89 / 164
第15章 ベンチのドラゴン
第89話 万能薬
しおりを挟む
「くん、くん、この匂いはスライムだな」
ダッセンか。
相変わらず変態チックな奴だ。
ベンチの上にいるティの隣にどかっと腰を下ろした。
「お前は気楽で良いよな」
こいつも悩み事か。
言ってみろ聞くだけなら聞いてやる。
「いや、もてないのは分かっているんだ。でも、夢を見たっていいじゃないか」
失恋でもしたのか。
いくら魔法が万能でも、もてる様になる呪文は開発できないな。
「カンニングを見破る手腕だけは自信があったんだけどな。自信を失ったって愚痴をこぼしたら、スーララちゃんに少し嫌われた。ミニアに会ってからというもの不運の連続だ」
いや、それは関係ないと思うぞ。
ティに意思表示が出来ればな。
間違いを正してやれるのに。
スライムって液体だよな。
魔石ポーションを飲ませたらティにも魔道具が使えないかな。
何の魔法が良いかな。
やっぱり意思表示かな。
俺からの伝言を経由するなんてどうかな。
ちょっと考えてみるか。
void main(void)
{
TEL *tp; /*伝言魔法の定義*/
tp=topen("トリニモイカイチ"); /*ティの回線を開く*/
char s[256];
while(tgets(s,256,tp)!= NULL){ /*伝言の読み込み*/
printf("%s\n",s); /*読み取った伝言を表示*/
}
tclose(tp); /*回線閉じる*/
}
うん、こんなのでどうだ。
問題はティが体の中の魔石ポーションを使えるかだな。
「ちょっと。ちょっと。おい、聞いてるのか」
ダッセンの言うことなんか、これっぽっちも頭になかった。
何気に鋭い奴だな。
俺が聞いていないのを察知するなんて。
分かったよ聞いてやるよ。
「いいよ帰る」
なんだよ。せっかく聞いてやろうってのに。
すねやがって。
去って行くダッセンの背中を見送った。
次の日。
ティは昨日と同じ様に近接魔法学の授業に置いてけぼりにされた。
別に良いんだが、誰かこないかな。
おお、昨日に引き続きダッセンか。
「びえーん。スーララちゃんに完全に振られちまった。この世の終わりだ」
「女なんて星の数ほどいるさ」
俺は伝言を送りティは中継して文字を出した。
ティに魔石ポーションを飲ませて起動する実験は成功した。
ただ、魔石ポーションは数時間立つと消化されてしまう。
飲ませた物を消化せずに待てとは言えない。
言ったとして理解できるかどうか。
魔石ポーションの起動はティが体の中の異物を探ると起動する。
ティに食った物を探れという行動を覚えさせる事ができた。
「ス、ス、スライムが喋ったー!!」
「そんな訳ないだろ。ミニアの師匠だよ」
「でもどうやって」
ダッセンはスライムを持ち上げると透かして中を調べた。
「中には何も飲み込んでない」
「当たり前だよ秘術で中継しているだけだ」
「はっ、これを使えばカンニングも思いのまま。でも、目立つよな。いや、空中に出さなくても伝える方法があるのかも」
ダッセンは完全に振られた事を忘れて、解明するために必死になっている。
「元気が出たようだな」
「そういえば完全にスーララちゃんの事を忘れてた」
「金貨10枚の仕事をしてみないか」
「やる。やって、ぱーっと飲みに行くぞ」
「おっ、来た来た」
こちらに講義を終えたミニアがやってくるのが見えた。
「ダッセン、実験台になってくれるのよね」
とミニア。
「えっ、金貨十枚の仕事って実験台」
「大丈夫、痛くないから」
そう文字を出した。
「そうそう。ポーションを飲むだけだから。動物では大丈夫だったから」
「くそう、やってやる」
そう言ってダッセンは差し出されたポーションをあおった。
「飲んだポーションの魔道具を起動する要領で使え。兎にも使えたんだから、出来るはずだ」
「えっ、このポーションは魔道具なのか。こうかな」
ダッセンの目の前に水球が現れて落ちた。
成功したな。
「これって、万能薬なんじゃないか」
そんな話もあったな。
これが万能薬か。
言われてみれば魔法で出来ることは全て可能だ。
キャラナっていったい何者。
「えーと、口外しないように。言いふらすと恐い人達が寄って来る」
文字を出した。
「そうか、ミニアはこれを使ってカンニングしたんだな。あれ何かおかしい。実験台って事は初めて使うって事だよな。分かったぞ。これの完成品を貰ってカンニングしたんだ。その完成品を解析してさっき飲んだポーションが出来たに違いない」
興奮した様子で喋り捲るダッセン。
ダッセンよ、全然かすりもしていない。
「口外は駄目だぞ」
俺は念を押した。
「はっ、ある亡国の姫が暗部を使ってその万能薬の製法を盗んだって噂は本当だったのか。じゃあ恐い人って。喋りません。口が裂けても喋りません」
こんな奴に秘密をばらしてよかったのか。
でも、人体実験しない事にはおっかくていざという時に使えない。
いざとなればダッセンには新しい人生を送ってもらおう。
リトワース人に世話を頼めばいいようにしてくれるはずさ。
ダッセンか。
相変わらず変態チックな奴だ。
ベンチの上にいるティの隣にどかっと腰を下ろした。
「お前は気楽で良いよな」
こいつも悩み事か。
言ってみろ聞くだけなら聞いてやる。
「いや、もてないのは分かっているんだ。でも、夢を見たっていいじゃないか」
失恋でもしたのか。
いくら魔法が万能でも、もてる様になる呪文は開発できないな。
「カンニングを見破る手腕だけは自信があったんだけどな。自信を失ったって愚痴をこぼしたら、スーララちゃんに少し嫌われた。ミニアに会ってからというもの不運の連続だ」
いや、それは関係ないと思うぞ。
ティに意思表示が出来ればな。
間違いを正してやれるのに。
スライムって液体だよな。
魔石ポーションを飲ませたらティにも魔道具が使えないかな。
何の魔法が良いかな。
やっぱり意思表示かな。
俺からの伝言を経由するなんてどうかな。
ちょっと考えてみるか。
void main(void)
{
TEL *tp; /*伝言魔法の定義*/
tp=topen("トリニモイカイチ"); /*ティの回線を開く*/
char s[256];
while(tgets(s,256,tp)!= NULL){ /*伝言の読み込み*/
printf("%s\n",s); /*読み取った伝言を表示*/
}
tclose(tp); /*回線閉じる*/
}
うん、こんなのでどうだ。
問題はティが体の中の魔石ポーションを使えるかだな。
「ちょっと。ちょっと。おい、聞いてるのか」
ダッセンの言うことなんか、これっぽっちも頭になかった。
何気に鋭い奴だな。
俺が聞いていないのを察知するなんて。
分かったよ聞いてやるよ。
「いいよ帰る」
なんだよ。せっかく聞いてやろうってのに。
すねやがって。
去って行くダッセンの背中を見送った。
次の日。
ティは昨日と同じ様に近接魔法学の授業に置いてけぼりにされた。
別に良いんだが、誰かこないかな。
おお、昨日に引き続きダッセンか。
「びえーん。スーララちゃんに完全に振られちまった。この世の終わりだ」
「女なんて星の数ほどいるさ」
俺は伝言を送りティは中継して文字を出した。
ティに魔石ポーションを飲ませて起動する実験は成功した。
ただ、魔石ポーションは数時間立つと消化されてしまう。
飲ませた物を消化せずに待てとは言えない。
言ったとして理解できるかどうか。
魔石ポーションの起動はティが体の中の異物を探ると起動する。
ティに食った物を探れという行動を覚えさせる事ができた。
「ス、ス、スライムが喋ったー!!」
「そんな訳ないだろ。ミニアの師匠だよ」
「でもどうやって」
ダッセンはスライムを持ち上げると透かして中を調べた。
「中には何も飲み込んでない」
「当たり前だよ秘術で中継しているだけだ」
「はっ、これを使えばカンニングも思いのまま。でも、目立つよな。いや、空中に出さなくても伝える方法があるのかも」
ダッセンは完全に振られた事を忘れて、解明するために必死になっている。
「元気が出たようだな」
「そういえば完全にスーララちゃんの事を忘れてた」
「金貨10枚の仕事をしてみないか」
「やる。やって、ぱーっと飲みに行くぞ」
「おっ、来た来た」
こちらに講義を終えたミニアがやってくるのが見えた。
「ダッセン、実験台になってくれるのよね」
とミニア。
「えっ、金貨十枚の仕事って実験台」
「大丈夫、痛くないから」
そう文字を出した。
「そうそう。ポーションを飲むだけだから。動物では大丈夫だったから」
「くそう、やってやる」
そう言ってダッセンは差し出されたポーションをあおった。
「飲んだポーションの魔道具を起動する要領で使え。兎にも使えたんだから、出来るはずだ」
「えっ、このポーションは魔道具なのか。こうかな」
ダッセンの目の前に水球が現れて落ちた。
成功したな。
「これって、万能薬なんじゃないか」
そんな話もあったな。
これが万能薬か。
言われてみれば魔法で出来ることは全て可能だ。
キャラナっていったい何者。
「えーと、口外しないように。言いふらすと恐い人達が寄って来る」
文字を出した。
「そうか、ミニアはこれを使ってカンニングしたんだな。あれ何かおかしい。実験台って事は初めて使うって事だよな。分かったぞ。これの完成品を貰ってカンニングしたんだ。その完成品を解析してさっき飲んだポーションが出来たに違いない」
興奮した様子で喋り捲るダッセン。
ダッセンよ、全然かすりもしていない。
「口外は駄目だぞ」
俺は念を押した。
「はっ、ある亡国の姫が暗部を使ってその万能薬の製法を盗んだって噂は本当だったのか。じゃあ恐い人って。喋りません。口が裂けても喋りません」
こんな奴に秘密をばらしてよかったのか。
でも、人体実験しない事にはおっかくていざという時に使えない。
いざとなればダッセンには新しい人生を送ってもらおう。
リトワース人に世話を頼めばいいようにしてくれるはずさ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる