地味な子爵令嬢は、幼馴染のイケメン伯爵に婚約破棄されましたが、王太子に求婚されました。

克全

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6話

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「あなた、アルテイシア。
 いったいなのがどうなっているのですか?
 これはどういうわけなのですか?
 ちゃんと説明してください!」

 恐怖と緊張で、砂糖をたっぷり使った高価な菓子の味さえろくに分からなくなる、王太子殿下との茶話会が終わり、家の戻った父上と私を待っていたのは、失ったはずの家財道具と金銀財宝に埋もれた母上でした。
 弟や妹はもちろん、先祖代々仕えてくれている家臣たちも、終始狼狽しています。
 まだ動揺から立ち直っていない父上は、とても説明できる状態ではありませんね。

「私が全部話しますから落ち着いてください」

 私も上手に説明できるわけではありませんが、しかたありません。
 一生懸命話しました。
 そのかいあって、全員が理解し納得してくれました。
 やっと安心して、家財道具もお金も使えると安堵していました。

 そうなのです。
 ドロヘダ侯爵の罠にはまったばかりなのです。
 不安で戻ってきた家財道具もお金も全く使えていなかったのです。
 家族も家臣たちも朝からなにも食べていませんでした。
 
 全員で手分けして食材を買いに走りました。
 パンを焼いている時間も惜しくて、作ってある料理を買おうとしたのですが、もう夕刻になっていて、閉店寸前で残り物しかありませんでした。
 酒場なら開いている店もあるのでしょうが、弟や妹、それに母上をそのような場所に連れてはいけません。
 そう言っている私自身が、酒場には行ったことがないのです。
 真面目な父上も行ったことがないそうです。

 結局なんとか買えた硬くなっなパンとチーズとバター、それにワインでお腹を満たすことになりましたが、全員がとても美味しく食べることができました。
 主従身分を忘れてテーブルについて食べました。
 以前から並の貴族家よりも結束が固い主従だと自負していましたが、今回の困難を乗り越えて、さらに絆が深くなったと思います。

 これでまた平穏な日々が戻ってくる。
 家族一同そう安堵しました。
 主従で笑顔を浮かべて話しました。
 ようやく不安から解放され、熟睡することができました。
 早朝から叩き起こされるまでは、そう信じ込んでいたのでです。

「かいも~ん。
 開門されよ!
 王太子殿下からの使者である。
 早々に門を開けよ」

 ああ、幻聴であってください!
 悪夢だといってください!
 全てが終わったはずではありませんか。
 昨日安堵したばかりなのですよ。
 なぜ恐怖の塊である王太子殿下から、また使者が送られてくるのですか。
 いやです。
 絶対に会いたくありません。
 居留守を使えるものなら使いたいですが、そんなことができない事は承知していますから、急いで衣服を改めて使者を迎えるしかありません。

「王太子殿下からのお言葉である。
 よく聞くように。
 加増を約束した領地を検めに行く。
 その相談のをするので、早々の王宮に来るように。
 以上だ」
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