真紅の瞳と小さな灯

夜明けのハリネズミ

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「さんたくろーす」

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「リュー、知ってる? 今日の夜、サンタクロースが来るかもしれないよ!」

 リナは焚き火の前で嬉しそうに話していた。
 その言葉に、リューは鼻で笑いながら横になったまま言った。

「サンタクロースだと? なんだそいつは。」

「サンタクロースはね、夜中にみんなの家に来て、いい子にプレゼントをくれるんだよ! 村では毎年楽しみにしてたんだから。」

「ふん……人間の子供を甘やかすための作り話じゃないのか?」

「そんなことないもん! 今年は洞窟にも来てくれるかもしれないよ!」

 リナは笑顔で胸を張るが、リューは肩をすくめた。

「もしそいつが来たら、俺が捕まえてやる。」

「捕まえちゃダメだよ!」

 リナは慌ててリューを止めたが、彼の表情はどこか楽しそうだった。

 洞窟の外は雪で真っ白になっていた。
 リナは勢いよく外に飛び出し、冷たい雪を手で握りしめた。

「リュー! 一緒に雪合戦しようよ!」

「雪合戦? そんな子供じみたこと……。」

 そう言いかけた瞬間、リナが作った雪玉がリューの顔に直撃した。

「おい!」

 リューは驚いて顔をしかめた。

「リュー、動きが鈍いから簡単に当たっちゃうね!」

「ふん……いい度胸だな!」

 リューは大きな雪の塊を掴み、それをリナに向かって投げた。

「きゃあっ!」

 リナは笑いながら避けるが、リューの雪玉の破壊力に驚いていた。

「ちょっと、それ大きすぎ!」

「お前が先にやったんだろう!」

 二人は雪玉を投げ合いながら笑い声を上げ、いつの間にか雪合戦が本格的になっていた。

 雪合戦の後、リナは雪だるまを作り始めた。

「リューも一緒に作ろうよ!」

「こんな寒い中で、何が楽しいんだ。」

 そう言いながらも、リューは仕方なく手伝い始めた。
 リューの大きな手で雪を丸めると、巨大な雪玉ができた。

「それは頭に乗せる部分だよ!」

「これが頭だと? こんなに大きいのか?」

「だって、リューの雪だるまだもん!」

 リナは楽しそうに笑いながら雪を整え、リューも少しずつその作業を楽しんでいる自分に気づいた。

 夜になり、リナは焚き火の前で大きな欠伸をしながら言った。

「今日は楽しかったな……サンタクロース、本当に来てくれるかな?」

「そんな奴、本当にいるわけないだろう。」

 リューはそっけなく答えたが、リナの期待に満ちた顔を見て、少しだけ心がざわついた。

「おやすみ、リュー。」

「……ああ。」

 リナが寝袋に潜り込むと、リューはそっと洞窟の外へと飛び出した。

 次の日の朝、リナが目を覚ますと、枕元に見たこともない果物がいくつも置いてあった。

「えっ……?」

 リナは驚きながら果物を手に取り、その甘い香りに目を丸くした。

「これ……この辺りじゃ取れない果物だよ……!」

 リューは洞窟の奥で寝そべったまま、そっけなく言った。

「何を騒いでる。」

「リュー! サンタクロースが来てくれたんだよ!」

 リナは果物を抱きしめながら笑顔を見せた。その無邪気な姿を見て、リューは目をそらしながら低く呟いた。

「……そうかもな。」

 リナは気づいていない。
 夜のうちにリューが遠くの暖かい土地まで飛び、見つけてきた果物だということを。

「リュー、今年のクリスマス、すごく楽しかったよ! ありがとう!」

 その言葉に、リューは何も答えず、ただ目を閉じた。
 しかし、彼の耳の先はほんのり赤く染まっていた――。
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