スライム従魔司というスキルが神与されたので、王太女との婚約は破棄され、実家からは追放され、刺客を放たれた。

克全

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第3章

第49話:スライム従魔師

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 俺はアルペーシュから手渡された魔皮紙を見て驚いた。
 天職がスライム従魔師になっていたからだ。
 彼にも同じ文字が見えているはずだが、それとも違うのだろうか。

「アルペーシュ、私には君の天職がスライム従魔師と読めるのだが、君にはなんと読めているのだ」

 俺はキングスライムが創り出してくれている机の上に指で字を書いてみた。
 口で発音するだけでは士と司と師に違いがないからだ。

「はい、私にもスライム従魔師と読めています」

 アルペーシュは本当に賢い。
 俺の意図を察して同じように指で字を書いてくれる。
 だとしたら、何故アルペーシュは疑問に感じないのだろう。

「士と師では明らかに違うと思うのだが、その差を教会では何と言われたのだ」

 そう言いながらも、俺も自分の時の事を思い出した。
 従魔の対象がスライムである以上、士も司も師も同じなのだろう。

「はい、教会の長年の経験では、士よりも師の方が上位職だとは教えてくれましたが、多少強いスライムや多くの匹数のスライムを従えられても、所詮はスライムでしかないから、従魔師として生きるのは早く諦めるようにと教えられました。
 試しに多くのスライムを従魔にしてみましたが、大して役には立ちませんでした。
 十数匹集めた時点で、他の魔獣に見つかってしまい、命からがら逃げました。
 その時にほとんどのスライムが殺されてしまいました。
 次は慎重に集めたスライムを成長させようとしましたが、成長させる前に強い魔獣に見つかってしまい、同じ事でした。
 2度は生き延びることができましたが、3度目には殺されるかもしれないと、スライム従魔師として生きる事はすっぱりと諦めました」

 アルペーシュの判断は正しかったと思う。
 弱いスライムしか従魔にいない状態では、強い魔獣に襲われたら殺される確率の方が高い。

 2度助かったのは幸運以外の何物でもない。
 それにしても、教会の神官に諦めるように言われたにも関わらず、自分で確かめようとした態度は素晴らしい。

 これは最高の人材をクランに迎えられたのかもしれない。
 問題があるとすれば、俺が最高の人材を活用できるかだ。

「では最初にビッグスライムを従魔にできるか確かめてみよう。
 ビッグスライムにも2種類いるから、その両方を試してもらう。
 その後で、スライムなら最高何頭まで従魔にできるのかを確かめる」

 俺は最初に、100頭のスライムが合体統合したビッグスライムをアルペーシュが従魔にできるか確認したが、できなかった。

 合体統合させるのではなく、スライムからビッグにまで進化したスライムなら、従魔契約を結ぶことができるのか確かめてみたが、できなかった。

 だが、レベル10のスライムを従魔にする事ができた。
 レベル9までしか従魔にできないという話は嘘だった。

 次にスライム何頭まで従魔契約ができるか確かめてみた。
 アルペーシュは10頭ものスライムと契約が可能だった。

 1頭のスライムしか従魔にできないというのも嘘だった。
 これが従魔士と従魔師の違いかもしれない。
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