冒険者ではない、世界一のトレジャーハンターになる!

克全

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第1章

第39話:別れ

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 僕たちは国際ダンジョン協会から、モンスターがダンジョンの外に出たという、前代未聞の話を聞かされた。

 もしそれが本当だったら、世界が滅んでしまうかもしれない大事件だ。
 できるだけ早く、最高の人材を投入して調べなければいけない。
 最低でも、今地上に現れているモンスターは倒さなければいけない。

 そんな最重要な役目を、僕が任せられるのはおかしい。
 本来ならお父さんとお母さんが受けるべき役目だ。
 だけど、ほんの少しだけど、うれしい気持ちもある。

 ただ、とても危険な役目なので、お姉さんたちを連れてはいけない。
 何もできずに、一瞬で殺される可能性もあるのだ。

「お姉さんたちはここで待っていてください。
 いえ、今直ぐ自衛隊の人たちと日本に帰ってください」

「ダメよ、そんな事はできないわ。
 竜也君だけに任せて、私たちだけ逃げ帰るなんて、絶対にできないわ!」

 普段はふざけた所もある深雪お姉さんだけど、パーティーメンバーを置いて自分だけ逃げるように卑怯者ではない。

 僕が深雪お姉さんを大好きになった所だけど、今回に限ってはジャマだ。
 もっと冷徹に現状を見極めて欲しいと思ってしまう。
 こんな身勝手な所が、まだ小学生の僕らしさかもしれない。

「月奈お姉さんからも説明してください。
 今の状況では、お姉さんたちは足手まといでしかありません。
 お姉さんたちがいると、僕が全力で戦えなくなります」

「竜也君の言っている事は分かるわ。
 だけど、それでも、私も竜也君を置いて逃げ帰るのは嫌なの」

 困った、普段は冷静な月奈お姉さんまで間違った判断をしている。
 このままでは、力づくで日本に送り返さなくてはいけなくなる。

「ワタシモガンバリマス、アシデマトイニハナリマセン!」

 ルナが横から口出ししてきた!

「ダメよ、いくらなんでもルナちゃんたちは連れて行けないわ!」

 こら、こら、こら、それは僕が深雪お姉さんたちに言っている事だよ!

「もしかして私まで置いて行くつもりなの?!」

 葵までついて来るつもりなのか?

「4人ともダメよ、絶対にダメ!
 私たちがワガママを言ったら、竜也君を死なせてしまうかもしれないのよ!
 マンガやアニメじゃないの、足手まといが手助けになったりはしないの!」

「桜ちゃん……」
「……私たちのワガママで竜也君を殺してしまう……」
「ワタシハアシデマトイニハナリマセン、ワタシガシヌノハジコセキニンデス」
「桜ちゃん、そんなに竜也君の事が好きなんだ……」

「ありがとう、桜ちゃん、君だけが僕の事を本当に考えてくれているね。
 ルナ、どうしてもついてくると言うのなら、家で貸している装備は全部返してもらわないと、家の責任にされてしまう。
 裸で良いのなら自己責任でついて来い」

「オウ、マケンヲテバナスノハゼッタイニイヤ!」

「素直に日本に帰るのなら、家のプライベートダンジョンに限り魔剣を貸し出してやる、それで良いな?」

「タカラブネファミリートダンジョンニモグルトキハ、コウキョウノダンジョンデモマケンヲカシテホシイ!」

「おばあちゃんには連絡を入れておくが、僕が勝手に決められる事じゃない。
 おばあちゃんに直接頼め」

「ワカッタ、オバアチャンニタノム」

「話がついたようですね、お嬢さん方は我々が必ず日本に送り届けます。
 安心して役目を果たしてください」

 警視庁のSPが、命を賭けてお姉さんたちを守る決意が分かる、真剣な顔つきで話しかけてきた。
 
「お願いします」

「竜也殿は私たちが引き続き警備させていただきます。
 この命に代えても守って見せます」

 陸上自衛隊レンジャー部隊の隊長が、決意のこもった言葉で約束してくれる。
 一応民間人の俺を、自衛隊として守ってくれる気なのだ。
 年齢から言っても、ダンジョンに潜った事のある年齢だ。

 それに、自衛隊なら普段の訓練でもダンジョン潜っているはずだ。
 地上とダンジョン内では、体の動きがぜんぜん違う事を、身をもって知っている。

 レベルアップしていない地上の体で魔術を放つモンスターと戦うのが、自殺行為だと分かっていて、それでも俺を守るために戦う覚悟をしてくれている。

「分かりました、お願いします」

「竜也君、絶対に死んだらダメだからね!」
「必ず生きて帰って来て、竜也君の足手まといならないようになって見せるわ」
「私も置いて行かれないようにガンバル!」
「カナラズリュウヤヲコエテミセル!」
「竜也君、待っているから、ずっと待っているから、必ず生きて帰って!」

「だいじょうぶだよ、モンスターに殺されるようでは、世界一のトレジャーハンターにはなれないよ」

 僕はウラジオストクで5人と別れた。
 心配だったので、港に停泊している海上護衛艦まで送って行った。
 乗艦したのを確かめてからビキンダンジョンに向かった。

 ☆世界的アイドル冒険者、鈴木深雪のライブ動画

Rafael:くそ、なんで涙が止まらないんだ!

藤河太郎:竜也君との別れが感動的だったのは確かだが、ジャマモノなのに!

Rafael:俺たちにとっては救国の勇者になるかもしれないが……

雷伝五郎:ロシア以外の深雪ファンクラブにとっては恋敵でしかない!

Benno:おい、おい、相手は12歳の小学生だぞ、恋敵はないだろう?

藤河太郎:いや、12歳でも男は男だ!

雷伝五郎:そうだ、みゆき姫以外の4人も竜也君にほれている!

Rafael:いや、ルナは違うだろう?

ノンバア:うん、私もルナは違うと思う、ルナは魔剣が欲しいだけよ。

Rafael:うん、俺もそう思う。

ゆうご:そうだな、ルナだけはまだ色恋が分かっていない。

Benno:そうだな、色恋よりも魔剣、ダンジョンで戦う事が楽しいのだろう。

Rafael:みゆき姫も最初はそうだったな。

ゆうご:何時からこんな事になったのだろうな?

Rafael:そりゃあ、竜也君が加わってからだろう?

Benno:竜也君が加わってみゆき姫は強くなったが、遠くなったのも確かだ。

ノンバア:おい、おい、元々アイドル冒険者と視聴者の間は遠いぞ。

Benno:分かっているが、ウソでも色恋がないように見せて欲しい。

Rafael:男と女の色恋までにはまだまだ遠いと思うが、あっという間だろうな。

ノンバア:日本でも小学校で付き合いだす子が増えているのよ、現実を認めな!

雷伝五郎:嫌だ、嫌だ、嫌だ、みゆき姫は永遠の乙女でいて欲しい!

Rafael:竜也がロシアを救ってくれるのなら、認めても良い。

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