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しかしここで盛大に文句を言えば後々ユキオにとって都合が悪くなることは今までの生活で十二分に理解していた。
結局学校というのは集団行動の場なのだ。
だから今一番効果的な言い回しはこれ。
「……んなことばっか言ってっとお前の彼女に告げ口してやるからな!」
「うわやめろバカ!この前喧嘩して仲直りしたばっかなんだよ!」
「やなこった!」
タイガが舌を出したところでようやく空気が和らぐ。
ホッとした一人が誤魔化すように持っていた雑誌を差し出した。
「んな怒んなって!ほら、これ貸してやるから!」
「いらねえ!」
ワイワイとタイガと部活仲間達が騒いでいると、教室の後ろのドアがガラリと音を立てて開いた。
当のユキオ本人が戻ってきたのだ。
「おー、お帰り」
「タイガ遅い」
自身が何処かへ行っていた癖にユキオは不満げにタイガに文句を言う。ユキオの我儘はいつものことなのでタイガはさして気にもせず笑った。
待つ気がなければ出ない言葉なのだからユキオなりにタイガを待っていたのだろう。そう思えば可愛いものだ。
「わりーわりー」
それを機とばかりにタイガは雑誌を押し付ける手から逃れるとリュックをひっ掴む。
「じゃーなお前ら」
手を振るとおうまたな!と手を振り返される。
一人は未だ「いうなよ!」と騒いでいたが知らないふりをした。次同じことをしたら盛大に告げ口してやろうと心に決める。
ユキオも声をかけられていたが、それには答えずさっさと先に行ってしまう。それを追いかけて廊下へと出る。
横に並んで歩いていると暫くしてポツリと尋ねられた。
「……何話してたの?」
「いやぁ、別に。つまんねー話」
流石にお前との仲を疑われたとは言えない。
タイガは悪くないと分かっていても絶対こちらへ八つ当たりをしてくるに違いないからだ。
「ふーん」
自分で聞いた癖にユキオは興味がないような素っ気ない返事を返す。
いつものことなのでタイガは気にしなかった。
タイガ宅へ着いてすぐのこと。
「喉乾いた」
部屋に荷物を置いてすぐ、ベッド横に座りながらそう言われたのでとりあえず飲み物を取りに行く事にする。
タイガだけならジュースを物色するところだが、ユキオはあまり甘いものは好きじゃないので出すものは大抵お茶だ。
そんなわけで麦茶を注いで戻ってくるとベッドを背もたれにしてユキオが何やら読んでいた。
雑誌の類は筋トレに関するものばかりなのでユキオは普段読もうとしない。
何を読んでいるんだろうと覗きこんでみるとさっき押し付けられそうになった雑誌だった。
「なん……っ!?それどっから出てきた!?」
思わずガン、っとお盆をテーブルに打ち付ける勢いで置く。中身が大分溢れたが動揺し過ぎて気にならなかった。
こちらの焦りとは裏腹にキョトンとした顔のユキオは淡々と答える。
「お前のリュック」
「あいつめ……」
いつの間に入れたんだ。というかこいつは何故着いて早々に人のリュックを漁ったんだ。
そんな事を思っている間にユキオはというとテーブルに肘をついて本格的に読み出す。
別段喜ぶ様子もなくパラパラとページを捲っていくのでどうしたらいいのか分からず隣に胡座をかいて座った。
あまりにも淡々と捲っていくからか、アダルトものが恐ろしく似合わない。
「お前もこーいうの読むのな」
「いやそれは俺のセリフな」
涼しい顔で見ているが内容はぐいぐい来る年上のお姉さん特集だった。
でかでかと書かれているので嫌でも目につく。
下着姿のお姉さんが顔も映らない男の上に跨って胸を突き出して座っている。
「こーいうの好きなのか?」
「違ぇ!!」
てか興味ないわ!と怒鳴ると首を傾げられる。
「じゃぁ何でヌくの?」
まさかそんな話を振られるとは思わず一瞬固まる。
「……いや抜くほど溜まらん」
「は?」
なんだその珍獣でも見るような目は。思わずジト目になるがそれを更に何言ってんだという目で見られる。
「筋トレしてるとそーいうのどっかいく」
元々タイガは淡白なようであまりそういう気が起きない。
起きてもうずうずする気持ちをついつい筋トレに昇華してしまうのでそれで発散した気になってしまう。
勿論全く出さないというのは構造的に不可能なのである程度は発散するのだが、機械的というか必要最低限のみだ。
それを掻い摘んで説明すると、さすがにそこまでとは思っていなかったユキオはパチパチと瞬いた。
その後で暫し考え込むと口を開く。
「それは分かったけどエロ本読む読まないは別じゃないか?」
「いや……興味ないし」
「ふーん」
雑誌を見ながら暫し考えた後、ユキオは徐にタイガへとしな垂れかかる。
まさに開いていたページのグラビアと同じ仕草だ。
「んな……っ!ヤメろ!」
カァっと思わず赤くなるのが自分でも分かった。
「なんだ。結局好きじゃん」
「うるせー!」
クスクスと笑われてついムキになって叫ぶ。
それを見てユキオはニンマリと笑った。
結局学校というのは集団行動の場なのだ。
だから今一番効果的な言い回しはこれ。
「……んなことばっか言ってっとお前の彼女に告げ口してやるからな!」
「うわやめろバカ!この前喧嘩して仲直りしたばっかなんだよ!」
「やなこった!」
タイガが舌を出したところでようやく空気が和らぐ。
ホッとした一人が誤魔化すように持っていた雑誌を差し出した。
「んな怒んなって!ほら、これ貸してやるから!」
「いらねえ!」
ワイワイとタイガと部活仲間達が騒いでいると、教室の後ろのドアがガラリと音を立てて開いた。
当のユキオ本人が戻ってきたのだ。
「おー、お帰り」
「タイガ遅い」
自身が何処かへ行っていた癖にユキオは不満げにタイガに文句を言う。ユキオの我儘はいつものことなのでタイガはさして気にもせず笑った。
待つ気がなければ出ない言葉なのだからユキオなりにタイガを待っていたのだろう。そう思えば可愛いものだ。
「わりーわりー」
それを機とばかりにタイガは雑誌を押し付ける手から逃れるとリュックをひっ掴む。
「じゃーなお前ら」
手を振るとおうまたな!と手を振り返される。
一人は未だ「いうなよ!」と騒いでいたが知らないふりをした。次同じことをしたら盛大に告げ口してやろうと心に決める。
ユキオも声をかけられていたが、それには答えずさっさと先に行ってしまう。それを追いかけて廊下へと出る。
横に並んで歩いていると暫くしてポツリと尋ねられた。
「……何話してたの?」
「いやぁ、別に。つまんねー話」
流石にお前との仲を疑われたとは言えない。
タイガは悪くないと分かっていても絶対こちらへ八つ当たりをしてくるに違いないからだ。
「ふーん」
自分で聞いた癖にユキオは興味がないような素っ気ない返事を返す。
いつものことなのでタイガは気にしなかった。
タイガ宅へ着いてすぐのこと。
「喉乾いた」
部屋に荷物を置いてすぐ、ベッド横に座りながらそう言われたのでとりあえず飲み物を取りに行く事にする。
タイガだけならジュースを物色するところだが、ユキオはあまり甘いものは好きじゃないので出すものは大抵お茶だ。
そんなわけで麦茶を注いで戻ってくるとベッドを背もたれにしてユキオが何やら読んでいた。
雑誌の類は筋トレに関するものばかりなのでユキオは普段読もうとしない。
何を読んでいるんだろうと覗きこんでみるとさっき押し付けられそうになった雑誌だった。
「なん……っ!?それどっから出てきた!?」
思わずガン、っとお盆をテーブルに打ち付ける勢いで置く。中身が大分溢れたが動揺し過ぎて気にならなかった。
こちらの焦りとは裏腹にキョトンとした顔のユキオは淡々と答える。
「お前のリュック」
「あいつめ……」
いつの間に入れたんだ。というかこいつは何故着いて早々に人のリュックを漁ったんだ。
そんな事を思っている間にユキオはというとテーブルに肘をついて本格的に読み出す。
別段喜ぶ様子もなくパラパラとページを捲っていくのでどうしたらいいのか分からず隣に胡座をかいて座った。
あまりにも淡々と捲っていくからか、アダルトものが恐ろしく似合わない。
「お前もこーいうの読むのな」
「いやそれは俺のセリフな」
涼しい顔で見ているが内容はぐいぐい来る年上のお姉さん特集だった。
でかでかと書かれているので嫌でも目につく。
下着姿のお姉さんが顔も映らない男の上に跨って胸を突き出して座っている。
「こーいうの好きなのか?」
「違ぇ!!」
てか興味ないわ!と怒鳴ると首を傾げられる。
「じゃぁ何でヌくの?」
まさかそんな話を振られるとは思わず一瞬固まる。
「……いや抜くほど溜まらん」
「は?」
なんだその珍獣でも見るような目は。思わずジト目になるがそれを更に何言ってんだという目で見られる。
「筋トレしてるとそーいうのどっかいく」
元々タイガは淡白なようであまりそういう気が起きない。
起きてもうずうずする気持ちをついつい筋トレに昇華してしまうのでそれで発散した気になってしまう。
勿論全く出さないというのは構造的に不可能なのである程度は発散するのだが、機械的というか必要最低限のみだ。
それを掻い摘んで説明すると、さすがにそこまでとは思っていなかったユキオはパチパチと瞬いた。
その後で暫し考え込むと口を開く。
「それは分かったけどエロ本読む読まないは別じゃないか?」
「いや……興味ないし」
「ふーん」
雑誌を見ながら暫し考えた後、ユキオは徐にタイガへとしな垂れかかる。
まさに開いていたページのグラビアと同じ仕草だ。
「んな……っ!ヤメろ!」
カァっと思わず赤くなるのが自分でも分かった。
「なんだ。結局好きじゃん」
「うるせー!」
クスクスと笑われてついムキになって叫ぶ。
それを見てユキオはニンマリと笑った。
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