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第一章
第19話:夜這い・某戦闘侍女視点
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「ダゴベルト殿下、本当にやられるのですか。
思い直された方がいいのではありませんか。
公国の警備が甘いと考えるのは危険過ぎます」
「馬鹿め、余はフランク王国の王子だぞ。
例え見つかったとしても、処罰などされるものか。
それに、高貴な王族が恋を語るのは当たり前の事ではないか」
「ダゴベルト殿下、それは自国の貴族令嬢や平民女が相手の時だけでございます。
一国の公太女の対してそのような事をすれば、ただではすみません」
「一国の公太女だと、つい最近までただの公爵令嬢ではないか。
そのような成り上がりの公太女を、由緒正しいフランク王国の王子である余が恋を語ってやると言うのだ、むしろ名誉な事であろう」
「そのような恐ろしい事を口にしてはまいりませんぞ、ダゴベルト殿下。
大陸に冠絶するとまで言われ、恐れられているエドアルド公子殿下は、義妹のマリア殿下を溺愛されているという話しです。
もし今言った言葉をエドアルド公子殿下が耳にされたとなれば、ダゴベルト殿下は八つ裂きにされてしまいますぞ」
「ふん、溺愛だと、卑しい生まれのくせに、公爵家に取り入って公子の地位を僭称するか、汚らわしい。
その溺愛というのは、ベッドの中でまでのことなのか。
マリアというのは義理の兄と貫通するアバズレなのか」
「ウッギャアアアアア」
「先ほどから黙って聞いていれば、好き勝手言ってくれますね。
畏れ多くもエドアルド殿下とマリア殿下の事を悪く言うなど、絶対に許せません。
公王陛下を暗殺しようとした罪で嬲り殺しにして差し上げます」
「ギャア、フギャ、グゥッフ、ギャアアアアア」
「殿下、ダゴベルト殿下。
待ってください、違うのです、そのような大それたことをしようとしたわけではないのです」
「ギャ、ギャッ、ギャッフ、ウギャ、ギャッ、ウギャアアアア」
「酷い、幾ら何度も酷過ぎますぞ」
「公王陛下を暗殺してから公太女殿下を嬲り者にして、公国を奪おうとした卑怯下劣なモノに、情け容赦をかける訳がないでしょう。
それに、このゴミ虫の心配をするよりも、自分達の事を心配した方がいいですよ。
このゴミ虫と一緒に王宮に潜入したのです、同罪ですからね」
「ギャ、ギャッ、ギャッフ、ウギャ、ギャッ、ウギャアアアア」
「違う、そのような事をしようとしていたわけではない、本当だ。
ダゴベルト殿下はマリア殿下に恋するあまり礼儀を忘れられただけなのだ。
その非礼は正式に詫びていただく、賠償もさせていただく、だからもう許して差し上げてくれ、この通りだ」
「犬畜生にも劣る、騎士道精神の欠片もないゴミ虫が頭を下げて、どれほどの価値があると思っているのですか。
このゴミ虫が口にしていた事、全て聞いていたのですよ。
その無礼で恥知らずな言葉は、エドアルド殿下に報告させていただきます。
お前達の妻子はもちろん、一族の端に至るまで皆殺しになる事でしょう。
フランク王国など跡形もなく滅ぶとここで断言します」
思い直された方がいいのではありませんか。
公国の警備が甘いと考えるのは危険過ぎます」
「馬鹿め、余はフランク王国の王子だぞ。
例え見つかったとしても、処罰などされるものか。
それに、高貴な王族が恋を語るのは当たり前の事ではないか」
「ダゴベルト殿下、それは自国の貴族令嬢や平民女が相手の時だけでございます。
一国の公太女の対してそのような事をすれば、ただではすみません」
「一国の公太女だと、つい最近までただの公爵令嬢ではないか。
そのような成り上がりの公太女を、由緒正しいフランク王国の王子である余が恋を語ってやると言うのだ、むしろ名誉な事であろう」
「そのような恐ろしい事を口にしてはまいりませんぞ、ダゴベルト殿下。
大陸に冠絶するとまで言われ、恐れられているエドアルド公子殿下は、義妹のマリア殿下を溺愛されているという話しです。
もし今言った言葉をエドアルド公子殿下が耳にされたとなれば、ダゴベルト殿下は八つ裂きにされてしまいますぞ」
「ふん、溺愛だと、卑しい生まれのくせに、公爵家に取り入って公子の地位を僭称するか、汚らわしい。
その溺愛というのは、ベッドの中でまでのことなのか。
マリアというのは義理の兄と貫通するアバズレなのか」
「ウッギャアアアアア」
「先ほどから黙って聞いていれば、好き勝手言ってくれますね。
畏れ多くもエドアルド殿下とマリア殿下の事を悪く言うなど、絶対に許せません。
公王陛下を暗殺しようとした罪で嬲り殺しにして差し上げます」
「ギャア、フギャ、グゥッフ、ギャアアアアア」
「殿下、ダゴベルト殿下。
待ってください、違うのです、そのような大それたことをしようとしたわけではないのです」
「ギャ、ギャッ、ギャッフ、ウギャ、ギャッ、ウギャアアアア」
「酷い、幾ら何度も酷過ぎますぞ」
「公王陛下を暗殺してから公太女殿下を嬲り者にして、公国を奪おうとした卑怯下劣なモノに、情け容赦をかける訳がないでしょう。
それに、このゴミ虫の心配をするよりも、自分達の事を心配した方がいいですよ。
このゴミ虫と一緒に王宮に潜入したのです、同罪ですからね」
「ギャ、ギャッ、ギャッフ、ウギャ、ギャッ、ウギャアアアア」
「違う、そのような事をしようとしていたわけではない、本当だ。
ダゴベルト殿下はマリア殿下に恋するあまり礼儀を忘れられただけなのだ。
その非礼は正式に詫びていただく、賠償もさせていただく、だからもう許して差し上げてくれ、この通りだ」
「犬畜生にも劣る、騎士道精神の欠片もないゴミ虫が頭を下げて、どれほどの価値があると思っているのですか。
このゴミ虫が口にしていた事、全て聞いていたのですよ。
その無礼で恥知らずな言葉は、エドアルド殿下に報告させていただきます。
お前達の妻子はもちろん、一族の端に至るまで皆殺しになる事でしょう。
フランク王国など跡形もなく滅ぶとここで断言します」
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