24 / 71
23話
しおりを挟む
「閣下。
薬草の素材を集めてまいりました。
確認してください」
「ありがとう、なかなかいい状態よ。
次からも頼むわね」
私が薬の調合を行っている間に、オリビア母さんが家族を引き連れて、薬の素材になる薬草などを集めてくれました。
オリビア母さんは、ずっと私の薬作りを手伝ってくれていたので、素材の扱い方がとても丁寧です。
薬の素材となる薬草などは、採集する時間が違うだけで、薬になった時の薬効が全く違ってくるのです。
そもそも季節によっても違いますし、大きさによっても違います。
旬という言葉がありますが、薬にするのに最もいい時があるのです。
色や大きさや香りといった、旬を見分ける力が、薬作りには必要なのです。
根をつけたまま採集した方がいいのか悪いのか。
旬を過ぎた花弁や萼を一緒に採集した方がいいのか悪いのか。
全く別の薬の素材として使えるのか使えないのか。
そのような知識がなければ、薬の採集を任せることなどできません。
まして翌年の採集を考えて今年の採集量を決めるなんて、素人には不可能です。
ですがオリビア母さんには全て任せることができます。
生れてからずっと側にいてくれたのです。
聖なる力に目覚めた時も、その力に頼ることなく薬学で人々を救いたいと考え、毎日勉強していた時も、側で励ますだけでなく、積極的に手伝ってくれたのです。
薬草を集めた後の実際の薬作りも、オリビア母さんが手伝ってくれます。
水で洗った方がいいのか、ぜったに水を使わず、丁寧に払うように砂や泥を落とした方がいいのか。
水で煮出すのか酒で煮出すのか。
酒を使うにしても、赤ワインがいいのか白ワインがいいのか。
煮出すのではなく火酒で漬けて染み出させるようにするのか。
煮出すにしても、薬草を単独で煮出して、煮出した薬水を混ぜ合わせるのか。
それとも、煮出す時に同時に薬草を入れた方がいいのか。
同じ水や酒で煮出すにしても、薬草の順番をどうするのか。
煮出す火力は強火中火弱火のどれがいいのか。
煮出す時間はどれくらいの長さにするのか。
煮出した時に出る灰汁は取った方がいいのか悪いのか。
そんな細かい配慮を一つ一つ重ねて、私は薬を作るのです。
結果私が作る薬は、並の薬の五倍の効果を持つことになりました。
手間も時間も多大ですが、それに見合う効果を得ることができます。
家を出てから試行錯誤して得られた、この大陸の誰にも負けない技術です。
本当は広く公開すべき技術なのですが、迂闊に伝えると戦争に繋がってしまいますから、伝える相手は厳選しなければいけません。
今知っているのはオリビア母さんとオウエンだけです。
薬草の素材を集めてまいりました。
確認してください」
「ありがとう、なかなかいい状態よ。
次からも頼むわね」
私が薬の調合を行っている間に、オリビア母さんが家族を引き連れて、薬の素材になる薬草などを集めてくれました。
オリビア母さんは、ずっと私の薬作りを手伝ってくれていたので、素材の扱い方がとても丁寧です。
薬の素材となる薬草などは、採集する時間が違うだけで、薬になった時の薬効が全く違ってくるのです。
そもそも季節によっても違いますし、大きさによっても違います。
旬という言葉がありますが、薬にするのに最もいい時があるのです。
色や大きさや香りといった、旬を見分ける力が、薬作りには必要なのです。
根をつけたまま採集した方がいいのか悪いのか。
旬を過ぎた花弁や萼を一緒に採集した方がいいのか悪いのか。
全く別の薬の素材として使えるのか使えないのか。
そのような知識がなければ、薬の採集を任せることなどできません。
まして翌年の採集を考えて今年の採集量を決めるなんて、素人には不可能です。
ですがオリビア母さんには全て任せることができます。
生れてからずっと側にいてくれたのです。
聖なる力に目覚めた時も、その力に頼ることなく薬学で人々を救いたいと考え、毎日勉強していた時も、側で励ますだけでなく、積極的に手伝ってくれたのです。
薬草を集めた後の実際の薬作りも、オリビア母さんが手伝ってくれます。
水で洗った方がいいのか、ぜったに水を使わず、丁寧に払うように砂や泥を落とした方がいいのか。
水で煮出すのか酒で煮出すのか。
酒を使うにしても、赤ワインがいいのか白ワインがいいのか。
煮出すのではなく火酒で漬けて染み出させるようにするのか。
煮出すにしても、薬草を単独で煮出して、煮出した薬水を混ぜ合わせるのか。
それとも、煮出す時に同時に薬草を入れた方がいいのか。
同じ水や酒で煮出すにしても、薬草の順番をどうするのか。
煮出す火力は強火中火弱火のどれがいいのか。
煮出す時間はどれくらいの長さにするのか。
煮出した時に出る灰汁は取った方がいいのか悪いのか。
そんな細かい配慮を一つ一つ重ねて、私は薬を作るのです。
結果私が作る薬は、並の薬の五倍の効果を持つことになりました。
手間も時間も多大ですが、それに見合う効果を得ることができます。
家を出てから試行錯誤して得られた、この大陸の誰にも負けない技術です。
本当は広く公開すべき技術なのですが、迂闊に伝えると戦争に繋がってしまいますから、伝える相手は厳選しなければいけません。
今知っているのはオリビア母さんとオウエンだけです。
282
あなたにおすすめの小説
お望み通り、別れて差し上げます!
珊瑚
恋愛
「幼なじみと子供が出来たから別れてくれ。」
本当の理解者は幼なじみだったのだと婚約者のリオルから突然婚約破棄を突きつけられたフェリア。彼は自分の家からの支援が無くなれば困るに違いないと思っているようだが……?
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
花嫁に「君を愛することはできない」と伝えた結果
藍田ひびき
恋愛
「アンジェリカ、君を愛することはできない」
結婚式の後、侯爵家の騎士のレナード・フォーブズは妻へそう告げた。彼は主君の娘、キャロライン・リンスコット侯爵令嬢を愛していたのだ。
アンジェリカの言葉には耳を貸さず、キャロラインへの『真実の愛』を貫こうとするレナードだったが――。
※ 他サイトにも投稿しています。
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ
綾雅(りょうが)今月は2冊出版!
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」
物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。
★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位
2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位
2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位
2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位
2023/01/08……完結
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる