没落男爵令嬢ですが、本家の引きこもり初老公爵と政略結婚させられます。

克全

文字の大きさ
4 / 5
第一章

第4話:驚愕の真実

しおりを挟む
「何故このような条件なのですか、これでは信じられません。
 こんな条件になる理由を教えていただけなければ、お受けできません」

 ダニアから見れば信じられない好条件だからこそ、真実が知りたかった。
 ゴールド公爵の本性を知った以上、受けるか死ぬかしか道はない
 だったら、知って受けるか、知って死ぬかを選びたかった。
 知らずに受けて後で殺されるのだけは絶対に嫌だった。
 納得できる理由を知って、全力で役割を果たし、堂々と報酬を得る。
 それが今のダニアにできる、誇りを守る唯一の方法だった。

「死を覚悟されておられるようですね、分かりました、お話ししましょう」

 それからポツリポツリとロメロ準男爵が語りだした。
 ゴールド公爵ヴィルヘイム卿の壮絶な人生を。
 わずか七歳で両親を毒殺され、自分も同じ毒で生死の境を彷徨った事。
 毒を盛ったのが、ゴールド公爵の爵位と財産を狙った、父の弟、実の叔父であり、生き残った後も執拗に命を狙われ続けた事。

「助けを求めた二番目の叔父上には、傀儡にさせられそうになられて……」

 毒による後遺症で苦しむ幼いヴィルヘイム卿は、両親を殺した一番上の叔父ではない、二番目の叔父に助けを求め、何とか両親の仇をとった。
 だが今度はその二番目の叔父が、ヴィルヘイム卿を傀儡にしただけでは満足せず、殺して当主になろうとした。
 事故死に見せかけて殺そうと、執拗に罠を仕掛けてきた。
 今説明をしてくれているロメロ準男爵がまだ少年の時代、先代と先々代のロメロ準男爵、今この場にいる従僕や侍女の父や祖父が、命懸けでヴィルヘイム卿を護った。

「父方の叔父達ばかりか、叔母達や従兄弟や再従兄弟、いえ、母方の親戚まで、眼の色を変えて公爵閣下に近づき、騙して利を貪るだけでなく殺そうとまでしました」

 ダニアにも、布団の頭から被って隠れているにもかかわらず、ヴィルヘイム卿が震えているのが明らかだった。
 部屋にいる従僕や騎士や侍女の半数が、すすり泣いていた。
 ヴィルヘイム卿の不幸な生い立ちに同情している者、その時に一緒に戦った老齢な者、その時の争いで父や祖父を殺された者がいた。

「公爵閣下は、その時の恨みを片時も忘れられておられません。
 直接間接に加担した者は、皆殺しにいたしましたが、どうしても家を残さざるをえなかった縁戚が幾つかございます。
 このまま公爵閣下にお子が生まれなければ、その家の者がゴールド公爵家を継ぐことになってしまいます。
 公爵閣下も我々も、それだけは絶対に許せないのでございます。
 それよりはダニア様のお子様にゴールド公爵家を継いで頂きたいのでございます」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

「そうだ、結婚しよう!」悪役令嬢は断罪を回避した。

ミズメ
恋愛
ブラック企業で過労死(?)して目覚めると、そこはかつて熱中した乙女ゲームの世界だった。 しかも、自分は断罪エンドまっしぐらの悪役令嬢ロズニーヌ。そしてゲームもややこしい。 こんな謎運命、回避するしかない! 「そうだ、結婚しよう」 断罪回避のために動き出す悪役令嬢ロズニーヌと兄の友人である幼なじみの筋肉騎士のあれやこれや

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

10日後に婚約破棄される公爵令嬢

雨野六月(旧アカウント)
恋愛
公爵令嬢ミシェル・ローレンは、婚約者である第三王子が「卒業パーティでミシェルとの婚約を破棄するつもりだ」と話しているのを聞いてしまう。 「そんな目に遭わされてたまるもんですか。なんとかパーティまでに手を打って、婚約破棄を阻止してみせるわ!」「まあ頑張れよ。それはそれとして、課題はちゃんとやってきたんだろうな? ミシェル・ローレン」「先生ったら、今それどころじゃないって分からないの? どうしても提出してほしいなら先生も協力してちょうだい」 これは公爵令嬢ミシェル・ローレンが婚約破棄を阻止するために(なぜか学院教師エドガーを巻き込みながら)奮闘した10日間の備忘録である。

処理中です...