転生先は繁殖主義国家だけど、普通に幸せになりたいです!

吉野葉月

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第八話

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「あぁ、いいですね。特に私たちのものは矯正に効果があると言われていますし」
 
「誰からやるー? 先に勃起したやつからでいい?」
 
 そう言うと男たちは各自自分のモノをしごき始めた。
 ミナミの豊満な胸に挟み射精感を促す者、陰核に当てながら下腹部で擦り上げる者がいる一方で、低身長の青年はミナミの口腔にそのまま突っ込み、舌での舐め上げを要求した。
 
「は……んむっ……!?」
 
 (く、苦しい! )
 
「ずりぃ! 最初から垂れ流し!」
 
「いいじゃん、どうせみんなの精子飲むんだから。あんたのは最後にすれば、この子の口の中にずっと後味残るよ。粘膜からいっぱい浸透するよ」
 
「んー……それならまぁ」
 
 金髪碧眼でありながら少々ガサツなもう一人の男は、仕方なく了承してミナミの乳房を掴み、肉棒に押し当てる。
 触れたところから否応なしに男の熱が伝わってくる。
 口の中や胸部や下腹、至るところに、色んな男の欲求がはびこっている。
 
 (やだぁ! 何なのこれ、やめてよ! )
 
「こぉ……んなの、繁殖には、関係、ない……れ、しょ……!」
 
 口腔を埋める男性器の隙間をぬって、しどろもどろミナミは反抗する。
 頭上には背の低い男が、彼と向かい合うように金髪の男、胯間には眼鏡の男が、ミナミの裸に群がっている。
 繁殖が第一というのなら、せめて一人ずつにして欲しい。
 ミナミの言葉に、男たちは冷たい眼差しを向けた。
 
「……君にとっての、精液これって何なの? ただの子ども宿す分泌物だと思ってるなら、考えを改める必要があるね」
 
 低身長の男は、先端を喉へグリグリと擦り付ける。
 
「もちろんそれが最重要で、最も優先しなければならない事項だけど、それだけじゃないから」
 
 押し付けられた男の先端から、透明な液体がチロチロ溢れ出す。
 
精液これは、万物の源。命を作り出し、弱った者に活力を与え、万病を取り除くんだ。他国では精子と卵子は種と畑、どちらかでも調子が悪ければ上手く作物が育たないと例えられていると聞くけど、君は本当にそうだと思う?
 Aという作物を育てるのはBという土壌が必要だけど、仮に土壌Bが駄目になったとしたら、水耕栽培、もしくは似たような土壌Cを用意すれば問題ないよね。
 だけど種Aが駄目になったとしたらどうだろう。Aの種はAにしか作れない。リンゴの木はリンゴにしか作れない。似たような種Dで代用したところで、それは別物。リンゴとマンチニールは全くの別物でしょ?
 精子はね、唯一無二の存在なんだよ。それを僕ら、自由に大量に作り出すことができるんだよ。すごくない? 神だよね! 聖なる液を持つことが許された存在、それが男なんだ」
 
 男は矢継ぎ早にまくし立てる。
 先走った液体が口の中に溜まって、ミナミは不快感で涙目になる。
 男は見下ろしながらそれを嘲笑った。
 
「コップに注ぐ? その方が飲みやすいんだったらそっちでもいいけど、苦手な子が多いよ。まぁ、どっちでも効果は変わらないけど……あ、出る、出すよ……!」
 
 前後運動を早めると、"聖液"を勢い良く噴射した。口腔粘膜に白い液体が容赦なく打ち付けられる。
 
 (んんー! )
 
 吐精してすぐ、肉棒を抜いた彼はミナミの頭と顎を固定し、大きく口を開けたままにさせた。
 間髪入れずに金髪の男が顔をめがけて構える。
 
「オレが最後が良かったけどもう出る、いくぞ」
 
 男は欲望を口へと注ぎ込む。
 暴発した飛沫は、目や鼻、額などそこかしこに飛び散った。
 
 (だからぁ! 目に雑菌が入るだけー! )
 
 過去こんなに精液を浴びたことなどもちろんない。
 滝行でもやっているかの気分になり、ミナミはだんだん感覚が麻痺してきた。
 気持ち良いものではないけど、雨だと思えば、土砂降りに遭ったと思い込めば、やり過ごせるのではないか。
 残る一人、眼鏡の紳士的な男は、ミナミの性器を弄び自分のモノを昂らせていたが、ついに待ちくたびれてしまったようだ。
 口を尖らせて不満をこぼす。
 
「あなた方遅いですよ。私まだイってないんですからね」
 
「あぁ、悪ぃあんたのこと忘れてたわ」
 
「お口満杯だから下から取り込ませる?」
 
 眼鏡男のフィニッシュを前に、またボソボソと話し合っている。
 ただの精液だが、この世界では偉大な液体である。
 吐けばどんな罪に問われるか分からないし、かと言って美味しいとも言い難いそれを飲み込むことは、かなり勇気のいる行為だった。
 ミナミは口から垂れ流し、さも溢れたように偽る。
 しかしそのせいで、口を開くことができない。
 
 (下からって、また中出し……!?)
 
 今度こそ子どもが出来るかも知れない。
 この世界に召還されたばかりの頃、フェリックスに出されたのはあのあとすぐ生理が来て妊娠には至らなかった。
 だけどまた今回もスルーなんて、そう上手いこといくだろうか。
 しかも相手は妊孕性に優れた黒ネクタイの青年だ。
 転生日から数えて、今日で二週間くらい経ったはずで、排卵日が近くてもおかしくない。
 排卵日とは、妊娠を望む者にとってはチャンスの日、そうでない者にとっては危険日である。
 
 (ーーヤバい! )
 
 ミナミは血の気がひいた。
 
 (素股はよくても、中出しは絶対だめ!! )
 
 ミナミの脚を開き、腰を持ち上げる眼鏡男の腕を思い切り蹴った。
 
「痛っ……! こらこら、暴れないで下さい。ちゃんとこっちにも挿入しますから。もう少しの辛抱ですよ」
 
 (そういうことじゃない! ていうか挿れなくていい! )
 
 ミナミは足でドンドン蹴り上げ続ける。
 なかなか挿れられずに、ミナミの頭を抑えていた男が脚を押さえつける。
 
「やれやれ、手がかかるね。孕ませてやるって言ってるのに何が不満なのさ。僕たちの体液なんか、普通みんなこぞって欲しがるのにね」
 
「ーっ!」
 
 完全に動きを封じられた。
 ミナミは産む道具としてしばらく生きていく覚悟を決めた。
 
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