92 / 127
第三章
第92話:正妃の役割・レイラ王太子妃視点
しおりを挟む
遂にリカルド王太子と結婚する事ができました。
大陸中の王侯貴族を招いた最大規模の結婚式でした。
ただリカルド王太子を警戒して同盟を組んでいる南部各国からは、王族ではないく代理の有力貴族が来ています。
今は結婚式の後の披露宴中ですが、目的は参加してくれた王侯貴族と親睦を深める事、特に南部同盟から来ている有力貴族と親睦を深めるためです。
いえ、本命は親睦を深めることではありません。
調略して味方につけられるかどうか探っています。
それが無理ならこちらの調略に応じたように見せかけて内部抗争を起こさせる。
なかなかに卑劣な行いですが、その役割をするのが私の役目です。
大陸を統一するであろう英雄のリカルド王太子の代わりに、汚れ役をするのが正妃となった私の役目なのです。
「フランシス子爵、あの男が陥れればいいのですね」
この披露宴を取り仕切っている、ウェルズリー城代のフランシス子爵の視線の先に、隣国の第二王子がいます。
フィフス王国が本当に苦しい時に、自分達王侯貴族だけの事を考えて、多くの難民をフィフス王国に向かわせた愚か者達の代表です。
絶対に許せない下劣極まりない連中です。
だから、私に対して無礼を働くように仕向けるのです。
それを理由に開戦して侵攻占領するのです。
私の母国、セント・ジオン皇国までの国々はリカルド王太子が併合されました。
ですが進撃路から外れている国は後回しになっていました。
そんな国々の王侯貴族は、リカルド王太子や配下の者達が命懸けで達成した、魔王軍撃退と言う成果を何の代償も払わずに享受しているのです。
「はい、あの男には強い酒を勧めております。
周りには証人に立ってくれる方々を配しております。
普段から多くの令嬢や夫人を泣かせている酷い男です。
酔わせれば見境がなくなる事でしょう。
殿下が心を痛める必要などない男でございます」
フランシス子爵が気を遣ってくれているようです。
それともリカルド王太子の配慮でしょうか。
下劣な者共を罠に嵌めるために、リカルド王太子は披露宴に不参加です。
魔境に魔王軍が奇襲してきたと言う事になっています。
リカルド王太子との結婚を嫌っている私が、この披露宴を好機として愛人を探しているという設定です。
「おお、これはこれは、麗しのレイラ王太子妃殿下ではありませんか。
リカルド王太子殿下の不意の出陣お寂しい事でございましょう。
よもやま話でお慰めさせていただきます」
本当に馬鹿な男です。
自分が狙われていると気がついていません。
それどころか、私に惚れられたと愚かな誤解をしています。
幼い頃からちチヤホヤされて育ったのでしょう。
自分がリカルド王太子の足元にも及ばない事に全く気がついていません。
こんな屑は早々に殺してしまった方が民のためです。
大陸中の王侯貴族を招いた最大規模の結婚式でした。
ただリカルド王太子を警戒して同盟を組んでいる南部各国からは、王族ではないく代理の有力貴族が来ています。
今は結婚式の後の披露宴中ですが、目的は参加してくれた王侯貴族と親睦を深める事、特に南部同盟から来ている有力貴族と親睦を深めるためです。
いえ、本命は親睦を深めることではありません。
調略して味方につけられるかどうか探っています。
それが無理ならこちらの調略に応じたように見せかけて内部抗争を起こさせる。
なかなかに卑劣な行いですが、その役割をするのが私の役目です。
大陸を統一するであろう英雄のリカルド王太子の代わりに、汚れ役をするのが正妃となった私の役目なのです。
「フランシス子爵、あの男が陥れればいいのですね」
この披露宴を取り仕切っている、ウェルズリー城代のフランシス子爵の視線の先に、隣国の第二王子がいます。
フィフス王国が本当に苦しい時に、自分達王侯貴族だけの事を考えて、多くの難民をフィフス王国に向かわせた愚か者達の代表です。
絶対に許せない下劣極まりない連中です。
だから、私に対して無礼を働くように仕向けるのです。
それを理由に開戦して侵攻占領するのです。
私の母国、セント・ジオン皇国までの国々はリカルド王太子が併合されました。
ですが進撃路から外れている国は後回しになっていました。
そんな国々の王侯貴族は、リカルド王太子や配下の者達が命懸けで達成した、魔王軍撃退と言う成果を何の代償も払わずに享受しているのです。
「はい、あの男には強い酒を勧めております。
周りには証人に立ってくれる方々を配しております。
普段から多くの令嬢や夫人を泣かせている酷い男です。
酔わせれば見境がなくなる事でしょう。
殿下が心を痛める必要などない男でございます」
フランシス子爵が気を遣ってくれているようです。
それともリカルド王太子の配慮でしょうか。
下劣な者共を罠に嵌めるために、リカルド王太子は披露宴に不参加です。
魔境に魔王軍が奇襲してきたと言う事になっています。
リカルド王太子との結婚を嫌っている私が、この披露宴を好機として愛人を探しているという設定です。
「おお、これはこれは、麗しのレイラ王太子妃殿下ではありませんか。
リカルド王太子殿下の不意の出陣お寂しい事でございましょう。
よもやま話でお慰めさせていただきます」
本当に馬鹿な男です。
自分が狙われていると気がついていません。
それどころか、私に惚れられたと愚かな誤解をしています。
幼い頃からちチヤホヤされて育ったのでしょう。
自分がリカルド王太子の足元にも及ばない事に全く気がついていません。
こんな屑は早々に殺してしまった方が民のためです。
1
あなたにおすすめの小説
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~
いとうヒンジ
ファンタジー
ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。
理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。
パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。
友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。
その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。
カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。
キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。
最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした
黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――役立たずの【地図製作者(マッパー)】として所属パーティーから無一文で追放された青年、レイン。死を覚悟した未開の地で、彼のスキルは【絶対領域把握(ワールド・マッピング)】へと覚醒する。
地形、魔物、隠された宝、そのすべてを瞬時に地図化し好きな場所へ転移する。それは世界そのものを掌に収めるに等しいチートスキルだった。
魔力制御が苦手な銀髪のエルフ美少女、誇りを失った獣人の凄腕鍛冶師。才能を活かせずにいた仲間たちと出会った時、レインの地図は彼らの未来を照らし出す最強のコンパスとなる。
これは、役立たずと罵られた一人の青年が最高の仲間と共に自らの居場所を見つけ、やがて伝説へと成り上がっていく冒険譚。
「さて、どこへ行こうか。俺たちの地図は、まだ真っ白だ」
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる