聖女は教会に裏切られ、王子達に輪姦され、奈落の底に落とされました。

克全

文字の大きさ
27 / 39
第一章

26話

しおりを挟む
 オリヴィアは奈落の底でもがき苦しんでいた。
 元に戻ろうとする聖女の心と、怨念が戦っていた。
 それくらい聖女の心が戻って来ていたが、それでも怨念の方が強かった。
 自分で報復したい気持ちに変わりはないが、他の怨念に引きずられている今の状態では、我を忘れてしまうかもしれなかった。

 狂気に染まり、大切なバートとエイダに、魔獣の一部が襲い掛かってしまうかもしれなかった。
 こんな状態では、オリヴィアも報復に動けなかった。
 だが魔獣と一体化した怨念の一部は、オリヴィアのコントロールを離れ、勝手に奈落を出て行ってしまった。
 そして彼らの激烈な報復が始まった。

 オリヴィアにコントロールされている間は、統制のとれた報復が行われていた。
 だがオリヴィアのコントロールが離れた以上、無差別な報復が始まった。
 奈落の周辺にある村や町が、無差別に襲撃された。
 魔獣は人間を無差別に喰い殺した。
 地獄絵図の国だが、そんな中でも最低限の暮らしをしていた状況が崩れたのだ。

 土地を離れたら生きていけない国だが、村や街に残れば喰い殺されてしまう。
 だが国から逃げ出せば生き延びられる道がある。
 そう考える者が現れたのだ。
 一人がそう考えて逃げ出せば、後に続く者もいる。
 一旦そういう流れば出来れば、雪崩現象が起こる。

 民が全て国を捨てて逃げ出そうとした。
 教会と領主に止める事など出来なかった。
 末端の神官や領主軍の兵士まで逃げ出していたからだ。
 
「兄上。
 どうする心算なんです。
 このままでは、魔女が王都にまでやってきますぞ」

「俺達に復讐するためにか?」

「ええ。
 身分もわきまえず、復讐などとふざけた事を言って、魔獣を従えてやってきますぞ」

 余裕の表情で、新たに攫ってきた女を嬲っている第一王子に、第二王子が少々苛立ちながら聞いた。
 オリヴィアが魔獣をコントロールしている間は、末端の神官や領主から報復されていた。
 自分達を最後の標的とする事で、恐怖感を与えようとしている事は、明々白々だった。

 腹立たしい事ではあったが、時間が稼げると考えた王子達は、教会とは別に隣国から傭兵を集めようとしていた。
 だが教会と違い、自国以外にはほとんど力がなかった。
 悪行の評判が隣国にも広まっていて、どの王家も相手にしてくれないのだ。
 だから法外な報酬を約束して、隣国の将軍や騎士を引き抜こうとしている最中だったのだ。

「心配するな。
 もう話はつけてある。
 お前達は将兵を纏めておけ」
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました

歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と 罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、 エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」 辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。 商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。 元夫が「戻ってこい」と泣きつくが—— 「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」

処理中です...