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「あたらしいとし」
しおりを挟む洞窟の中、リナは手を組みながらそわそわしていた。
「リュー、知ってる? 今日って特別な日なんだよ!」
リューはリナの言葉を聞きながら、洞窟の奥で寝そべっていた。
「特別? なんだ、それは。今日はただの夜だろう。」
「違うの! 今日ね、“新しい年”が始まる日なの!」
「……年?」
リューは首を傾げて、リナの方に視線を向けた。
「そう! 村ではね、年が変わるときにお祝いをするんだよ。みんなでご馳走を食べたり、夜空を見上げたりして。」
「ふん、人間の奇妙な風習だな。」
リューは一度鼻を鳴らしたものの、リナの楽しそうな表情を見て、少し興味を引かれている自分に気づいた。
「……で、どうするんだ? この洞窟じゃ村みたいにはできないだろう。」
リナはニッコリと笑いながら答えた。
「だから、ここでお祝いしようよ! リューと二人でね!」
リナは早速、洞窟を飾りつけ始めた。森から持ってきた枝に、洞窟の中にあったキラキラした鉱石を結びつけて「木」を作り、光る飾りのように仕上げた。
「リュー、これどう? きれいでしょ!」
「……まあ、悪くない。」
リューは口ではそっけなく答えたが、その目は鉱石が放つ光をじっと見つめていた。
「ふふっ、リューも少し楽しそうだね。」
「べ、別にそういうわけじゃない!」
リューが慌てて否定するのを見て、リナは小さく笑った。
「次はご馳走を用意しなきゃ!」
そう言うリナに、リューは「また面倒ごとか……」と呟きながらも手伝うことにした。
リナが用意した果物や木の実に加え、リューは自慢の炎でじっくりとお肉を焼き上げる。
「もっと優しく火を当てて!」
「分かってる!」
リナの指示に従いながら、リューはなんとか見事な焼き加減に仕上げた。
「すごい! リュー、ありがとう!」
「……まあ、俺にかかればこれくらい簡単だ。」
照れくさそうにそっぽを向きながらも、リューはどこか誇らしげだった。
二人で準備を終えた後、洞窟の外に出て夜空を見上げた。
「やっぱりきれいだね。」
リナがぽつりと呟く。リューは隣に座りながら星空を見上げたが、目の端ではリナの笑顔を盗み見ていた。
「人間はこうやって星を見て、何が楽しいんだ?」
「うーん……なんだろう。これからの一年がいい年になるように願ったりするんだよ。」
「願い……か。」
リューは少し考え込みながら空を見つめた。
「俺は……お前が元気でいれば、それでいい。」
「え?」
リナが驚いたようにリューを見つめると、彼は顔をそらしながらそっぽを向いた。
「なんでもない! 忘れろ!」
リナは少し笑いながら「ありがとう」と小さな声で言った。
洞窟の中、手作りのご馳走と飾り付けを囲みながら、二人はのんびりと年越しの夜を過ごした。
「リュー、一緒に新しい年を迎えられてよかった!」
「まあ、悪くないな。」
リューの不器用な返事に、リナはまた小さく笑った。
夜空に星が瞬き、新しい年が二人を包み込む。
それは、静かであたたかな時間だった――。
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