勇者パーティーを追放された魔法剣士は卑怯な手段でエッチに復讐する!

ヤラナイカー

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終章「英雄、ガンプ・プファイト」

第四十話:ガンプの子供たち

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 軍務大臣にして騎士団長のアインが自分の家に戻ると、娘のヴァルキュリアが神妙な顔をして言う。

「父上、ちょっと話があるんだけど」
「ヴァルキュリア。お父さんはちょっと、こう城でいろいろあってな。もう少し後にしてくれないか」

 そう言って、水を飲もうとしたのだが、せっかちなヴァルキュリアはすぐに要件を言ってしまう。

「私、子ができたんだ」
「ブッ!」

 先程、城でエリザベート姫の懐妊を聞かされたばかりである。

「驚くとは思ったけど、そんなに驚くか?」
「誰の子だ……」

 そう言うと、さすがにヴァルキュリアもバツが悪そうな顔をして言う。

「私が知る中で、一番卑怯なやつの子かなあ」

 ヴァルキュリアがそう言う相手は、ガンプしかいない。
 アインは、一瞬に合点がいった。

 ヴァルキュリアは、英雄ガンプを愛していたのだ。
 そうして、いつしか関係を持って子を身ごもってしまう。

 しかし、同時にエリザベート姫も、ガンプの子を身ごもった事を知ってしまう。
 ああ、この子は姫様への忠義と愛の間で引き裂かれて、そっと気が付かれずにガンプの子を産もうとしているのか。

「ヴァルキュリア! 父さんは味方だからな!」
「あ、ああ……そりゃありがたいけど、そんなに勢い込むことかよ」

「そりゃそうだろう。まあ、なにはともあれ我がスペルビア家の跡取りができたということになるのだからな」

 ヴァルキュリアは、そう聞くと嫌そうな顔をする。

「あーそうなっちゃうかあ。どんな子に育つかねえ」
「きっと、立派な騎士になるに違いない!」

「だから、父上はなんでそんな乗り気なんだよ」

 ヴァルキュリアのほうが引くくらいに乗り気である。
 私生児の子ができたと言っているのに。

「いいんだヴァルキュリア! 父さんは全てわかっている。辛かったな……」
「いや、うん辛いんだけども、自分も悪いところがあったからしょうがないというか」

「そうだろう! そうだろう! 大丈夫だ! 大丈夫だ!」
「うーん」

 異様に物分かりの良い(そして、思い込みが激しくて一人合点している)父親に、何とも言えない気持ちになるヴァルキュリアであった。
 もちろんアインは、一人娘のヴァルキュリアが隷属の首輪でガンプの言いなりにされていることなど、知る由もない。

 知らないほうが幸せというものだった。

     ※※※

 さらに一年後。
 ヴァルキュリアと同じように、ガンプの子を身ごもっていた聖女プリシラは、こっそりと出産を終えていた。

 なにせ、新しい神殿長になったプリシラが、私生児を産んでいたなんてことがバレたら大事件である。
 幸いなことに、プリシラは戦災孤児を集めた児童福祉施設を建てていたので、そこでガンプの子を育てることにした。

「神の家にいる子は、みんな私の子供です」

 そんな事を言って、なんと赤子に乳まで与えて見せる聖女プリシラは、神の奇跡であると讃えられて尊崇を集めた。
 まさか、本当に孤児の中に自分の産んだ子供がまぎれているとは、神殿でも最上級の人間と、あとは勇者パーティーの仲間しか知らないことである。

「よお、プリシラ」

 その数少ない秘密を共有する仲間であるヴァルキュリアがやってきた。

「あら、ヴァルキュリアさん」
「ガンプの子供は、どれなんだい」

「あの、男の子ですわ」

 ガンプによく似てしまっている。
 これは、見る人が見たらわかるかもしれない。

「上手くやったもんだけど、女の子だったらもっとよかったのかもね」
「私は、どちらでもいいですわ」

 産まれたら、神の祝福のある子供に変わりないと、プリシラは言う。

「そんなものかなあ。うちも男の子でさあ、父上がうちの跡取りの騎士にするって張り切ってるんだけど」
「元気そうではありますけど、騎士になってくれるでしょうか」

「それは、私が頑張って教育するよ」
「そうですか」

 子供は、どんなに教育してもありのままにしか育たないというのがプリシラの考えである。
 それも全てはアスラ神が作り給うたものなので、それで良い。

 しかし、その考えをヴァルキュリアに押し付けるつもりもない。
 上位騎士の家には、その家なりの事情というものもある。

「私の子だから、きっと強く育ってくれるさ」
「最近、孤児だちを育てていて思うのですけど……ガンプさんも孤児だったんですよね」

「ああ、そうだねえ」

 何の因果か。
 プリシラが産んだガンプの子も、同じように父無し子で育っている。

「もしかしたら、ガンプさんの父親も、どうしようもない無責任な人だったのかもしれないなあと」
「えー」

 ヴァルキュリアは、嫌そうな顔をした。

「たぶん、同じことを考えてますよね」
「うん……」

 言う必要もなく、お互いに考えていることがわかった。
 自分がお腹を痛めて産んだ子が、父親のように無責任な男にだけは育ってほしくない。

 そうならぬように、子育てを頑張ろうと思う二人であった。
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