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10話
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「聖女の言い分は理解した。
このクズどもの姿を見れば嘘偽りだとは言えぬ。
例え聖女が相手であろうと、婦女子に言いなりになるようなクズを国王にはさせられんから、王太子の地位を奪い廃嫡にする。
だがその前に、聖女の経歴に傷をつけるわけにはいかん。
聖女からの申し入れで、行状が改まらない王太子との婚約を解消する。
その後に王太子を廃嫡にすれば、聖女の名誉は保たれるだろう。
これで今回の件の怒りをおさめてくれんかな?」
国王もずいぶん低姿勢ね。
それに血を分けた王太子の名を一度も口にしない。
よほど腹に据えかねたのね。
まあ、今まで行ってきた悪行の全てを、私が近隣五カ国に知らせたから、こういう処分にしないと王家の威信が保てないのでしょう。
「婚約解消の件は大変ありがたいことで、感謝の言葉もありません。
しかしながら王太子殿下の処分に関しましては、国を出る私には全く関係ないことでございます。
王太子殿下を愛する方もおられましょう。
国王陛下や王妃殿下にとっては大切なお子様ではありませんか。
私の事など気になされる、どうか大切になされてください」
この国の事など知った事ではありません。
隣国にどう思われようと、有力国内貴族にどう思われようと、私には無関係です。
それよりも、愚かな王妃に逆恨みされる方が嫌です。
「聖女様。
そう仰らずにどうかこのままこの国にとどまってください。
大司祭も教会幹部も処分すると約束します。
兄上に関しても何の処罰もなく戻っていただきます。
あ、いえ、別に兄上に罪があるわけではありませんでしたね。
どうでしょう。
近衛騎士に抜擢すると言うのは!
いえ、騎士長の地位についていただくというのでは?!」
私がつい怒って睨んでしまったのか、侍従長が慌てています。
国王が約束するのは問題だから、侍従長が口約束するのでしょう。
誰がそんな話を信じるというのです。
「厚遇ありがたい話なのですが、私には聖なる任務がございます。
邪悪な呪いをかけられた子供を助けるという、神に与えられた任務です。
それを疎かにするわけにはまいりません。
その事を多くの国に訴えましたら、旅程の助力を申し出てくれました。
兄上と父上にかんしても、聖女付き騎士としての地位と援助を約束してくれましたので、いまさらこちらから断る事などできません」
嘘ですが、嘘ではありません。
聖女の私がこの国を出て他の国に滞在すると言うのは、他の国々にとって名誉な事であり、治療方法のなかった重病人にとっては福音です。
それを与えられることになった王家にとっては、国内を治めるうえで絶対の切り札になるのです。
兄上と父上に騎士位や領地、いえ、男爵位や領地を与えてもおつりが来ます。
この国にとっては、聖女の私がいる事で優位になっていた、国際的地位が凋落しますから、ないがあっても引き止めたいでしょう。
ですがいまさらです。
もっと早く兄上や父上を優遇すべきでした。
事ここに至っては、私を自由にさせるしか方法がないのです。
もしここで私を無理やり引きとめたら、五カ国が連合して聖女救出軍をこの国に派遣することでしょう。
正々堂々王太子の婚約者という呪縛から解かれ、やっと私は自由になれます!
このクズどもの姿を見れば嘘偽りだとは言えぬ。
例え聖女が相手であろうと、婦女子に言いなりになるようなクズを国王にはさせられんから、王太子の地位を奪い廃嫡にする。
だがその前に、聖女の経歴に傷をつけるわけにはいかん。
聖女からの申し入れで、行状が改まらない王太子との婚約を解消する。
その後に王太子を廃嫡にすれば、聖女の名誉は保たれるだろう。
これで今回の件の怒りをおさめてくれんかな?」
国王もずいぶん低姿勢ね。
それに血を分けた王太子の名を一度も口にしない。
よほど腹に据えかねたのね。
まあ、今まで行ってきた悪行の全てを、私が近隣五カ国に知らせたから、こういう処分にしないと王家の威信が保てないのでしょう。
「婚約解消の件は大変ありがたいことで、感謝の言葉もありません。
しかしながら王太子殿下の処分に関しましては、国を出る私には全く関係ないことでございます。
王太子殿下を愛する方もおられましょう。
国王陛下や王妃殿下にとっては大切なお子様ではありませんか。
私の事など気になされる、どうか大切になされてください」
この国の事など知った事ではありません。
隣国にどう思われようと、有力国内貴族にどう思われようと、私には無関係です。
それよりも、愚かな王妃に逆恨みされる方が嫌です。
「聖女様。
そう仰らずにどうかこのままこの国にとどまってください。
大司祭も教会幹部も処分すると約束します。
兄上に関しても何の処罰もなく戻っていただきます。
あ、いえ、別に兄上に罪があるわけではありませんでしたね。
どうでしょう。
近衛騎士に抜擢すると言うのは!
いえ、騎士長の地位についていただくというのでは?!」
私がつい怒って睨んでしまったのか、侍従長が慌てています。
国王が約束するのは問題だから、侍従長が口約束するのでしょう。
誰がそんな話を信じるというのです。
「厚遇ありがたい話なのですが、私には聖なる任務がございます。
邪悪な呪いをかけられた子供を助けるという、神に与えられた任務です。
それを疎かにするわけにはまいりません。
その事を多くの国に訴えましたら、旅程の助力を申し出てくれました。
兄上と父上にかんしても、聖女付き騎士としての地位と援助を約束してくれましたので、いまさらこちらから断る事などできません」
嘘ですが、嘘ではありません。
聖女の私がこの国を出て他の国に滞在すると言うのは、他の国々にとって名誉な事であり、治療方法のなかった重病人にとっては福音です。
それを与えられることになった王家にとっては、国内を治めるうえで絶対の切り札になるのです。
兄上と父上に騎士位や領地、いえ、男爵位や領地を与えてもおつりが来ます。
この国にとっては、聖女の私がいる事で優位になっていた、国際的地位が凋落しますから、ないがあっても引き止めたいでしょう。
ですがいまさらです。
もっと早く兄上や父上を優遇すべきでした。
事ここに至っては、私を自由にさせるしか方法がないのです。
もしここで私を無理やり引きとめたら、五カ国が連合して聖女救出軍をこの国に派遣することでしょう。
正々堂々王太子の婚約者という呪縛から解かれ、やっと私は自由になれます!
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