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第二章
第72話:条件と謀略
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リカルド王太子は皇国への援軍要請を条件付きで許可した。
その条件とは、皇国が侵攻する国の民を飢えさせない事だった。
リカルド王太子が自分の評判を落としてまで時間をかけた理由は、十分な食糧を確保するためだった。
一時的な評判を落としてでも、侵攻占領した国の民を餓死させたという、取り返しのつかない事になるよりはずっとましだと考えたからだ。
大陸の武力制覇や武力統一など全く考えていないリカルド王太子は、皇国が評判を落とす事を危惧していた。
皇国にはまだまだやってっもらいたい事がたくさんあるのに、皇国が一度行ってしまった蛮行や悪行に慣れてしまう事を極端に恐れていた。
特にまだ残っているであろう身勝手な貴族士族が、侵攻占領先で皇国の名と身分を笠に着た悪行を行えば、それは皇室皇国が行った悪行になってしまう。
下劣な有力貴族は粛清されたが、中小貴族の中にも同じような下劣なモノが多数いる事を、リカルド王太子は身をもって知っていたから。
リカルド王太子は言葉を飾りながらも、意味を取り違えのないように伝えた。
レイラ第三皇女からもリカルド王太子の気持ちが伝えられた。
レイラ第三皇女についてきている皇国のスパイからも、同じ事が伝えられた。
それでも皇国が民を苦しめるような侵攻侵略を行うというのなら、リカルド王太子にも覚悟があった。
今回は餓死の危機に陥っている民を助けるという大義名分で、魔王軍が大山脈に穴をあけた所までの国を全て併合するのだ。
皇国が相手でも例外を作る気はないという覚悟は、皇国にも率直に伝えていた。
「愚かで身勝手で憶病な王侯貴族士族のせいで、多くの民が塗炭の苦しみのなかで餓死しようとしている。
これを見て見ぬふりするなど、王侯貴族士族の恥である。
今こそ本当の王侯貴族士族の誇りを見せる時である。
悪しき王侯貴族士族を討って民を救う、私について来い」
「「「「「おう」」」」」
リカルド王太子の檄を受けて、配下の将兵が怒涛の勢いで国境を超えた。
飢えに苦しむ民は歓声を持ってリカルド王太子軍を迎えた。
あらかじめリカルド王太子から最後通牒を受けてた隣国の王侯貴族士族は、もてるだけの金銀財宝と食糧を持って逃げた。
いや、逃げようとしていたが逃げきれなかった。
生き残るために村ごと盗賊団となっていた民が、地の利を生かした夜襲を行い、逃げようとする王侯貴族士族に多くの損害を与えていた。
王侯貴族士族は魔王軍遊撃隊にも襲われ、多くの戦力を失っていた。
どれほど立派な武装で身を固めていても、普段抵抗できない平民相手に威張っていただけの騎士では、本気の殺意を持った襲撃を撃退する事など不可能だった。
逃げ出したほとんどの王侯貴族士族が、隣国に辿り着くことができずに無残な死を迎える事となった。
リカルド王太子は急いで進軍していたが、飢えた民に食糧を配り、村々に護衛部隊を配備するためには、どうしても時間がかかった。
普通なら機動力のある部隊だけで先を急ぎ、民を救うのは後方の補給部隊にさせばいいのだが、先行すればするほど無残な姿の民と出会ってしまい、見過ごす事などできなかっただろう。
だがそうなることは、リカルド王太子には最初から分かっていた事だった。
だからこそ、進軍速度が遅くなるのを理解しながら、食糧を配り民を護る駐屯予定部隊が先頭になる陣形を組んでいた。
そんなリカルド王太子に、逃げた王侯貴族士族の最後が予測できない訳がない。
リカルド王太子には最初から王侯貴族士族を許し助ける気などなかったのだ。
その条件とは、皇国が侵攻する国の民を飢えさせない事だった。
リカルド王太子が自分の評判を落としてまで時間をかけた理由は、十分な食糧を確保するためだった。
一時的な評判を落としてでも、侵攻占領した国の民を餓死させたという、取り返しのつかない事になるよりはずっとましだと考えたからだ。
大陸の武力制覇や武力統一など全く考えていないリカルド王太子は、皇国が評判を落とす事を危惧していた。
皇国にはまだまだやってっもらいたい事がたくさんあるのに、皇国が一度行ってしまった蛮行や悪行に慣れてしまう事を極端に恐れていた。
特にまだ残っているであろう身勝手な貴族士族が、侵攻占領先で皇国の名と身分を笠に着た悪行を行えば、それは皇室皇国が行った悪行になってしまう。
下劣な有力貴族は粛清されたが、中小貴族の中にも同じような下劣なモノが多数いる事を、リカルド王太子は身をもって知っていたから。
リカルド王太子は言葉を飾りながらも、意味を取り違えのないように伝えた。
レイラ第三皇女からもリカルド王太子の気持ちが伝えられた。
レイラ第三皇女についてきている皇国のスパイからも、同じ事が伝えられた。
それでも皇国が民を苦しめるような侵攻侵略を行うというのなら、リカルド王太子にも覚悟があった。
今回は餓死の危機に陥っている民を助けるという大義名分で、魔王軍が大山脈に穴をあけた所までの国を全て併合するのだ。
皇国が相手でも例外を作る気はないという覚悟は、皇国にも率直に伝えていた。
「愚かで身勝手で憶病な王侯貴族士族のせいで、多くの民が塗炭の苦しみのなかで餓死しようとしている。
これを見て見ぬふりするなど、王侯貴族士族の恥である。
今こそ本当の王侯貴族士族の誇りを見せる時である。
悪しき王侯貴族士族を討って民を救う、私について来い」
「「「「「おう」」」」」
リカルド王太子の檄を受けて、配下の将兵が怒涛の勢いで国境を超えた。
飢えに苦しむ民は歓声を持ってリカルド王太子軍を迎えた。
あらかじめリカルド王太子から最後通牒を受けてた隣国の王侯貴族士族は、もてるだけの金銀財宝と食糧を持って逃げた。
いや、逃げようとしていたが逃げきれなかった。
生き残るために村ごと盗賊団となっていた民が、地の利を生かした夜襲を行い、逃げようとする王侯貴族士族に多くの損害を与えていた。
王侯貴族士族は魔王軍遊撃隊にも襲われ、多くの戦力を失っていた。
どれほど立派な武装で身を固めていても、普段抵抗できない平民相手に威張っていただけの騎士では、本気の殺意を持った襲撃を撃退する事など不可能だった。
逃げ出したほとんどの王侯貴族士族が、隣国に辿り着くことができずに無残な死を迎える事となった。
リカルド王太子は急いで進軍していたが、飢えた民に食糧を配り、村々に護衛部隊を配備するためには、どうしても時間がかかった。
普通なら機動力のある部隊だけで先を急ぎ、民を救うのは後方の補給部隊にさせばいいのだが、先行すればするほど無残な姿の民と出会ってしまい、見過ごす事などできなかっただろう。
だがそうなることは、リカルド王太子には最初から分かっていた事だった。
だからこそ、進軍速度が遅くなるのを理解しながら、食糧を配り民を護る駐屯予定部隊が先頭になる陣形を組んでいた。
そんなリカルド王太子に、逃げた王侯貴族士族の最後が予測できない訳がない。
リカルド王太子には最初から王侯貴族士族を許し助ける気などなかったのだ。
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