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4話
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「父上、王太子殿下は領地割譲手続きをしてくださいましたか?」
「ああ、あの殿下とは思えないくらい精力的に動いてくださったぞ。
まるでエレナが褥を共にする約束をしたようだと、大評判になっている。
いや、あのケチな殿下が女性を口説くための領地を割譲することはないな。
殿下は女性のためには口とアレしか動かさないというのが常識だからな。
いったいどんな手を使ったのだ、エレナ」
「たいした事ではありませんわ、父上。
襲われないように、殿下の行状を書いたお手紙を教皇猊下と枢機卿猊下にお預けしたと、お伝えしただけですわ」
「……随分と思い切ったことをしたな。
単なる色情狂にみえるが、殿下は陰険で酷薄だぞ。
そのような手段を使えば、恨んでどんな報復をしてくるか分からんぞ」
「でも父上、殿下の言いなりになれば、結局公爵家令嬢としての評判が地に落ちてしまい、死んだも同然の余生となります。
それくらいなら、命を懸けて抵抗すべきではありませんか?」
「そういう考えもあるが、ゆるく考える事もできるのだぞ。
殿下のために評判を落とした令嬢や夫人は数多い。
少なく見積もっても百を下回ることはない。
エレナ一人だけが槍玉に挙げられるわけではない。
だが教皇猊下と枢機卿猊下を力を借りて脅したとなると……」
「大丈夫でございますわ。
お手紙は教皇猊下と枢機卿猊下にお預けしたままにしますし、王都を引き払って田舎に引っ込みますもの。
殿下もすぐに忘れて、他の令嬢や御婦人を追いかけられますわ」
「本気なのか?
本気で南方の未開地に行くというのか?!」
「はい、本気です。
ですから、お願いしていた、冒険者と開拓民の手配は大丈夫ですか?
手配が遅れて王都に残ると、それこそ殿下の報復を受けてしまいます」
「ふむ。
そこまでの覚悟があるのなら、開拓が終わる前に移動するか?
だが王都にいる時のような、何不自由のない生活など望めないぞ?
その覚悟があるのなら、軍を動員して送ってやる。
材木の伐採や、当面住むためのログハウスくらいは建ててやる。
いるかいないかは分からんが、家中の侍女でついていきたい者も探してやる。
しかそ南方の未開地についていってくれるような侍女がいるとは思えんがな」
「ありがとうございます、父上。
そうしていただければ助かります。
殿下の恨みは確かに心配ですから、軍の準備が整い次第出発させていただきます」
私の言葉に父上はあきれておられますが、私には好都合です。
まあ、王太子が何をしてこようと、火炙りが嫌で必死で勉強した魔法があります。
王太子の刺客くらい撃退する自信はありますが、好き好んで争いたいわけではありません。
覚えた魔法は未開地の開拓に使うのです。
とても楽しみですね!
「ああ、あの殿下とは思えないくらい精力的に動いてくださったぞ。
まるでエレナが褥を共にする約束をしたようだと、大評判になっている。
いや、あのケチな殿下が女性を口説くための領地を割譲することはないな。
殿下は女性のためには口とアレしか動かさないというのが常識だからな。
いったいどんな手を使ったのだ、エレナ」
「たいした事ではありませんわ、父上。
襲われないように、殿下の行状を書いたお手紙を教皇猊下と枢機卿猊下にお預けしたと、お伝えしただけですわ」
「……随分と思い切ったことをしたな。
単なる色情狂にみえるが、殿下は陰険で酷薄だぞ。
そのような手段を使えば、恨んでどんな報復をしてくるか分からんぞ」
「でも父上、殿下の言いなりになれば、結局公爵家令嬢としての評判が地に落ちてしまい、死んだも同然の余生となります。
それくらいなら、命を懸けて抵抗すべきではありませんか?」
「そういう考えもあるが、ゆるく考える事もできるのだぞ。
殿下のために評判を落とした令嬢や夫人は数多い。
少なく見積もっても百を下回ることはない。
エレナ一人だけが槍玉に挙げられるわけではない。
だが教皇猊下と枢機卿猊下を力を借りて脅したとなると……」
「大丈夫でございますわ。
お手紙は教皇猊下と枢機卿猊下にお預けしたままにしますし、王都を引き払って田舎に引っ込みますもの。
殿下もすぐに忘れて、他の令嬢や御婦人を追いかけられますわ」
「本気なのか?
本気で南方の未開地に行くというのか?!」
「はい、本気です。
ですから、お願いしていた、冒険者と開拓民の手配は大丈夫ですか?
手配が遅れて王都に残ると、それこそ殿下の報復を受けてしまいます」
「ふむ。
そこまでの覚悟があるのなら、開拓が終わる前に移動するか?
だが王都にいる時のような、何不自由のない生活など望めないぞ?
その覚悟があるのなら、軍を動員して送ってやる。
材木の伐採や、当面住むためのログハウスくらいは建ててやる。
いるかいないかは分からんが、家中の侍女でついていきたい者も探してやる。
しかそ南方の未開地についていってくれるような侍女がいるとは思えんがな」
「ありがとうございます、父上。
そうしていただければ助かります。
殿下の恨みは確かに心配ですから、軍の準備が整い次第出発させていただきます」
私の言葉に父上はあきれておられますが、私には好都合です。
まあ、王太子が何をしてこようと、火炙りが嫌で必死で勉強した魔法があります。
王太子の刺客くらい撃退する自信はありますが、好き好んで争いたいわけではありません。
覚えた魔法は未開地の開拓に使うのです。
とても楽しみですね!
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