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大納言対外政策
田沼意次と意知
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「よく無事で戻った」
「父上様の御陰を持ちまして、無事役目を果たすことが出来ました」
「うむ。それで蝦夷に残った者達はどうしておるのだ」
「分かれる時の話し合いでは、松前藩に屯田兵の家屋敷を用意させることになっておりました」
「松前藩は素直に話を聞きそうであったか」
「改易になるか、減封になるかの瀬戸際でございますから、必死で働いておりました」
「アイヌに負担をかけていないな」
「その点は十分気を付けて、米一俵の中身を四斗に改めさせました」
「交易場所を預かっていた商人どもはどうであった」
「全て調べ上げ、闕所の手続きを取るようにしております」
「理由は何にするのだ」
「幕府が定めた、一俵四斗を守らなかったことでございます」
「確かに幕府の年貢は一俵四斗と定めているが、それを松前藩が認めた商人に当てはめるのは無理があるのではないか」
「ですが父上、松前藩は日本以外との交易を認められている、数少ない藩でございます」
「うむ」
「それは幕府の体面まで責任を持っているのと同じではないでしょうか」
「ふむ」
「幕府が定めた一俵四斗を、異国の者に対して偽ると言うのは、幕府を偽り、幕府の信義を失わしたのに等しいとのではありませんか」
「その論法で、蝦夷地に入り込んだ商人を、全て闕所にすると言うのだな」
「はい。全てを闕所にいたしますと、百万両は下らぬと思われます」
「しかし全ての商人を闕所にしてしまっては、後々の交易に差し障りが出るのではないか」
「一緒に蝦夷に向かった者と相談したのですが、実際に商場でアイヌと交渉しているのは、手代や番頭でございます」
「なるほど。一旦店を潰して財産を没収するが、その後を番頭や手代に任せると言うのだな」
「父上が申しておられたように、無一文の番頭や手代に、幕府が金を貸し付けて商売をさせれば、運上金が幕府に入ります」
「闕所にした商家から集めた百万両を貸し付ければ、幕府の軍資金に手を付けずにすむな」
「はい。一割の利息で貸し付ければ、毎年十万両の利益が幕府に入ることになります」
「情けをかけている場合ではないな」
「はい。何より幕府が情けをかけるのは、領民となるアイヌの者達でございます」
「なるほど」
「屯田兵が五百丁歩もの開拓を成功させるには、アイヌの協力が不可欠でございます」
「そうだな。それに開拓に成功した後は、小作人として働いてもらわねばならぬ」
「はい。それで屯田兵の輸送はどうなっておりますか」
「それは既に手配りは終わっている」
「どうなさるのですか」
「今迄蝦夷の商いに加われなかった商人に、幕府御用の費用を肩代わりする代わりに、帰りに蝦夷の産物を持ち帰る許可を与えた」
「それは、無料で屯田兵を運ばせると言う事ですか」
「そうだ」
「父上らしいですね」
「父上様の御陰を持ちまして、無事役目を果たすことが出来ました」
「うむ。それで蝦夷に残った者達はどうしておるのだ」
「分かれる時の話し合いでは、松前藩に屯田兵の家屋敷を用意させることになっておりました」
「松前藩は素直に話を聞きそうであったか」
「改易になるか、減封になるかの瀬戸際でございますから、必死で働いておりました」
「アイヌに負担をかけていないな」
「その点は十分気を付けて、米一俵の中身を四斗に改めさせました」
「交易場所を預かっていた商人どもはどうであった」
「全て調べ上げ、闕所の手続きを取るようにしております」
「理由は何にするのだ」
「幕府が定めた、一俵四斗を守らなかったことでございます」
「確かに幕府の年貢は一俵四斗と定めているが、それを松前藩が認めた商人に当てはめるのは無理があるのではないか」
「ですが父上、松前藩は日本以外との交易を認められている、数少ない藩でございます」
「うむ」
「それは幕府の体面まで責任を持っているのと同じではないでしょうか」
「ふむ」
「幕府が定めた一俵四斗を、異国の者に対して偽ると言うのは、幕府を偽り、幕府の信義を失わしたのに等しいとのではありませんか」
「その論法で、蝦夷地に入り込んだ商人を、全て闕所にすると言うのだな」
「はい。全てを闕所にいたしますと、百万両は下らぬと思われます」
「しかし全ての商人を闕所にしてしまっては、後々の交易に差し障りが出るのではないか」
「一緒に蝦夷に向かった者と相談したのですが、実際に商場でアイヌと交渉しているのは、手代や番頭でございます」
「なるほど。一旦店を潰して財産を没収するが、その後を番頭や手代に任せると言うのだな」
「父上が申しておられたように、無一文の番頭や手代に、幕府が金を貸し付けて商売をさせれば、運上金が幕府に入ります」
「闕所にした商家から集めた百万両を貸し付ければ、幕府の軍資金に手を付けずにすむな」
「はい。一割の利息で貸し付ければ、毎年十万両の利益が幕府に入ることになります」
「情けをかけている場合ではないな」
「はい。何より幕府が情けをかけるのは、領民となるアイヌの者達でございます」
「なるほど」
「屯田兵が五百丁歩もの開拓を成功させるには、アイヌの協力が不可欠でございます」
「そうだな。それに開拓に成功した後は、小作人として働いてもらわねばならぬ」
「はい。それで屯田兵の輸送はどうなっておりますか」
「それは既に手配りは終わっている」
「どうなさるのですか」
「今迄蝦夷の商いに加われなかった商人に、幕府御用の費用を肩代わりする代わりに、帰りに蝦夷の産物を持ち帰る許可を与えた」
「それは、無料で屯田兵を運ばせると言う事ですか」
「そうだ」
「父上らしいですね」
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