侯爵令嬢はデビュタントで婚約破棄され報復を決意する。

克全

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3章

64話

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「摂政殿下。
 運河の掘削は順調に進んでおります」

 私はホワイト王国の今後を決める大事業の進捗状況を質問しましたが、何の問題もなく順調に進んでいるようです。
 ハンザも真剣に聞いています。
 彼もアーサーが生まれてから一段と身を入れて、ホワイト王国のために粉骨砕身働いてくれています。

「用水路と溜池はどうなっていますか?」

 運河は大事業なだけに成果が表れるまでに時間がかかります。
 軍事用の濠として利用するのなら、もうある程度抑止力を発揮してくれていますが、そんなものは副次的な効果です。
 対外的にも国内的にも、直ぐに成果の出る事業も必要です。
 それが王家直轄領を増やす事であり、収穫高を増やす事です。
 目先の問題として、ドレイク王国義勇軍の部屋住みに与える領地が必要なこともあります。

「運河の掘削ででた土砂を利用して、河川に堤防を築いております。
 今まであった溜池を堤防で囲み、貯水量を増やしました。
 これで今まで荒地だったところも畑にすることができます」

「どれくらいの収穫が見込めますか?」

「そうですね、問題は農民を集められるかどうかです。
 大人一人が耕作できる小麦畑は二十アールくらいです。
 家族で移民してくれたとしても五十アールくらいです。
 最初は種籾を貸し与える必要もあります。
 十アールに十キログラムの種を蒔き、三十キログラムの収穫になります」

「ちょっと待ってください。
 以前大人一人が一年生きていくのには、二百キログラム必要だといっていませんでしたか?」

「それは大麦やライ麦の話です。
 大麦やライ麦は小麦より五割多い収穫があります。
 農民は税で納める小麦と、自分達が食べる大麦とライ麦を作るのです」

「そうでしたか、では話を続けてください」

「先ほど税金用に大人一人二十アールの小麦畑を耕し、二十キログラムの種を蒔き、六十キログラムの収穫を得て、四十キログラムの税を納めると話させて頂きました。
 農民達自身が生きていくのに、六十アールの大麦畑かライ麦畑に九十キログラムの種を蒔き、二百七十キログラムの収穫を得て、次の年用に九十キログラムの種を残し、残り百八十キログラムで一年を暮らします。
 新たに開拓した農地は一万ヘクタール近いと思われますので、一万人以上の移民が可能だと思われます」

 私にやんわりと教えるように話してくれていますが、要は移民を集められなければ意味がないといいたいのですね。
 それに、一万人分の種籾の必要だと注意したいのでしょう。
 ですが開戦に備えた兵糧がたくさんあります。
 出稼ぎに来ている貧民なら、土地を与えるといえば我が国に残るでしょう。
 工作戦闘団とした者達を歩兵に取立てて土地を与えてもいいでしょう。
 ドレイク王国義勇兵団の部屋住を騎士に封じたら、実家の農民の部屋住みを連れてくるでしょう。

「分かりました。
 農民と種籾の手配は任せなさい」
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