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終章「英雄、ガンプ・プファイト」
最終話:リンゴの木の下で
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ガンプがハイランド王国を去ってから四年の月日が流れた……。
ここは、王国の北の辺境であるアルコ村。
家が十数軒ぽつりぽつりとあるだけの、貧しくて小さな村だ。
美味しいリンゴが特産品で、村の多くはリンゴを育てている。
そんな村の一軒に、元勇者だったセイラ・アルマはいた。
「もうちょっとしたら、家に帰ろうかラーちゃん」
「だー!」
三才の小さな女の子は、今日取れたリンゴの実を持って飽きずに遊んでいる。
年老いた母と、自分の産んだ赤子と三人家族。
セイラは、自分が望んだ通りに故郷の村で暮らせていた。
「これも、お父さんのおかげだねえ」
「はーい」
わけもわからず、娘のランプは返事をする。
元勇者であったセイラが、王宮から自由になってこうして故郷で過ごせているのは、ガンプが自由にしてやれとエリザベート姫に強く言ってくれたからなのだ。
アルコ村は、王宮から配信されるモニターすらない小さな村だ。
この近所にも小さな村はいくつかあるが、モニターがあるような大きな街にいくのに百キロはかかる辺鄙な土地である。
村の者は勇者だと知っているが、セイラがそれを言われたくないということも知っているのでそっとしておいてくれている。
辺境なので、時折近所の村に応援にいってモンスターをやっつけにいったりしているが。
誰も、セイラのことを元勇者だとは知らない。
あれからずっと素手で戦っているので、凄腕の武闘家だと思われているくらいだ。
リンゴを収穫して、家に戻る前に、近くにある父親の墓に向かった。
小さな墓標と、古ぼけて錆びた剣が安置されている。
そこには「ハロルド・アルマ、ここに眠る」と書かれていた。
「おとう!」
ランプが、墓を指して言う。
「いや、これはラーちゃんのお父さんじゃないよ。お母さんのお父さんのお墓」
そう娘に説明して、セイラは一瞬。
父が生きてた頃のことを懐かしく思い出す。
すぐそこにある、セイラの家から腰に剣を差した父親が今にも姿を現しそうで……。
「おとう!」
「え、うそ……お父さん?」
そこには、セイラの父親のハロルドがいた。
……なんてことはなく、よく似た別の人だった。
「おとう!」
懐かしい顔の、その人は言う。
「それが、俺の娘か。セイラ」
「師匠、なんでここに……」
「お前の母親に聞いたけど、ほんとにこんな辺鄙な村に戻ってんのな」
勝手に家のリンゴをむしゃむしゃと食べながら、そんなことを言って笑っているガンプ。
四年ぶりなのに、まるで昨日別れたばかりみたいな口調だ。
「あんまり似てるから、ほんとにお父さんかと思った」
「んん、確かお前の父親って亡くなった時にもう五十過ぎてただろ。まだ俺、ギリギリ三十代なんだぞ」
「おとう!」
娘のランプが、ガンプのところに走っていって抱きついた。
まったく会ったことがないはずなのに、父親だってわかるのだろうか。
それとも、わからず大人に甘えているだけなのだろうか。
「まあ、父親に間違いはないか……。ごめんな、放ったらかしにしてて」
「師匠! 謝るくらいなら、最初からやらないでくださいよ」
そう言いながら、放ったらかしにしておいて不意に現れたりするのが、実にガンプらしいなとセイラは思うのだった。
「姫様や、ヴァルキュリアとプリシラにもあったけど、散々だったよ」
「僕のところに逃げてきたんじゃないですか」
「うーん、それもあるかなあ」
そう言って苦笑するガンプが、セイラにはおかしかった。
今日は腕によりをかけてごちそうを作ろう。
そして、ガンプが繰り広げてきた冒険の話を夜が更けるまで娘と一緒に聞こう。
そう思ったら、セイラはとても楽しい気持ちになるのだった。
ここは、王国の北の辺境であるアルコ村。
家が十数軒ぽつりぽつりとあるだけの、貧しくて小さな村だ。
美味しいリンゴが特産品で、村の多くはリンゴを育てている。
そんな村の一軒に、元勇者だったセイラ・アルマはいた。
「もうちょっとしたら、家に帰ろうかラーちゃん」
「だー!」
三才の小さな女の子は、今日取れたリンゴの実を持って飽きずに遊んでいる。
年老いた母と、自分の産んだ赤子と三人家族。
セイラは、自分が望んだ通りに故郷の村で暮らせていた。
「これも、お父さんのおかげだねえ」
「はーい」
わけもわからず、娘のランプは返事をする。
元勇者であったセイラが、王宮から自由になってこうして故郷で過ごせているのは、ガンプが自由にしてやれとエリザベート姫に強く言ってくれたからなのだ。
アルコ村は、王宮から配信されるモニターすらない小さな村だ。
この近所にも小さな村はいくつかあるが、モニターがあるような大きな街にいくのに百キロはかかる辺鄙な土地である。
村の者は勇者だと知っているが、セイラがそれを言われたくないということも知っているのでそっとしておいてくれている。
辺境なので、時折近所の村に応援にいってモンスターをやっつけにいったりしているが。
誰も、セイラのことを元勇者だとは知らない。
あれからずっと素手で戦っているので、凄腕の武闘家だと思われているくらいだ。
リンゴを収穫して、家に戻る前に、近くにある父親の墓に向かった。
小さな墓標と、古ぼけて錆びた剣が安置されている。
そこには「ハロルド・アルマ、ここに眠る」と書かれていた。
「おとう!」
ランプが、墓を指して言う。
「いや、これはラーちゃんのお父さんじゃないよ。お母さんのお父さんのお墓」
そう娘に説明して、セイラは一瞬。
父が生きてた頃のことを懐かしく思い出す。
すぐそこにある、セイラの家から腰に剣を差した父親が今にも姿を現しそうで……。
「おとう!」
「え、うそ……お父さん?」
そこには、セイラの父親のハロルドがいた。
……なんてことはなく、よく似た別の人だった。
「おとう!」
懐かしい顔の、その人は言う。
「それが、俺の娘か。セイラ」
「師匠、なんでここに……」
「お前の母親に聞いたけど、ほんとにこんな辺鄙な村に戻ってんのな」
勝手に家のリンゴをむしゃむしゃと食べながら、そんなことを言って笑っているガンプ。
四年ぶりなのに、まるで昨日別れたばかりみたいな口調だ。
「あんまり似てるから、ほんとにお父さんかと思った」
「んん、確かお前の父親って亡くなった時にもう五十過ぎてただろ。まだ俺、ギリギリ三十代なんだぞ」
「おとう!」
娘のランプが、ガンプのところに走っていって抱きついた。
まったく会ったことがないはずなのに、父親だってわかるのだろうか。
それとも、わからず大人に甘えているだけなのだろうか。
「まあ、父親に間違いはないか……。ごめんな、放ったらかしにしてて」
「師匠! 謝るくらいなら、最初からやらないでくださいよ」
そう言いながら、放ったらかしにしておいて不意に現れたりするのが、実にガンプらしいなとセイラは思うのだった。
「姫様や、ヴァルキュリアとプリシラにもあったけど、散々だったよ」
「僕のところに逃げてきたんじゃないですか」
「うーん、それもあるかなあ」
そう言って苦笑するガンプが、セイラにはおかしかった。
今日は腕によりをかけてごちそうを作ろう。
そして、ガンプが繰り広げてきた冒険の話を夜が更けるまで娘と一緒に聞こう。
そう思ったら、セイラはとても楽しい気持ちになるのだった。
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