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第一章

第59話:頭痛

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 リアナ女王の護衛をさせているズメイ人から全てが伝わってくる。
 リアナ女王のプライバシーも守らなければいけないが、それ以上に命を護らなければいけないので、申し訳ないが断じて行っている。
 だからリアナ女王がクレマンから受けた報告も直ぐに俺の耳に入った。
 実感のない母親だが、ミネバの愚行には驚いた。

 だが、これでリアナ女王との決婚は、最低条件満たすことができた。
 教会は表向き近親婚を厳しく制限しているが、実情は違う。
 身分差の厳しい大陸の王侯貴族は、どうしても近親婚が多くなる。
 又従兄弟姉妹の結婚はもちろん、従兄弟姉妹の結婚は普通にある。
 一番制限が緩やかな国では、異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹の結婚を許している。

 前世の二十一世紀でも、スウェーデンでは兄弟姉妹であっても異父や異母の場合なら、政府機関の特別な許可を得た上であれば婚姻が許されていた。

 日本も飛鳥時代には異母兄弟姉妹の結婚は認められていた。
 特に皇室は権力を分散しないようにしていたのか、近親婚が多かった。
 平安時代以降は、皇室と藤原氏の間で近親婚が繰り返されている。
 江戸時代には従兄弟姉妹や又従兄弟姉妹の結婚が好まれていた。
 それどころか、伯叔父と姪の結婚、伯叔母と甥の結婚も認められていた。

 まあ、前世の事はどうでもいい。
 この世界でどうやって生きていくかが大切だ。
 リアナ女王を幸せにすることが何より優先すべき事だ。
 だが、できることなら、兄妹婚は避けたいと思う。
 リアナ女王に相応しい漢が見つかり、リアナ女王もその漢に恋する事が理想だ。

 もうこうなったら王侯貴族などと言っている場合ではない。
 庶民の中にいるであろう、埋もれた英傑を探し出す。
 庶民をリアナ女王の王配に選ぶことを否定する奴は殺してしまえばいい。
 批判する貴族一族を二つ三つ滅ぼしてやれば、もう何も言わなくなる。
 今の俺にはそれだけの力も覚悟もある。

 問題はどうやって埋もれた英傑を探し出すかだが、手っ取り早いの登用制度だ。
 文武の登用制度を設けて、庶民の中にいる埋もれた英傑を探す。
 いや、探すだけでは見つからない可能性もある。
 天賦の才があっても、才を磨く機会が与えられなかった者もいるだろう。
 学校制度を設けて、文武の才能を磨く機会を与えるのだ。

 だが、いくら俺が独裁者でも、何の理由もなしに無償の学校を設けるわけにはいかないから、国を護る戦士を育成する軍学校だから無償という体裁を整えよう。
 これならばラゼル公爵家譜代の家臣どもも納得するだろう。
 納得せずに陰でコソコソと邪魔する下劣な奴は、族滅させてやる。
 なんとしてもリアナ女王の王配に相応しい漢を育てるのだ。
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