96 / 111
第三章
95話
しおりを挟む
「皆よく集まってくれました。
ここに生えている麦を刈り取ってください」
「「「「「はい!」」」」」
王宮から戻った私は、精霊達から教わった複合精霊術を、王都屋敷で試してみることにしたのです。
兄上はまだ王太子の御守りで帰ってこれないようです。
父上と母上、ローマンが確認してくれています。
並の家臣に見られるわけにはいきませんが、父上と母上だけでなく、王都屋敷を預かるハウス・スチュワードのローマンが知ってくれていないと、非常時に諫言してくれる者がいなくなります。
私は王都屋敷の果樹園と野菜畑で実験をしたのです。
四柱の精霊力を組み合わせ、タマやムクの魔力の助けを借りて、果物を早く実らせたり、野菜を早く育てる実験なのです。
精霊達はできると断言してくれていますが、信じられない力です。
今までの常識からは全く考えられないことなのです。
もしそんなことが本当にできるのなら、生き物まで急速に成長させられるではありませんか。
植物にできることなら、動物にだったできるはずです。
そう考えれば、いかに非常識な事なのか理解していただけるはずです。
だから父上も母上もローマンも、不信の塊のような表情を浮かべています。
私も信じられない思いではありますが、主人である私が精霊達を信じないわけにはいかないので、疑念を抑え込んで信じようとしました。
いえ、正直に言えば、本当は疑念以上の根拠のない自信があったのです。
今思えば、真実を知っている精霊達の自信が伝わっていたのだと思います。
実際にできたのです。
果樹園の果物が次々と実りました。
季節外れの果物さえ、木々が花咲き実がなるのです。
あまりのことに、父上も母上もローマンも愕然としています。
驚いていないのは、唯一護衛についているリリアン達だけです。
次に野菜畑に植えてあるものを成長させてみましたが、あっという間に食べられる大きさにまで成長しました。
種にしたものを蒔いて一から成長させてもみましたが、瞬く間に食べられる大きさにまで成長してくれました。
多くの果物と野菜を使用人達を集めて収穫しました。
その日はそれで解散したのですが、翌日同じように実験してみました。
私の魔力というか、精霊力というべきか、力はどれくらい使えて、どれくらいの時間で回復するのか、確認する必要があったのです。
必要な護りの力をどの程度残すべきかは、精霊達やタマやムクが教えてくれます。
その限界まで力をふるうことにしたのですが、保存期間の短い果物や野菜で実験するのはもったいないと思ってしまったのです。
そこで一度野菜を全て収穫して、小麦を蒔いて育てることにしたのです。
ここに生えている麦を刈り取ってください」
「「「「「はい!」」」」」
王宮から戻った私は、精霊達から教わった複合精霊術を、王都屋敷で試してみることにしたのです。
兄上はまだ王太子の御守りで帰ってこれないようです。
父上と母上、ローマンが確認してくれています。
並の家臣に見られるわけにはいきませんが、父上と母上だけでなく、王都屋敷を預かるハウス・スチュワードのローマンが知ってくれていないと、非常時に諫言してくれる者がいなくなります。
私は王都屋敷の果樹園と野菜畑で実験をしたのです。
四柱の精霊力を組み合わせ、タマやムクの魔力の助けを借りて、果物を早く実らせたり、野菜を早く育てる実験なのです。
精霊達はできると断言してくれていますが、信じられない力です。
今までの常識からは全く考えられないことなのです。
もしそんなことが本当にできるのなら、生き物まで急速に成長させられるではありませんか。
植物にできることなら、動物にだったできるはずです。
そう考えれば、いかに非常識な事なのか理解していただけるはずです。
だから父上も母上もローマンも、不信の塊のような表情を浮かべています。
私も信じられない思いではありますが、主人である私が精霊達を信じないわけにはいかないので、疑念を抑え込んで信じようとしました。
いえ、正直に言えば、本当は疑念以上の根拠のない自信があったのです。
今思えば、真実を知っている精霊達の自信が伝わっていたのだと思います。
実際にできたのです。
果樹園の果物が次々と実りました。
季節外れの果物さえ、木々が花咲き実がなるのです。
あまりのことに、父上も母上もローマンも愕然としています。
驚いていないのは、唯一護衛についているリリアン達だけです。
次に野菜畑に植えてあるものを成長させてみましたが、あっという間に食べられる大きさにまで成長しました。
種にしたものを蒔いて一から成長させてもみましたが、瞬く間に食べられる大きさにまで成長してくれました。
多くの果物と野菜を使用人達を集めて収穫しました。
その日はそれで解散したのですが、翌日同じように実験してみました。
私の魔力というか、精霊力というべきか、力はどれくらい使えて、どれくらいの時間で回復するのか、確認する必要があったのです。
必要な護りの力をどの程度残すべきかは、精霊達やタマやムクが教えてくれます。
その限界まで力をふるうことにしたのですが、保存期間の短い果物や野菜で実験するのはもったいないと思ってしまったのです。
そこで一度野菜を全て収穫して、小麦を蒔いて育てることにしたのです。
0
あなたにおすすめの小説
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
ぱんだ
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は、公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日、ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる