転生先は繁殖主義国家だけど、普通に幸せになりたいです!

吉野葉月

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第十七話

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 ミナミの目尻からは涙が溢れていた。
 
「なんでもない……っ、フェリックスさんと、出会って良かったって……、思っただけで……っ」
 
「出会って……良かった?」
 
 フェリックスは浅いところをくすぐり、イきそうになるのを微調整する。
 集中が切れるとすぐに出てしまいそうで、放出感を必死に我慢する。
 イきたいのにイくのはもったいなくて、ずっと高揚していたいような気持ちに囚われる。
 
「はい。出会って良かったです。ミナミの国なら、もっと親交を深めたいっていっぱい話かけちゃいますね」
 
「……交尾するためか?」
 
「やだぁ、そんな訳ないじゃないですか」
 
 そういう人もいるだろうけど、多くはその前にキスをしたり、手を繋ぐ。
 そしてその前にも、いっぱい会話したり遊んだり、同じ時間を共有する。
 
「セックスなんて最後ですよ。一緒にいたいからで
 す。フェリックスさんとずっと一緒にいるためです」
 
「え……っ」
 
 突如、入り口付近に留まっていた槍が中でひくついた。
 フェリックスは急いで全部中へ押し戻す。
 その顔もどこか紅潮しているように見える。
 
「限界……!」
 
 根元まで全てミナミの中で閉じ込めると、小刻みに抽送する。
 
「あっ、あ、あ……フェリックスさ……はや……っ!」
 
「……く……っ」
 
 殊更強く貫かれ、ミナミの中は痙攣する。
 
「あっ、あーーー!」
 
「雌、20分12秒」 
 
「雄、20分13秒、感覚共有です」
 
 身体じゅうがビクビクと波打ち、フェリックスを根元まで締め付ける。
 突いてくれてありがとうとでも言うかのように何度も何度も震動し、男に刺激を与え続ける。
 ミナミは抗うことができず、度を超した鼓動はバクバクと波打つ。
  
 ミナミに内側から強くハグされ、ほぼ同時に彼自身も我慢のピークを迎える。
 動きがストップし、膣の中にトロついた熱い液体がドクドクと注ぎ込まれる。
 
「はい、抜いてーゆっくりね」
 
「……わかってる……」
 
 フェリックスも肩で息をしながら呼吸を整える。
 そっと陰茎を引き抜くと、手首や足首を縛っていた布をほどき、ミナミの手を引いて起きあがらせる。
 彼女が立ち上がると、股間の真下に置いた小瓶の中へ先程注がれた体液がこぼれ落ちていく。
 男たちは目盛りを数える。
 
「4……5……5.1。S有りで5.1だ」
  
「出ましたねー」
 
 男の一人がフェリックスからその容器を受け取り蓋をして、記録用紙と一緒にどこかへ運んで行った。
 フェリックスは安堵の息を吐き、ミナミに紐パンを手渡した。
 
「あ、ありがとう……」
 
 我に返ったミナミは、二回も致してしまったことがまるで付き合ってるようで嬉しくて恥ずかしくて、彼の顔を見れなかった。
 
「この子、なんか反応可愛いなぁ」
 
 もう一人の男が呟いた。
 フェリックスは全裸のまま、ベッドの縁に腰かけるミナミを後ろから抱きしめた。
 
「ひゃああああ!」
 
「可愛いだろう。手厚く扱えよな俺しかまだ知らないんだから」
 
 フェリックスは首に手を回して、のしかかるようにくっついている。
 心臓がバクバクしているなんてことは知られたくない。
 もうヤったけど、それとこれとは別問題である。
 どうか知られませんようにと、祈りをこめてその腕に唇を寄せる。
 
「……これだよこれ。さっきも思ったけど、この子相当お前のことが好きなんだな」
 
 知られていた。
 気を取り直してミナミは男に眉をひそめる。
 
「ミナミの何を知ってるっていうんですか」
 
 男は使った道具を片付けながら、残念なものをみる目付きでわざとらしくため息をついた。
 フェリックスに後ろから抱えこまれたままのミナミの小鼻をむにゅっとつまんだ。
 
「あんたは知らないだけだと思うけど、この国ではな、さっきの言葉は何よりも深い愛の言葉なんだ。」
 
「何か言いましたっけ」
 
「『ずっと一緒にいたい』だ」
 
 フェリックスはミナミの顔を横に向かせ、気の緩んだ口元に口付けを落とす。
 艶やかな唇は、ちゅっと軽く触れて首もとへ落ちた。
 
「な……ちょっ……ちょっとー!!? フェリックスさん、相手間違ってます! ミナミなんかにすることじゃないです!」
 
「間違ってない、俺はお前がいい」
 
 あたふたするミナミを押さえつけ、フェリックスは首筋を強く吸引し印をつける。
 
「みんなのものだからな」
 
 呆れたように書記の男が言った。
 
「この国は誰とでもヤれるぶん、感情面での繋がりがより重要になってくるんだ。身体の面では次々色んな人を渡り歩くけど、何か困ったことがあったとき頼りにするのはそういう人たちじゃないだろう? この国のプロポーズはそういうことなんだ。"身体の関係がなくてもずっと一緒にいよう"ってな」
 
 男はミナミにウインクをした。
 
「プロポーズ……」
 
「そう、プロポーズ。わかるか? あぁそういえば諸外国では宝石のついた指輪を女に贈るんだってなぁ? そういうのもいいよなぁ、ロマンチックだよなぁ……」
 
 男は窓の外に目を向けて遠くを見つめた。
 沈みかけた夕陽は、残りわずかな力を振り絞って閃光を放っていた。
 山々の裾野まで広がるそれは、ミナミの現世とも負けず劣らず美しかった。
 
「あーっ! カレーだったじゃん! 行くぞフェリックス! ほらスカート履いて」
 
「あぁ、そうだな。俺辛さ増し増しにしよー。ミナミも一緒に食べるか? 食べさせてもいいか? 疲れただろ? あんなに快感液放出して」
 
「い……いいです! 食べれます! 自分で食べた方が美味しいです!」
 
 若干しょんぼりしているフェリックスを放置し、ミナミもいそいそと制服に着替える。
 食堂へ向かう道中、ずっと男の声がこだましていた。
 
 (プロポーズ……? ミナミがフェリックスさんに……? いや、あれはそんな意味じゃなくて本当に。でも一緒にいて欲しいのは本当だし……)
 
 時に赤くなりながら、頭の中は騒がしいほど彼のことでいっぱいになった。
 
 (あーもう! 信じられないミナミったら! 産んでも地獄、産まなくても地獄なのに、何考えてるのよ恋なんて! )
 
 スプーンでカレーライスをかき込むと、前世より多めの香辛料がさらに強く味覚と嗅覚を刺激した。
 ゴホゴホとむせるミナミに、フェリックスが笑いながら水のグラスを差し出した。
 
「大丈夫か? ゆっくり食べなよ」
 
 心なしかいつもより優しい声で、ミナミは高鳴る鼓動を抑えきれなかった。
 その後もずっと幸せな悩みに浸っていた。
 
 
 
 数日後、慌てた様子でフェリックスが駆けてくるまでは。
 
「ミナミの性検の結果が出た…」
 
 
 
 
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