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第一部:私だけの物語
43.無粋な行い
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「どうだ、キャロライン。オースティン卿とはうまくいっているかい?」
あまりうまくいっていなかった叔父の事業に対して、アラン様は破格と言える額の資金援助と的確な助言をしてくれている、らしい。
正直私の目から見ても、おおらかでのんびり屋の叔父にはあまり経営の才があるとは言えなかった。人伝てに聞いた話では、叔父はそういうことは兄である私の父に任せっきりだったそうだ。
ずっと暗い顔をしていた叔父が上機嫌なのを見るのは、嬉しい。
「はい、叔父様。来週にはお屋敷に来るようにとお誘いを受けています」
だから、きっとこれでよかったのだろう。
「そうか! ならそろそろ婚約となるかな。そういや、お前にまだ見せられていない身上書があったんだが……どこだったかな」
結局家を出る時まで、叔父はその家の名前を思い出せないままだった。
一人になって、机の前に座る。
アラン様は決して悪い方ではない。けれど、真に婚約するとなれば明らかにしておきたいことがある。
もらいに行ったけれど、使っていない真っ白な封筒。買い求めたけれど、何も書いていない便箋。私が返事を出さなかったからなのか、キット様からも手紙は来ていない。
刻まれたAのエンブレムを指先でなぞってみる。
私が夢見た、理想のおじ様。
それは実在しない、言わば湖に映る月のようなものだった。手を差し入れて水面が揺らめけば、消えてしまう。そんな儚いものだ。
けれど、本当に存在するとしたら。
確かめなければならないのだ。
たとえそれが、どれだけ無粋な行いだとしても。
あまりうまくいっていなかった叔父の事業に対して、アラン様は破格と言える額の資金援助と的確な助言をしてくれている、らしい。
正直私の目から見ても、おおらかでのんびり屋の叔父にはあまり経営の才があるとは言えなかった。人伝てに聞いた話では、叔父はそういうことは兄である私の父に任せっきりだったそうだ。
ずっと暗い顔をしていた叔父が上機嫌なのを見るのは、嬉しい。
「はい、叔父様。来週にはお屋敷に来るようにとお誘いを受けています」
だから、きっとこれでよかったのだろう。
「そうか! ならそろそろ婚約となるかな。そういや、お前にまだ見せられていない身上書があったんだが……どこだったかな」
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一人になって、机の前に座る。
アラン様は決して悪い方ではない。けれど、真に婚約するとなれば明らかにしておきたいことがある。
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刻まれたAのエンブレムを指先でなぞってみる。
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それは実在しない、言わば湖に映る月のようなものだった。手を差し入れて水面が揺らめけば、消えてしまう。そんな儚いものだ。
けれど、本当に存在するとしたら。
確かめなければならないのだ。
たとえそれが、どれだけ無粋な行いだとしても。
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