勇者パーティーを追放された魔法剣士は卑怯な手段でエッチに復讐する!

ヤラナイカー

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第一章「裏切られたガンプ」

第二話:魔法剣士ガンプの戦死の報

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 縛られたまま、吸血貴族のダンジョンの前に放置されたガンプ。
 あまりにもみすぼらしく情けない姿だった。

「チクショウ……」

 今ここで、怒りに任せて暴れでもしたら自殺行為だ。
 悪態つきたくなる気持ちを抑えて、ガチッと奥歯を噛みしめる。

 歯の奥に仕込んだ『隠身のアーティファクト』が発動する。
 女勇者セイラの言うとおりガンプは弱い。

 こんな状況で強大な魔物に襲われるなどたまったものではない。
 司令塔などとおごっていても、女勇者たちに守ってもらわなければ戦うこともできない自分。

「だがなセイラ。俺の奥の手はまだあるぞ……」

 転移の魔石があいつらに知られていることはわかっていた。
 だから、本能的な卑怯者の勘で、身体にさらに逃げるためのアーティファクトを仕込んでおいたのだ。

「奥の手を見せる時には、次の奥の手を用意しなってな」

 ここは魔界の最奥部だ。
 アーティファクトの効果だけでは足りない。

 臍下丹田に力を込めて、深くゆっくりと呼吸しながら全ての気配を殺す。
 ここにガンプが生きていることすら、悟られてはいけない。

 心が落ち着けば思考が冴えわたる。
 まず、この手足を縛る紐をなんとかしなければならない。

「クソッ、ご丁寧に魔力防御がかかった紐かよ」

 さすがは、卑劣漢のガンプの薫陶を受けた女勇者セイラ。
 やることが徹底してやがる。

 裏切った弟子を褒めている場合ではない。
 ガンプは、小枝を拾うと魔剣を創る強化魔法をかけてギコギコと紐を削っていく。

 ようやく手足の拘束が解けた。

「荷物は、金もポーションも残っているか」

 温情で残した、わけもない。
 ここでガンプが戦死したということになっているから、荷物には手を付けなかったのだろう。

 どちらにしろ、金は生きていく希望だ。
 ありがたい。

 ここからが勝負だと、気を引き締める。
 もちろんガンプは、すぐさま街を目指して逃げる……。

 わけではなく、ダンジョンの中に入っていく。

「あった」

 ドロドロに潰された魔物の黒い死体。
 死んでから時間が立って、さらに臭気が増しているような気がする。

「くそ、気持ち悪いな……」

 強大な魔物は、死体をそのままにしておくと復活することがあるので潰したり解体したりしておくのだ。
 汚い仕事を嫌う少女に変わってこういう汚れ仕事をしてやるのもガンプの仕事だった。

 ガンプは、その死体のドロドロの血肉を自分の服やリュックになすくりつけて汚す。
 それどころか、ドロドロの液体を顔にまで塗り込める。

「あとは、泥もつけておくか」

 魔物は気配だけでなく匂いでも人間を追う。
 これだけ匂いをごまかしておけば、臭気でバレることはない。

 後は、強大な魔物と鉢合わせしないことを祈るしかない。

「絶対生き延びる……」

 そして、俺をコケにしたやつらに復讐してやる!
 生き延びるため、命を燃やすために、ガンプは復讐の炎を心に燃やす。

     ※※※

 ガンプの始末を終えて最前線の街、カステルに戻った勇者パーティーは、今回の事件の黒幕であるエリザベート姫と合流していた。

「やりましたか」
「はい。もう、師匠は……いえ、魔法剣士ガンプ・プファイトは、今頃魔界の奥で戦死しているでしょう」

 近衛騎士団を引き連れたエリザベート姫は、よろしいとうなずく。
 そして、人の上に立つ王女らしき敏感さで、女勇者セイラをねぎらう言葉をかける。

「あんな最低な人でも、あなたにとっては師匠でしたから心苦しかったことでしょう。働きに感謝します」
「もったいないお言葉です。僕は国のためにやるべきことをしただけですから」

 しょうがないと、セイラはつぶやく。

「さてと、貴重な犠牲を私たちは精一杯生かさねばなりません。皆さん、よろしいですね」

 魔導球の撮影の準備をして、魔法剣士ガンプの戦死を国民に伝える。
 そして、空いた枠に、いずれ女王としてこの国を治めるエリザベート・ハイラントが入って魔王討伐に挑む。

 ハイラント王国の国民は、可憐にして高貴なる新たな英雄の誕生に熱狂することだろう。
 すでにお膳立ては整っている。

 女勇者セイラ、女騎士ヴァルキリア、聖女プリシラに囲まれてエリザベートは、魔導球の前で力強く演説する。

「国民の皆様。訃報があります……最後の魔将、吸血貴族アシュランの討伐の際に魔法剣士ガンプが残念にも戦死いたしました」

 鎮痛の面持ちで、静かに国民に語りかけるエリザベート姫。
 やがて、その演説のボルテージが上がっていく。

「この難局を前にして、私は大事な仲間を失った勇者パーティーに最大限の援助をすることにいたしました。それは、この私、エリザベート・ハイラントの戦いへの参加であります!」

 決意を固め、国民のために戦うと、エリザベート姫は興奮に頬を染めながら宣言する。

「この国を治める王族として、わたくしはこの身を犠牲にしても魔王を倒すことを宣言いたします!」

 モニターでこの宣言を聞いた王都の国民は、きっと熱狂していることだろう。
 邪魔者が消えて、魔王討伐の手柄はエリザベート姫のものとなるのだ。

 そう思うと、撮影中の魔導球の前だというのにエリザベート姫の口角は少しだけ上がってしまう。
 どうしても満足の笑みを抑えきれなかったのだった。
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