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征夷副大将軍
第108話一八三二年、島津斉彬
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俺がこの世界この時代に転生して最初に考えたのは、明治維新の弊害をなくしてより良い開国をする事だった。
前世で不遇な眼にあわされた、幕臣や佐幕派の人達の名誉回復も考えた。
その中には、子供共々父親の島津斉興や異母弟に島津久光に暗殺された説が有力な、島津斉彬もいたのだが、そうはいかなくなってしまった。
島津斉彬はあまりにもカリスマ性が高すぎた。
西欧列強の常套手段、侵攻国の不満分子を味方につけるやり方を取られた場合、今は味方として最前線に屯田させている旧薩摩藩士が敵に回るかもしれないのだ。
曾祖父の島津重豪、祖父の島津斉宣、父親の島津斉興に家中を分裂させている。
大身家臣や分家も他家に預けて分裂させている。
だが、旧薩摩藩士が島津斉彬の元に統合されてしまったら、松前藩で内紛や屯田兵の叛乱が勃発してしまうのだ。
可哀想だが、島津斉彬に才能を発揮させるわけにはいかない。
絶対にカリスマ性を発揮させるわけにはいかないのだ。
飼殺しにするのは忍びないが、断じて行うしかない。
言い訳するわけではないが、その分家庭の幸せは味わってもらっている。
直接金銭的な支援を行っているから、金銭的な不足は味合わせていない。
父親や弟と藩主争いがない事で、長男に菊三郎は夭折することなく生きている。
全ては言い訳だが、徳川斉昭 のように殺してはいない。
「誰かある」
「何事でございますか、殿」
「島津斉彬殿の長子、菊三郎殿の七五三はいつであった」
「申し訳ありません、覚えておりませんが、それがいかがなされました」
「島津斉彬殿は一万石の藩主ではあるが、多くの家族と家臣を抱えて勝手向きが苦しいであろう、七五三の費用を余が出してやろうと思ったのだ」
「しかし殿、殿は日頃から何くれと兵庫頭様を支援されておられます。
更に今以上の支援が必要なのでしょうか」
今日は運悪く才のある家臣ではなく高須家譜代の古参家臣が当番だった。
俺が謀略で陥れた罪滅ぼしで支援している事を悟ってくれるような者ではない。
自分の心を軽くするために、自己欺瞞や自己満足で支援している事は話せない。
「そうだな、これ以上は必要ないかもしれんな。
分かった、七五三の支援は止めておこう。
もうよいぞ、部屋に戻っておれ」
「はっ、失礼させていただきます」
やれやれ、せめてこの件を、俺の人心掌握術を考えるくらいの才能があってくれたらいいのだが、高須家譜代の家臣にそれを求めるのは無理な話だな。
忠誠心と才能の両方を備えた家臣が数多く欲しいモノだ。
まあ、だが、俺の器以上の家臣など求めて無理な話だ。
島津斉彬の才能を恐れて世に出さないようにしている俺が、才ある家臣が欲しいなどと、どの口が言っているのかという話だよな。
前世で不遇な眼にあわされた、幕臣や佐幕派の人達の名誉回復も考えた。
その中には、子供共々父親の島津斉興や異母弟に島津久光に暗殺された説が有力な、島津斉彬もいたのだが、そうはいかなくなってしまった。
島津斉彬はあまりにもカリスマ性が高すぎた。
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全ては言い訳だが、徳川斉昭 のように殺してはいない。
「誰かある」
「何事でございますか、殿」
「島津斉彬殿の長子、菊三郎殿の七五三はいつであった」
「申し訳ありません、覚えておりませんが、それがいかがなされました」
「島津斉彬殿は一万石の藩主ではあるが、多くの家族と家臣を抱えて勝手向きが苦しいであろう、七五三の費用を余が出してやろうと思ったのだ」
「しかし殿、殿は日頃から何くれと兵庫頭様を支援されておられます。
更に今以上の支援が必要なのでしょうか」
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「そうだな、これ以上は必要ないかもしれんな。
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「はっ、失礼させていただきます」
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まあ、だが、俺の器以上の家臣など求めて無理な話だ。
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