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大納言対外政策
別式女
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「主殿頭、凛々しい女子だな」
「はい」
「なんじゃ。素っ気ないの」
「いえ、剣術の御前試合でございますれば」
「そうか。そうであったな。だが剣の腕もなかなかのモノではないか」
「はい。御先手組を勝ち抜いてきた猛者相手にも、些かの見劣りもありません」
「そうであるな。他の別式女もなかなかだが、あの者は飛び抜けておるな」
「恐れ多い事でございます」
「何故主殿頭が恐れ入る」
「はあ、この前の一件があって、臣が奥に送り込んだ者でございますれば」
「なんじゃ。主殿頭にしては歯切れが悪いな」
「はあ」
「上様の御手がついているのか」
「いえ、決してそのような事はありません」
「そうだな。そのような事があれば、試合になど出られぬな」
「はあ」
「うむ。おお、胴を抜いたぞ。見事じゃ」
「はあ。恐れ多い事でございます」
「おかしな奴じゃな。確かに、あのように見目好く凛々しい者が、むさ苦しい男を叩きのめす姿を見られるのなら、見料も高くとれるであろう」
「はい。しかもそれが、番方に就けるかどうかの試験でございますから、町方はもちろん旗本御家人も、先を争って見物いたします」
「左様か。今度は浪人だな」
「はい。激しい競争を勝ち抜いた、猛者でございます」
「主殿頭は先に試合を見ているのか」
「はい。丁度非番の時間に試合がございました」
「お。一撃ではないか」
「はい。あの者の剣は、上段からの初手に全てを賭けるモノでございます」
「あの一撃で全ての試合を勝ち抜いてきたのか」
「そう聞いております」
「見事なものよな」
「はい」
「あの者を召し抱えるのか」
「いえ、養子先を探します」
「倹約か」
「はい。婿を探している無役の家に、あの者のように試合に勝ちぬいた者を婿にすれば、徒士組に番入りさせ、蝦夷地に屯田させると広めております」
「屯田を嫌う幕臣が増えたと聞いているが、それで婿入り先が見つかるのか」
「幕府が扶持米を蝦夷地まで運び、鉄砲と玉薬も貸し与えるという話を広めましたので、また希望する者が増えております」
「そうか。それは重畳である。だが、御先手鉄砲組だけでなく、徒士組にも鉄砲を貸し与えるのか」
「蝦夷に向かった意知からの手紙では、蝦夷には巨大な熊や狼が多く、鉄砲がなければ開拓に支障があるとの事でございました」
「左様か。なかなかに危険な場所なのだな」
「はい。特に冬ごもり前の熊や、冬ごもりに失敗した熊は、人を喰うという話でございます」
「幕府としても、万全の支援が必要だな」
「はい。幕府の威信にかけて、送り出した幕臣を餓死させる訳にはまいりません」
「その為にも、南蛮船を認めるべきだと申すのだな」
「はい」
「お、またあの別式女が現れたぞ」
「はあ」
「おお、見事に小手を決めたぞ」
「はあ」
「主殿頭。あの女子なら、余の側においても構わぬぞ」
「はあ」
「張り合いのないも返事をするな。あの女子なら、主殿頭が煩く言っていた側室にしていいと申したのだ」
「御恐れながら申し上げます」
「何じゃ改まって」
「あれは臣の娘でございます」
「はい」
「なんじゃ。素っ気ないの」
「いえ、剣術の御前試合でございますれば」
「そうか。そうであったな。だが剣の腕もなかなかのモノではないか」
「はい。御先手組を勝ち抜いてきた猛者相手にも、些かの見劣りもありません」
「そうであるな。他の別式女もなかなかだが、あの者は飛び抜けておるな」
「恐れ多い事でございます」
「何故主殿頭が恐れ入る」
「はあ、この前の一件があって、臣が奥に送り込んだ者でございますれば」
「なんじゃ。主殿頭にしては歯切れが悪いな」
「はあ」
「上様の御手がついているのか」
「いえ、決してそのような事はありません」
「そうだな。そのような事があれば、試合になど出られぬな」
「はあ」
「うむ。おお、胴を抜いたぞ。見事じゃ」
「はあ。恐れ多い事でございます」
「おかしな奴じゃな。確かに、あのように見目好く凛々しい者が、むさ苦しい男を叩きのめす姿を見られるのなら、見料も高くとれるであろう」
「はい。しかもそれが、番方に就けるかどうかの試験でございますから、町方はもちろん旗本御家人も、先を争って見物いたします」
「左様か。今度は浪人だな」
「はい。激しい競争を勝ち抜いた、猛者でございます」
「主殿頭は先に試合を見ているのか」
「はい。丁度非番の時間に試合がございました」
「お。一撃ではないか」
「はい。あの者の剣は、上段からの初手に全てを賭けるモノでございます」
「あの一撃で全ての試合を勝ち抜いてきたのか」
「そう聞いております」
「見事なものよな」
「はい」
「あの者を召し抱えるのか」
「いえ、養子先を探します」
「倹約か」
「はい。婿を探している無役の家に、あの者のように試合に勝ちぬいた者を婿にすれば、徒士組に番入りさせ、蝦夷地に屯田させると広めております」
「屯田を嫌う幕臣が増えたと聞いているが、それで婿入り先が見つかるのか」
「幕府が扶持米を蝦夷地まで運び、鉄砲と玉薬も貸し与えるという話を広めましたので、また希望する者が増えております」
「そうか。それは重畳である。だが、御先手鉄砲組だけでなく、徒士組にも鉄砲を貸し与えるのか」
「蝦夷に向かった意知からの手紙では、蝦夷には巨大な熊や狼が多く、鉄砲がなければ開拓に支障があるとの事でございました」
「左様か。なかなかに危険な場所なのだな」
「はい。特に冬ごもり前の熊や、冬ごもりに失敗した熊は、人を喰うという話でございます」
「幕府としても、万全の支援が必要だな」
「はい。幕府の威信にかけて、送り出した幕臣を餓死させる訳にはまいりません」
「その為にも、南蛮船を認めるべきだと申すのだな」
「はい」
「お、またあの別式女が現れたぞ」
「はあ」
「おお、見事に小手を決めたぞ」
「はあ」
「主殿頭。あの女子なら、余の側においても構わぬぞ」
「はあ」
「張り合いのないも返事をするな。あの女子なら、主殿頭が煩く言っていた側室にしていいと申したのだ」
「御恐れながら申し上げます」
「何じゃ改まって」
「あれは臣の娘でございます」
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