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蝦夷地開拓
逃散農民
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「御頭、どうしたものでしょう」
「どうもこうも、逃散してきた無宿人は、佐渡に送って水替人足にする決まりだ」
「しかし御頭、ここも人手不足ですし、この者達は幕府をすがって参った者達です」
「おねげえでございます。どうか、どうか、ここで雇ってやってくだせえまし」
「駄目じゃ。幕府の決まりは守らねばならぬ」
「まぁ、まぁ、父上。ここは御城代様に御相談しましょう」
「大和守様に相談した所で、幕府の御定法を変える事など出来ぬぞ」
「しかし父上、ここはオロシャに備える砦でございます」
「うむ」
「しかも臨機応変に対応する事が許された、火付け盗賊改め方でございます」
「う~む」
「江戸で火付け盗賊改め方をしていた時には、無宿人を密偵に使っていたではありませんか」
「仕方あるまい。御城代様に御相談してみる」
「そこは私に任せてくれませんか」
「何故だ」
「折角の機会です。顔を売って、親子二人で御役目を頂けるようになれば、それにこしたことはないでしょう」
「確かに中条家と白銀家の部屋住みは、武芸大会で優勝したとは言え、大納言様の小姓に取り立てられたのであったな」
「ええ、私が別家を立てることが出来れば、弟達が助かるでしょう」
「そうだな、別家は難しいにしても、開拓できた土地を分与する許可を頂けたら、一門が増えることになるな」
「では行って参ります」
火付け盗賊改め方・長谷川太郎兵衛正直が指揮する屯田地に、多くの農民が逃げ込んできた。
蝦夷に渡れば、毎日三度の米の飯が食えると言う噂が、奥羽各地に広まっていたのだ。
北前船の回航数が五倍十倍となり、各港による船乗りの話が広まったのだ。
勝手向きの苦しい奥羽諸藩は、七公三民や八公二民の年貢を徴収していたし、数年に一度は冷害があるので、奥羽諸藩の百姓は、食うや食わずの生活をしていたのだ。
その噂を聞いた村々では、船乗りに噂を確かめるだけではなく、引き継ぐ土地のない次男三男を見習い船乗りにして、蝦夷の状況を見に行かせた。
本当は誰か大人を蝦夷に渡らせたかったのだが、そんな余裕のある者は一人もいなかったのだ。
多くの若者が、アイヌが好条件で雇われているのを見聞きし、一航海が終って村に戻って事実を話した。
それによって、多くの奥羽の村々から、食うや食わずの農民が、なけなしの家財を売って、蝦夷に渡って来る事態が起こったのだ。
だが火付け盗賊改め方屯田地帯より奥羽寄りにある、松前福山城にいる田沼意知がこの事態を知らなかった訳がない。
知った上で見逃したのだ。
田沼意知は、屯田を成功させるためなら、何でもやる覚悟なのだ。
「どうもこうも、逃散してきた無宿人は、佐渡に送って水替人足にする決まりだ」
「しかし御頭、ここも人手不足ですし、この者達は幕府をすがって参った者達です」
「おねげえでございます。どうか、どうか、ここで雇ってやってくだせえまし」
「駄目じゃ。幕府の決まりは守らねばならぬ」
「まぁ、まぁ、父上。ここは御城代様に御相談しましょう」
「大和守様に相談した所で、幕府の御定法を変える事など出来ぬぞ」
「しかし父上、ここはオロシャに備える砦でございます」
「うむ」
「しかも臨機応変に対応する事が許された、火付け盗賊改め方でございます」
「う~む」
「江戸で火付け盗賊改め方をしていた時には、無宿人を密偵に使っていたではありませんか」
「仕方あるまい。御城代様に御相談してみる」
「そこは私に任せてくれませんか」
「何故だ」
「折角の機会です。顔を売って、親子二人で御役目を頂けるようになれば、それにこしたことはないでしょう」
「確かに中条家と白銀家の部屋住みは、武芸大会で優勝したとは言え、大納言様の小姓に取り立てられたのであったな」
「ええ、私が別家を立てることが出来れば、弟達が助かるでしょう」
「そうだな、別家は難しいにしても、開拓できた土地を分与する許可を頂けたら、一門が増えることになるな」
「では行って参ります」
火付け盗賊改め方・長谷川太郎兵衛正直が指揮する屯田地に、多くの農民が逃げ込んできた。
蝦夷に渡れば、毎日三度の米の飯が食えると言う噂が、奥羽各地に広まっていたのだ。
北前船の回航数が五倍十倍となり、各港による船乗りの話が広まったのだ。
勝手向きの苦しい奥羽諸藩は、七公三民や八公二民の年貢を徴収していたし、数年に一度は冷害があるので、奥羽諸藩の百姓は、食うや食わずの生活をしていたのだ。
その噂を聞いた村々では、船乗りに噂を確かめるだけではなく、引き継ぐ土地のない次男三男を見習い船乗りにして、蝦夷の状況を見に行かせた。
本当は誰か大人を蝦夷に渡らせたかったのだが、そんな余裕のある者は一人もいなかったのだ。
多くの若者が、アイヌが好条件で雇われているのを見聞きし、一航海が終って村に戻って事実を話した。
それによって、多くの奥羽の村々から、食うや食わずの農民が、なけなしの家財を売って、蝦夷に渡って来る事態が起こったのだ。
だが火付け盗賊改め方屯田地帯より奥羽寄りにある、松前福山城にいる田沼意知がこの事態を知らなかった訳がない。
知った上で見逃したのだ。
田沼意知は、屯田を成功させるためなら、何でもやる覚悟なのだ。
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