婚約破棄追放された聖女はダンジョンコアを魅了して農園ダンジョンを作ります。

克全

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第一章

第1話:冤罪

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「偽聖女ルイーズ、よくも今日まで私と国を騙してくれたな。
 やはり孤児は小狡く汚い嘘つきだ」

 ルイーズはエルネス王太子の言葉を、内心でせせら笑いながら聞いていた。
 三流劇団の大根役者のように下手くそな話し方は、誰かが作ったセリフを丸暗記したのが明らかだったからだ。
 この国をモンスターから守る結界を維持するには、膨大な魔力が必要だった。
 長年その魔力を供給する存在を聖女と崇めていたのだが、王侯貴族はそんなかけがえのない聖女の座さえ、貴族家の勢力争いと見栄のために、何の能力もないモノに与えようとしていた。

「何か言い訳してみたらどうだ、偽聖女ルイーズ」

 狡猾そうな顔をした宰相のジョンが、ルイーズの泣き顔が見たくて言葉で責めようとするが、もうこの国を見捨てているルイーズは何を言われても気にしない。
 むしろ聖女の大役から解放されたことを喜んでいた。
 一国をモンスターから護る結界を維持するのは、大きな苦痛を伴う辛い役目で、自分からやりたいと思う者など普通はいないのだ。
 よほど使命感のある者以外は、一、二分もやれば二度とやろうとは思わない。

「何も言わないという事は、偽聖女だと自ら認めたという事だな。
 孤児の分際で聖女を自称するなど許し難い罪だ。
 普通の処刑ではその罪をあがなう事などできない。
 聖女が命を削ってモンスターから国を護っていた事を考えれば、聖女詐称に相応し罰はモンスターの餌食にすることであろう」

 エルネス王太子も言葉でルイーズを苦しめようとした。
 モンスターに喰わせると脅せば、常に泰然自若としているルイーズの怖がる顔が見れると思い、モンスターに喰わせると繰り返した。
 だがどれほど脅かそうと、ルイーズは全く怖がらなかった。
 本当の聖女であるルイーズが、モンスターごときを怖がることなどなかった。

「えええい、くそ、クソ、糞、この者を鞭で打ちすえろ!」

 ルイーズがあまりにも動じないので、エルネス王太子が切れてしまった。
 ルイーズが本当の聖女であった場合の危険を考えて、直接の暴行は控えるというのが宰相であるオルター侯爵ジョンの考えだった。
 そのことはエルネス王太子にも何度も言い聞かせていた。
 だが短期で愚かなエルネス王太子は、怒りでその事を忘れてしまっていた。

(人間ごときが聖女様に罰を与えるだと、無礼者が!)

 ルイーズの影に住み常に護って来た存在が、エルネス王太子の言葉に切れた。
 我慢に我慢を重ねて人間を殺す事を控えてきたが、エルネス王太子は影の逆鱗に触れてしまったのだ。
 エルネス王太子から一切の力が抜けて、崩れるようにその場に倒れた。
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