうのかいかく》、|天保の改革《てんぽうのかいかく》と合わせて幕政改革の三大改革という。
松平定信は厳しい倹約令を実施したのだった。江戸幕府は町人たちを中心とした貨幣経済の発達に伴い|逼迫《ひっぱく》した幕府の財政で苦しんでいた。
幕府の財政再建を目的とした改革を実施する事は江戸幕府にとって緊急の課題であった。
この時期、各地方の諸藩に於いても藩政改革が行われていたのであった。
そんな中、徳川家直参旗本であった緒方清左衛門は、己の出世の事しか考えない同僚に嫌気がさしていた。
清左衛門は無欲の徳川家直参旗本であった。
俸禄も入らず、出世欲もなく、ただひたすら、女房の千歳と娘の弥生と、三人仲睦まじく暮らす平穏な日々であればよかったのである。
清左衛門は『あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって千歳と弥生の幸せだけを願い、最後は無欲で死にたい』と思っていたのだ。
ある日、清左衛門に理不尽な言いがかりが同僚立花右近からあったのだ。
清左衛門は右近の言いがかりを相手にせず、
無視したのであった。
そして、松平定信に対して、隠居願いを提出したのであった。
「おぬし、本当にそれで良いのだな」
「拙者、一向に構いません」
「分かった。好きにするがよい」
こうして、清左衛門は隠居生活に入ったのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる