侯爵令嬢はデビュタントで婚約破棄され報復を決意する。

克全

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3章

65話

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「摂政殿下、ミルドレッド王国から義勇兵を集めて参りました」

「そう、よくやってくれたわ」

 新たにミルドレッド王国担当になったフレッド伯爵が、よく働いてくれました。
 トビアスを担当から外した訳ではありません。
 競わせるために複数人制度にしたのです。
 まあ、王国中の貴族はそうは思っていません。
 トビアスが実質的に解任されたと考えています。

 実際には解任されたと同様ですが、貴族に体面というモノがあります。
 体面は非常に厄介で、丸潰しにすると反乱必至です。
 実際には丸潰れでも、丸潰しにされたと言わせない配慮をしておかないと、反乱の言い訳にされてしまいます。

 イルマンドの行った破廉恥極まりない愚行を止められなかった責任と、ミルドレッド王国をホワイト王国に協力させられなかった責任によって、新たな任務から外されるが、旧任務は続けて任せるという体裁をとったのです。
 でも実際には、絶対に実現不可能な任務を続ける事になります。
 名誉挽回の機会がありません。

 そして、新たに担当となったフレッド伯爵が、驚くほど多くの義勇兵を集めてきました。
 戦争の流れが逆転した事を、ミルドレッド王国の貴族士族傭兵も敏感に察知したのです。
 今勝ち馬に乗らないと何も手に入れる事ができないと。

 ですが、ここまで流れが変わったら、ドレイク王国義勇兵と同じ条件で雇う訳にはいきません。
 そんな事をしなくても、我が国からはもちろん、ドレイク王国からも義勇兵希望者が続々表れているのです。
 ミルドレッド王国の離反敵化の危険を考慮しなければ、ミルドレッド王国の義勇兵希望者は門前払いしたいくらいです。

 問題はミルドレッド王国の離反敵化の可能性が高いという事です。
 我が国とドレイク王国が連合王国化する危険は、何度も大敗を喫したゲラン王国とズダレフ王国の同盟より高くなっているのです。
 それを抑えるのが急務だったのです。

 そこで打った手が、ミルドレッド王国の貴族士族部屋住み子弟を義勇兵として集め、海上輸送してマイヤー王国方面から参戦させる事です。
 我が国は戦争の損害を回避し、いえ、戦争による好景気と密貿易の利益を十二分に享受し続け、ミルドレッド王国の貴族士族部屋住み子弟がマイヤー王国の貴族として、占領したゲラン王国やズダレフ王国で領地を得ることです。
 そして子弟は我が国やマイヤー王国の人質という側面もあります。

 ミルドレッド王国の貴族士族も愚かではありません。
 ミルドレッド王国の貴族士族として我が国と戦い褒美や領地を得られる可能性と、我が国に義勇兵として部屋住みを送り、マイヤー王国方面で戦って褒美や領地を得られる可能性のどちらが高いのか、冷徹に計算して我が国に義勇兵を送り込んできたのです。

 ですが戦争は何時どのような事が起こるか分かりません。
 私はこの有利な状況を維持するために、最善の手を打たないといけません。
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