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第一章
第27話:遊撃2
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北の魔境からフィフス王国に入り込もうとした魔王軍遊撃部隊は全滅した。
リカルド王太子の巧みな指揮と圧倒的魔術攻撃の成果だった。
もしリカルド王太子の圧倒的魔術攻撃がなくても、二個騎士団が配備されている北部方面は魔王軍遊撃部隊を撃滅できただろう。
リカルド王太子の指揮を間近にみた北部方面騎士団は、リカルド王太子が他方面に転戦したとしても、魔王軍の遊撃を迎撃できる。
問題は西の魔境だった。
フィエン公爵が統治していた西方面は、一個騎士団しか配備されていない。
しかも元フィエン公爵領の民を警戒して、元領都の警備に多くの兵が割かれていたので、領内深くまで魔王軍遊撃部隊に入り込まれていた。
元フィエン公爵領を預かっていたベッカー宮中伯バーツ卿は、急ぎ各地に伝令を走らせて、第二第三の迎撃陣を敷いていた。
「私は急ぎ西部方面に向かう。
近衛隊以外はこのまま北魔境を警戒してくれ。
民にも十分注意するように知らせてくれ」
リカルド王太子は元フィエン公爵領と他領の領境に急いだ。
幸いという表現は不謹慎だが、元フィエン公爵領の領都以外は先の戦いで全滅していたので、他の街や村が襲われる心配がなかった。
王家の直轄領や貴族領にさえ入られなければ、民が殺される心配がない。
リカルド王太子が領境にいれば、コボルトが指揮する遊撃部隊程度なら、一人でも全滅させる事ができると冷静に判断していた。
「第四騎士団はこのまま領境を守ってくれ。
突破されても慌てず追い討ちしてくれれば大丈夫だ。
街や村には防塁の外に出ないように指示しているから、慌てないように」
急ぎ元フィエン公爵領との領境に進駐してきた第四騎士団が、野戦陣地を築いて魔王軍遊撃隊を迎撃しようとした。
リカルド王太子は彼らの実力を測りながら、今後の方針を考えていた。
今は王都付近に駐屯している第四騎士団を、この領境に駐屯させて堅固な城砦を築き、魔王軍の奇襲に備えようと考えていた。
さらに王国騎士団の底上げを図るために、王国の五個騎士団を輪番制で魔境に入れて実戦訓練をさせようとした。
「近衛騎士隊、気合を入れろ、私が遠目の魔術と傀儡魔術で索敵を行う。
魔王軍を発見しだい魔術で殲滅を測るが、突撃をしてくる可能性がある。
何度も同じ個所を巡回して、絶対に奇襲の不安がないようにする。
同じことを何度も繰り返さなければいけないとなると、どうしても不服や不満を感じてしまうだろうが、民を護るためだと自分に言い聞かせろ」
リカルド王太子は内心の恐怖を押し殺して、先頭に立って、魔王軍を殲滅していったが、どうしても引っかかるものが心にあった。
気にしすぎかもしれないが、自分ならこの程度では済まさないと考えていた。
フィフス王国を苦しめるためなら、直接領内に攻め込む必要はない。
実戦経験が少なく油断している他国に遊撃部隊を送り込み、交易ができないようにすれば、フィフス王国の継戦能力は激減する。
そして、早いだけだと思わせている遊撃部隊に、とんでもなく強い魔族を潜ませておいて、油断しているリカルド王太子を殺そうとしているかもしれない。
リカルド王太子の巧みな指揮と圧倒的魔術攻撃の成果だった。
もしリカルド王太子の圧倒的魔術攻撃がなくても、二個騎士団が配備されている北部方面は魔王軍遊撃部隊を撃滅できただろう。
リカルド王太子の指揮を間近にみた北部方面騎士団は、リカルド王太子が他方面に転戦したとしても、魔王軍の遊撃を迎撃できる。
問題は西の魔境だった。
フィエン公爵が統治していた西方面は、一個騎士団しか配備されていない。
しかも元フィエン公爵領の民を警戒して、元領都の警備に多くの兵が割かれていたので、領内深くまで魔王軍遊撃部隊に入り込まれていた。
元フィエン公爵領を預かっていたベッカー宮中伯バーツ卿は、急ぎ各地に伝令を走らせて、第二第三の迎撃陣を敷いていた。
「私は急ぎ西部方面に向かう。
近衛隊以外はこのまま北魔境を警戒してくれ。
民にも十分注意するように知らせてくれ」
リカルド王太子は元フィエン公爵領と他領の領境に急いだ。
幸いという表現は不謹慎だが、元フィエン公爵領の領都以外は先の戦いで全滅していたので、他の街や村が襲われる心配がなかった。
王家の直轄領や貴族領にさえ入られなければ、民が殺される心配がない。
リカルド王太子が領境にいれば、コボルトが指揮する遊撃部隊程度なら、一人でも全滅させる事ができると冷静に判断していた。
「第四騎士団はこのまま領境を守ってくれ。
突破されても慌てず追い討ちしてくれれば大丈夫だ。
街や村には防塁の外に出ないように指示しているから、慌てないように」
急ぎ元フィエン公爵領との領境に進駐してきた第四騎士団が、野戦陣地を築いて魔王軍遊撃隊を迎撃しようとした。
リカルド王太子は彼らの実力を測りながら、今後の方針を考えていた。
今は王都付近に駐屯している第四騎士団を、この領境に駐屯させて堅固な城砦を築き、魔王軍の奇襲に備えようと考えていた。
さらに王国騎士団の底上げを図るために、王国の五個騎士団を輪番制で魔境に入れて実戦訓練をさせようとした。
「近衛騎士隊、気合を入れろ、私が遠目の魔術と傀儡魔術で索敵を行う。
魔王軍を発見しだい魔術で殲滅を測るが、突撃をしてくる可能性がある。
何度も同じ個所を巡回して、絶対に奇襲の不安がないようにする。
同じことを何度も繰り返さなければいけないとなると、どうしても不服や不満を感じてしまうだろうが、民を護るためだと自分に言い聞かせろ」
リカルド王太子は内心の恐怖を押し殺して、先頭に立って、魔王軍を殲滅していったが、どうしても引っかかるものが心にあった。
気にしすぎかもしれないが、自分ならこの程度では済まさないと考えていた。
フィフス王国を苦しめるためなら、直接領内に攻め込む必要はない。
実戦経験が少なく油断している他国に遊撃部隊を送り込み、交易ができないようにすれば、フィフス王国の継戦能力は激減する。
そして、早いだけだと思わせている遊撃部隊に、とんでもなく強い魔族を潜ませておいて、油断しているリカルド王太子を殺そうとしているかもしれない。
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※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
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