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第一章
第9話:難民事情
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「うまい、いやほんと、この時期にカボチャが喰えるのはありがたい」
「ああ、全部殿下のお陰だよ、ほんと、ここ最近魔獣肉ばかりで飽きていたんだ」
元傭兵が主体の王太子第二騎士団は、最前線の北の魔境を抑えるアクス城に駐屯していたが、主食は肉だった。
いや、野草と肉ばかり食べていたといっていい。
理由は簡単な話で、いつ終わるか分からない魔王軍との戦いに備え、長期保存が可能な大切な食糧、穀物の消費を極力抑えたかったのだ。
それに、駐屯軍が現地調達できる肉を主食にしてくれれば、戦闘力の乏しい輸送部隊が、危険を冒して王都とアクス城を往復しなくていいのだ。
毎日肉と野草ばかりの食事に飽き飽きしていた駐屯軍は、王太子殿下の発案で始められた、城内のいたる所にある壁を利用した立体栽培のお陰で、魔獣や獣の肉以外のモノが食べられるようになった。
主に主食となるジャガイモとカボチャが作られているのだが、ジャガイモとカボチャの保存期間は長くて二ヶ月、味を無視した保存方法なら三十年は保存できる米や麦とは全く違うので、収穫したら早めに食べた方がいいのだ。
そしてそれは駐屯軍ばかりの話ではなかった。
「パパ、カボチャ美味しいね」
「そうだな、パパがもっと頑張って、毎日ジャガイモやカボチャを食べられるようにしてやるからな」
アクス城には多くの難民が収容されていた。
北の魔境近くにあった村々は、魔王軍の攻撃を恐れて、近くのアクス城に逃げ込んでいたのだが、それは北の魔境近くだけではなく国内の多くの場所で起こっていた。
普通なら食糧の生産を減らさせないように、権力者は村から逃げる事を許さない。
村が襲われたら軍が助けに行くと言っておいて、結局救援が間に合わずに村人が皆殺しにされてしまう。
現実的な話、普通の国では難民に支給する食糧がないことが多い。
だがリカルド王太子は、食糧は自分が何とかできるが、死んだ人間を蘇らせる事はできないと、王都直轄領では防御力の低い村から人々を避難させていた。
それを恩に感じた民が、進んで労役を買って出て、魔境から木を切り出して城壁とし、地面に打ち込んだ木と木の間に、空濠を掘る時に出た土を入れて土塁とした。
堅固ではあったが比較的小さかったアクス城が、一回り二回り大きな城となり、最初は一重の濠と石造りの城壁しかなかった防御力が、木壁と土塁の組み合わせだが、三重の濠と城壁に護られた城となった。
「パパ、ここが新しいお家なの?」
「そうだぞ、パパたちが頑張って造った、立派な城壁と濠に護られた、安心して眠れるお家だぞ」
難民達は自警団を組織し、駐屯軍と連携して、新しく自分達の家となった城内を死守しようとしていた。
「ああ、全部殿下のお陰だよ、ほんと、ここ最近魔獣肉ばかりで飽きていたんだ」
元傭兵が主体の王太子第二騎士団は、最前線の北の魔境を抑えるアクス城に駐屯していたが、主食は肉だった。
いや、野草と肉ばかり食べていたといっていい。
理由は簡単な話で、いつ終わるか分からない魔王軍との戦いに備え、長期保存が可能な大切な食糧、穀物の消費を極力抑えたかったのだ。
それに、駐屯軍が現地調達できる肉を主食にしてくれれば、戦闘力の乏しい輸送部隊が、危険を冒して王都とアクス城を往復しなくていいのだ。
毎日肉と野草ばかりの食事に飽き飽きしていた駐屯軍は、王太子殿下の発案で始められた、城内のいたる所にある壁を利用した立体栽培のお陰で、魔獣や獣の肉以外のモノが食べられるようになった。
主に主食となるジャガイモとカボチャが作られているのだが、ジャガイモとカボチャの保存期間は長くて二ヶ月、味を無視した保存方法なら三十年は保存できる米や麦とは全く違うので、収穫したら早めに食べた方がいいのだ。
そしてそれは駐屯軍ばかりの話ではなかった。
「パパ、カボチャ美味しいね」
「そうだな、パパがもっと頑張って、毎日ジャガイモやカボチャを食べられるようにしてやるからな」
アクス城には多くの難民が収容されていた。
北の魔境近くにあった村々は、魔王軍の攻撃を恐れて、近くのアクス城に逃げ込んでいたのだが、それは北の魔境近くだけではなく国内の多くの場所で起こっていた。
普通なら食糧の生産を減らさせないように、権力者は村から逃げる事を許さない。
村が襲われたら軍が助けに行くと言っておいて、結局救援が間に合わずに村人が皆殺しにされてしまう。
現実的な話、普通の国では難民に支給する食糧がないことが多い。
だがリカルド王太子は、食糧は自分が何とかできるが、死んだ人間を蘇らせる事はできないと、王都直轄領では防御力の低い村から人々を避難させていた。
それを恩に感じた民が、進んで労役を買って出て、魔境から木を切り出して城壁とし、地面に打ち込んだ木と木の間に、空濠を掘る時に出た土を入れて土塁とした。
堅固ではあったが比較的小さかったアクス城が、一回り二回り大きな城となり、最初は一重の濠と石造りの城壁しかなかった防御力が、木壁と土塁の組み合わせだが、三重の濠と城壁に護られた城となった。
「パパ、ここが新しいお家なの?」
「そうだぞ、パパたちが頑張って造った、立派な城壁と濠に護られた、安心して眠れるお家だぞ」
難民達は自警団を組織し、駐屯軍と連携して、新しく自分達の家となった城内を死守しようとしていた。
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