5 / 5
第一章
第5話:謀略案
しおりを挟む
俺は十八歳となり、妹のサンドラは十五歳となった。
この六年の弛まぬ努力が実り、サンドラは聖女と呼ばれている。
乙女ゲームでエレナが聖女と称えられる業績は、全てサンドラにやらせた。
これで小さな教会の両親から生まれたエレナが表に出るきっかけはなくなる。
手の者に調べさせているが、治癒魔法で恵まれない民を無償で癒してはいる。
だがそれはサンドラがもっと大々的な規模でやっている事だ。
「お兄様、施し用の魔晶石が尽きたのですが……」
サンドラが、私が貸し与えている魔晶石の魔力が尽きたと言ってきた。
普段ならこれで今日の無償治療は終わるところだが、エレナが聖女と称えられる機会は完全に潰しておかなければいけない。
王都にいる民は、全員サンドラが治療するくらいにしておきたい。
サンドラが他の事で忙しい時は、私が代わってやればいい。
今のサンドラはフォード王国の聖女と褒め称えられているが、サンドラと俺でフォード王国の聖兄妹と呼ばれるのも悪くはない。
「昨日用意しておいたから、この魔晶石を使いなさい」
「はい、お兄様」
サンドラが満面の笑みで魔晶石を受け取ってくれる、実に素直でいい子に育った。
俺が教えた東洋医学の経穴経絡の訓練法も完全にマスターして、俺に次ぐ莫大な魔力を誇っているが、俺の言いつけ通り勝手に使ったりしない。
魔力が多いと知られてしまったら、悪い奴は裏をかいてくるからな。
強みも弱味も見せない事が一番大切だと思っている。
それに、経穴経絡訓練法も誰にも話さず、俺と二人だけの秘密にしてくれている。
「やあ、もう治療をしていたのだね、クリスティアン、サンドラ。
二人だけにやらせてすまなかったね、僕も手伝わせてもらうよ」
王太子がやって来てサンドラの表情が一気に曇った。
俺と二人の時間を邪魔されて哀しくなっているのだ、可愛い妹である。
だが、その、あまりにも可愛がり過ぎてしまったかも知れない……
サンドラを助けるために決めた方針通りに育ってくれたのだが、このままでは王太子との結婚生活が上手くいかないかもしれない。
「お兄様、わたくし、王太子殿下と結婚したくありません。
ずっと公爵家に残って、お兄様と一緒に暮らしたいです、駄目ですか?」
駄目じゃないぞ、全然駄目じゃない。
だからここで方針を大転換する、聖女エレナを表に出して、サンドラと王太子の婚約を解消させてやる。
サンドラとの婚約中に、王太子がエレナと不義密通して妊娠させれば、有利な条件で婚約を解消させられる。
その賠償として、かねてから目をつけていた大魔境を手に入れてみせるぞ!
この六年の弛まぬ努力が実り、サンドラは聖女と呼ばれている。
乙女ゲームでエレナが聖女と称えられる業績は、全てサンドラにやらせた。
これで小さな教会の両親から生まれたエレナが表に出るきっかけはなくなる。
手の者に調べさせているが、治癒魔法で恵まれない民を無償で癒してはいる。
だがそれはサンドラがもっと大々的な規模でやっている事だ。
「お兄様、施し用の魔晶石が尽きたのですが……」
サンドラが、私が貸し与えている魔晶石の魔力が尽きたと言ってきた。
普段ならこれで今日の無償治療は終わるところだが、エレナが聖女と称えられる機会は完全に潰しておかなければいけない。
王都にいる民は、全員サンドラが治療するくらいにしておきたい。
サンドラが他の事で忙しい時は、私が代わってやればいい。
今のサンドラはフォード王国の聖女と褒め称えられているが、サンドラと俺でフォード王国の聖兄妹と呼ばれるのも悪くはない。
「昨日用意しておいたから、この魔晶石を使いなさい」
「はい、お兄様」
サンドラが満面の笑みで魔晶石を受け取ってくれる、実に素直でいい子に育った。
俺が教えた東洋医学の経穴経絡の訓練法も完全にマスターして、俺に次ぐ莫大な魔力を誇っているが、俺の言いつけ通り勝手に使ったりしない。
魔力が多いと知られてしまったら、悪い奴は裏をかいてくるからな。
強みも弱味も見せない事が一番大切だと思っている。
それに、経穴経絡訓練法も誰にも話さず、俺と二人だけの秘密にしてくれている。
「やあ、もう治療をしていたのだね、クリスティアン、サンドラ。
二人だけにやらせてすまなかったね、僕も手伝わせてもらうよ」
王太子がやって来てサンドラの表情が一気に曇った。
俺と二人の時間を邪魔されて哀しくなっているのだ、可愛い妹である。
だが、その、あまりにも可愛がり過ぎてしまったかも知れない……
サンドラを助けるために決めた方針通りに育ってくれたのだが、このままでは王太子との結婚生活が上手くいかないかもしれない。
「お兄様、わたくし、王太子殿下と結婚したくありません。
ずっと公爵家に残って、お兄様と一緒に暮らしたいです、駄目ですか?」
駄目じゃないぞ、全然駄目じゃない。
だからここで方針を大転換する、聖女エレナを表に出して、サンドラと王太子の婚約を解消させてやる。
サンドラとの婚約中に、王太子がエレナと不義密通して妊娠させれば、有利な条件で婚約を解消させられる。
その賠償として、かねてから目をつけていた大魔境を手に入れてみせるぞ!
5
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
こうして私は悪魔の誘惑に手を伸ばした
綴つづか
恋愛
何もかも病弱な妹に奪われる。両親の愛も、私がもらった宝物もーー婚約者ですらも。
伯爵家の嫡女であるルリアナは、婚約者の侯爵家次男ゼファーから婚約破棄を告げられる。病弱で天使のような妹のカリスタを抱き寄せながら、真実の愛を貫きたいというのだ。
ルリアナは、それを粛々と受け入れるほかなかった。
ゼファーとカリスタは、侯爵家より譲り受けた子爵領へと移り住み、幸せに暮らしていたらしいのだが。2年後、『病弱』な妹は、出産の際に命を落とす。
……その訃報にルリアナはひっそりと笑みを溢した。
妹に奪われてきた姉が巻き込まれた企みのお話。
他サイトにも掲載しています。※ジャンルに悩んで恋愛にしていますが、主人公に恋愛要素はありません。
この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!
naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。
そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。
シオンの受難は続く。
ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。
あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
小説が完結したことになってしまっておりますよ。私も含め完結作品を検索している方もおられるでしょうから、直して頂けるとよいと思います。
感想ありがとうございます。
これで完結です。