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蝦夷地開拓
穢多非人蝦夷開拓団と密貿易商人
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「御代官様、どうか御慈悲を持ちまして、御許し下さい」
「ならぬ、御老中の御慈悲で、平民として頂けることになっていたと言うのに、御公儀の決まりを破り、オロシャと交易を行うとは、御公儀に対して弓引くと同じぞ」
「我々がやっていたのではありません。我々は商人に騙されていたのでございます」
「そのような嘘偽りが通用するはずがなかろう。オロシャに漂流していた商人は勿論、密貿易をしていた商人全てを召し取り、御前達の事を白状した」
「おお、なんと言う事だ。商人どもの嘘を信じ、我らの言う事を信じてもらえないのですか」
「最後に申しておくが、御老中の御慈悲で、今回の罪は開拓地を幕府に献上する事で不問となる予定だが、あくまで嘘をつくと言うのなら、穢多非人蝦夷開拓団がオロシャと通謀したと断じ、皆殺しになると思え」
「あああ、今まで開拓した土地全てが召しあがられたら、我らは一体どうなるのです」
「新たな原野を開拓するがいい。一家当たり五百石開拓に成功すれば、平民にしてやると言う約束を破る御公儀ではない」
「では、御代官様。今迄開拓した土地は、一体どうなるのですか」
「幕府が百姓を送り込んだ土地は召し上げる。百姓の数が揃わなかった土地は、御前達に耕作を許すが、年貢は小作料を加えて六割とする」
「そんな、どうか御慈悲を持ちまして」
「黙れ、愚か者。もう御老中は十分な御慈悲を下されておられる。御三家や譜代諸侯からは、商人と同じように関係した者全てを闕所とした上に、弾座衛門を斬首にするように献策があったのを、何とか開拓地召し上げに留めて下さったのだ。これ以上とやかく言うのなら、儂の権限で皆殺しに致すぞ」
「申し訳ございません。どうか御許し下さい」
穢多非人蝦夷開拓団は成功していた。
家族数によって労働力に違いがあり、一家毎の開拓面積に多少の差はあったが、自作農とすれば大成功だと言える。
初年度に一万人が入植した。
二年度・三年度・四年度も一万人が入植した。
今年度にも一万人が入植している。
全開拓団か認定された畑は三十一万石にも及んでいた。
初年度入植団に至っては、東国から逃げて来た百姓を小作人に雇い、三町十八石の開拓地を認定されるほどだった。
だが開拓団でも特に豊かな者は、開拓地で採れる雑穀だけでは満足出来なかったのだ。
更には全費用を自分達で負担していたので、少しでも高く雑穀を売りたかったのだ。
密貿易商人が江戸から持ち込んだ玄米を、蕎麦や小麦を代価に購入する者が数多く出てきていた。
オロシャや沿海州の人間にも色々な種族がいるようで、玄米よりも蕎麦や麦を好む者が数多くおり、日本国内で売るよりも高値で買って貰えたのだ。
そして遂には、穢多非人の富豪が船を用意して、自ら密貿易を行う状況になってしまっていた。
当然のそのような者は闕所となり、家族共々佐渡金山の水汲み人夫にされてしまったのだが、他の開拓団院にも大きな悪影響が出たのだった。
「ならぬ、御老中の御慈悲で、平民として頂けることになっていたと言うのに、御公儀の決まりを破り、オロシャと交易を行うとは、御公儀に対して弓引くと同じぞ」
「我々がやっていたのではありません。我々は商人に騙されていたのでございます」
「そのような嘘偽りが通用するはずがなかろう。オロシャに漂流していた商人は勿論、密貿易をしていた商人全てを召し取り、御前達の事を白状した」
「おお、なんと言う事だ。商人どもの嘘を信じ、我らの言う事を信じてもらえないのですか」
「最後に申しておくが、御老中の御慈悲で、今回の罪は開拓地を幕府に献上する事で不問となる予定だが、あくまで嘘をつくと言うのなら、穢多非人蝦夷開拓団がオロシャと通謀したと断じ、皆殺しになると思え」
「あああ、今まで開拓した土地全てが召しあがられたら、我らは一体どうなるのです」
「新たな原野を開拓するがいい。一家当たり五百石開拓に成功すれば、平民にしてやると言う約束を破る御公儀ではない」
「では、御代官様。今迄開拓した土地は、一体どうなるのですか」
「幕府が百姓を送り込んだ土地は召し上げる。百姓の数が揃わなかった土地は、御前達に耕作を許すが、年貢は小作料を加えて六割とする」
「そんな、どうか御慈悲を持ちまして」
「黙れ、愚か者。もう御老中は十分な御慈悲を下されておられる。御三家や譜代諸侯からは、商人と同じように関係した者全てを闕所とした上に、弾座衛門を斬首にするように献策があったのを、何とか開拓地召し上げに留めて下さったのだ。これ以上とやかく言うのなら、儂の権限で皆殺しに致すぞ」
「申し訳ございません。どうか御許し下さい」
穢多非人蝦夷開拓団は成功していた。
家族数によって労働力に違いがあり、一家毎の開拓面積に多少の差はあったが、自作農とすれば大成功だと言える。
初年度に一万人が入植した。
二年度・三年度・四年度も一万人が入植した。
今年度にも一万人が入植している。
全開拓団か認定された畑は三十一万石にも及んでいた。
初年度入植団に至っては、東国から逃げて来た百姓を小作人に雇い、三町十八石の開拓地を認定されるほどだった。
だが開拓団でも特に豊かな者は、開拓地で採れる雑穀だけでは満足出来なかったのだ。
更には全費用を自分達で負担していたので、少しでも高く雑穀を売りたかったのだ。
密貿易商人が江戸から持ち込んだ玄米を、蕎麦や小麦を代価に購入する者が数多く出てきていた。
オロシャや沿海州の人間にも色々な種族がいるようで、玄米よりも蕎麦や麦を好む者が数多くおり、日本国内で売るよりも高値で買って貰えたのだ。
そして遂には、穢多非人の富豪が船を用意して、自ら密貿易を行う状況になってしまっていた。
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