転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~

喰寝丸太

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第20章 暗闘のドラゴン

第116話 録音の魔道具

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 視察旅行から魔法都市に帰って来て、打ち上げという名の宴会だ。
 酔いつぶれると厄介なので酒は抜きらしい。
 ジュースで乾杯だ。

「視察旅行お疲れ様。かんぱーい」
「「「「かんぱい」」」」
「お疲れ」

 ゴーレムは飲めないのでお預けだ。
 あとでドラゴン本体のところに酒樽が届く事になっている。

 俺は食べる事もできないので酒場の会話に耳を傾けた。

「ねぇねぇ聞いた。幽霊が出るんだって」

 むっ、姿隠しの魔法と言えばリトワースの残党だな。
 暗部が何かしているのか。

「黒いぼろきれをまとった幽霊らしいわよ」

 姿があるのかでは違うな。
 何だろう。
 別のテーブルの会話を聞く。

「ネズミが学園で大量発生したらしいわよ。それでね教授が仕掛けた罠で一網打尽いちもうだじんみたい」
「それってもしかして使い魔だったりして」
「教授が言うには最新の研究を狙うスパイなど珍しくないって」
「ネズミを調教するのって難しいのかしら」
「ハムステラの調教は難しくないって魔獣使いの友達が言ってたわ」

 俺に伝言魔法が飛んで来た。
 ルルシャの族長からだ。
 隣国に関所を通って行くには通行許可証を手に入れないといけないらしい。

 さてどうするか。

「ダッセン、通行許可がなくて隣国に行くにはどうしたら良い」
「許可がなくて行けるのは、巡礼者、占い師、旅芸人この辺りだろう」
「お前、物知りだな」
「女の子にもてる為に必死で話題をかき集めたんだよ。悪いか」
「そうか、苦労しているな」

 巡礼者は人数が多いと疑われるな。
 占い師も付け焼刃だと見破られる恐れがある。
 旅芸人も芸を見せろと言われたらアウトだ。
 どうしよう。

 こんな時は魔法で解決だ。

 タルコットに貰った魔法に録音と再生魔法があった。
 これを使い吟遊詩人に歌を歌ってもらったのを録音して再生すれば良い。
 口パクと踊りぐらいはルルシャの人達になんとかしてもらおう。

 各地を渡り歩いている芸人の質なんてたかが知れているだろう。
 誤魔化せられるはずだ。

 タルコットから貰った魔法のイメージはこれだ。

void sound_rec(char *buf,long bufsize)
{
 TEL *tp; /*記憶領域の定義*/
 tp=topen("temp"); /*記憶領域を開く*/

 recording(buf,bufsize); /*録音*/
 twrite(buf,1,bufsize,tp); /*記憶領域に書き込み*/
 tclose(tp); /*閉じる*/
}
void sound_play(char *buf,long bufsize)
{
 TEL *tp; /*記憶領域の定義*/
 tp=topen("temp"); /*記憶領域を開く*/
 tread(buf,1,bufsize,tp); /*記憶領域から読み込み*/
 playback(buf,bufsize); /*再生*/
 tclose(tp); /*閉じる*/
}

 でもこれ未完成もいいところだ。
 メイン関数もないし、記録媒体をどうするのかが分からない。
 まさか魂に書き込む訳にもいかない。
 でも『recording』の魔法語『スイソラスシニミキ』と『playback』の魔法語『セリチンコチソノ』が分かればこっちのものだ。

 よし作るぞ。
 録音の魔法はこうだ。

char stone[100]; /*石100立方センチ*/
void main(void)
{
 recording(stone,sizeof(stone)); /*録音*/
 while(1);
}

 再生の魔法はこうだ。

char stone[100]; /*石100立方センチ*/
void main(void)
{
 playback(stone,sizeof(stone)); /*再生*/
}

 試験したところ録音に使った石が七色の不思議な色合いに変化。
 石は脆くなったようで、少しミニアが力をいれたらボロボロと崩れた。
 そして、録音の魔法を解くと石は元の色合いに戻る。
 なるほど、魔力が石を変化させているのか。

 呪文でも良かったが魔道具にして、同じ魔道具を十個ほど作り族長に届けた。
 吟遊詩人の手配と踊りは族長がなんとかしてくれるだろう。
 関所で捕まった時は俺の貴族の肩書きでなんとかできるはずだ。
 ただ、これをすると本国の貴族連中が何を言うか分からない。
 できれば使いたくないな。
 最悪は見捨てるのも選択肢か。
 またはリトワースの暗部に頼んで救出してもらうかだな。

 タルコットに録音と再生の魔道具を見せたところ、もの凄い食いつきようだった。
 また、儲かってしまった。
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