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第2章

第20話:スライム育成計画

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 スライム城と呼んでもいい家を手に入れてから1カ月、公爵家から逃げ出してから7カ月、ロードは順調に成長してレベル2になっている。

 初めてロードに進化した時も嬉しかったが、レベル2になった時も感慨があった。
 でも残念ながら、レベル2になっても会話はできなかった。
 ほんの少しだけだが期待していた分失望もあった。

「魔獣や魔蟲を集めるのは問題ないかい」

 頻繁だったゴブリンの巣別れが行われなくなり、成長速度が遅くなってしまった。
 巣別れのゴブリン1000匹を何十回も斃せていた時には、驚くほど早くスライム達が成長できていたのに……

 いや、あのような好機が続くと考える方が勝手過ぎたのだ。
 それよりもキングゴブリンに俺とロードの待ち伏せを知られてしまった場合だ。
 キングゴブリンのレベルが3以上だと、ロードでも危険かもしれない。

「ロード、危険だと感じたらゴブリンの集落から距離をとってくれ。
 安全を最優先して、直ぐに逃げられるようにしていてくれよ。
 弱い個体でも索敵だと思ったら斃さずに逃げてくれ」

 ロードが承諾の感情を伝えてくれる。
 これがラノベやアニメなら一波乱あって、一気に経験値を稼げるのだろう。
 だが俺は臆病者なのだ。

 危険があると分かっていて、不用意にゴブリンの集落に近づいたりしない。
 偵察に派遣されたゴブリンを斃して、キングゴブリンを警戒させたりもしない。

 危機察知の能力にたけたロードの本能を信じて、適度に距離を開けておく。
 ようやく色々と分かって来たのに、迂闊な行動で死ぬなど愚かすぎる。
 それに、愛するロードを危険にさらしたりはしない。

「ロードがビッグ達でも勝てると感じた魔獣や魔蟲は、ビッグ達に斃させてくれ。
 ロードは強敵だけを選んで斃してくれ」

 ロードから喜びの混じった承諾の感情を伝えてくれる。
 自分は斃すだけでほとんど食べられなくても、一度合体統合した個体が成長するのが嬉しいのだろう。

 ロードは本当に賢い子だ
 本当に危険になったら、またビック達と合体統合するのが分かっているのだ。

 高レベルのスライムだった子達が、実験の結果ビッグスライムに成長してくれた。
 1匹だけではなく276匹ものスライムが、合体統合ではなく、敵を斃して経験値を稼ぐことで進化してくれた。

 しかも進化したビッグスライム10匹が合体統合することで、ヒュージスライムに進化する事も、進化した後でも元のビックスライムに分離できる事も分かった。

 このまま順調にレベルを上げてくれれば、9匹や8匹でヒュージスライムに進化する事ができるかも確認できるだろう。

 経験値を稼ぐことができる魔獣がいて、ベビーをスライムにまで成長させることができる食料がある場所なら、スライムは幾らでも成長進化することができるだろう。
 ロードを次の段階に進化をさせることができた時、俺はシャルマン公爵家に戻る。
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