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第三章

閑話 オリビアの真実の愛

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オリビアはため息を吐いていた。

ギルバートと結ばれたマーガレットの幸せそうな顔。敬愛するマーガレットの一度目の婚姻の時から知っているオリビアは、主人の幸せを喜ばしく思っていた。

一緒にシルベスタに付いて来たセバスは休日で、王城にはいなかった。共に移住してきた家族と過ごしているのだ。

(私だけが一人か…)

オリビアはため息を吐いた。


久しぶりの休日…

オリビアは同じ日に休みの侍女達と共に、騎士団の稽古を見に来ていた。

(ここで良い人と出会えるのかな…?)

オリビアがそんな風に思いながら騎士達を見ていると、見知った顔を見つけた。

ここに居るはずのない人物がいたのだ。

(何故シルベスタ帝国の騎士団にハリーがいるの…?)


オリビアは稽古が終わるまで待ってから、出てきたハリーに問い詰めた。

「ちょっとハリー!何故あなたがここに居るの?ケナード家の仕事はどうしたのよ」

「あ…見つかっちまった…」

ハリーはバツの悪い顔をした。

「どういう事か説明して。マーガレット様に何と言って報告をすればいいのよ…」

「マーガレット様は知っているよ」

ハリーはあっけらかんと答えた。

「とりあえず見なかった事にしてよ」

ハリーはそう言って唖然立ち尽くしたオリビアの肩を叩き、その場から去っていった。

(どういう事…?)

オリビアの頭には疑問しか無かった。


それからオリビアは、ハリーのことが気になって仕方無かった。何故いるのか、何か企んでいるのではないか。考えてもわからなかった。

そんなある日、身支度を終えたマーガレットの後ろをオリビアが城内を歩いていると、近衛騎士の制服を着たハリーを見つけた。

「マーガレット様…」

「あら、思っていたよりも早かったのね。私はここで待っているわ。頑張ってね」

マーガレットとハリーのやり取りを不思議そうに聞いていたオリビア。

「オリビア、少し時間をくれ」

「仕事中だから、マーガレット様からあまり離れたくないんだけど…」

「許可を貰っているから大丈夫」

ハリーに連れられて、オリビアはわけも分からず歩いていた。


「俺、近衛騎士になったんだ」

「そうみたいだね。おめでとう」

ハリーは深呼吸をした。

「近衛騎士になってからって、マーガレット様と約束したんだ」

オリビアは未だに理解出来ていなかった。

「オリビア、俺と結婚して欲しい!」

「え…?ハリーが私と…?」

「オリビアが好きなんだ」

「でも、私はハリーよりも歳上だし…」

オリビアはただただ驚いていた。

「そんなの関係ない。マーガレット様の護衛をして一緒に過ごしていくうちに、俺はオリビアが好きになったんだ」

「本当に…?」

オリビアは信じられなかった。

「本当に。絶対に幸せにする。俺と結婚して欲しい」

「私も…私もハリーが好き」


その瞬間、オリビア達は拍手に包まれた。

皆見守って聞いていたのだ。マーガレットももちろん隠れて聞いていた。


オリビアに会うためにケナード家の護衛を辞め、マーガレットに誠意を見せろと言われて近衛騎士になったハリー。

年齢を気にして想いを告げられず、気持ちに蓋をしてマーガレットの為にシルベスタ帝国に来たオリビア。

こうして、ここにも真実の愛で結ばれた二人がいたのだった。

二人の子供は、後に生まれてくる皇子と姫の良き友となるだろう。
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